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ショーの始まり

ユノは、黒いロングドレスを着ていた。

リシアは、前と同じ、金糸の刺繍が入ったドレス。


そして僕は……前と同じ、あの王子様スタイル。


ただ一つ、前回と違うのは――

僕らが仮面を外し、そして、いつもの武器を持っていることだった。


前と同じように、門の前に立つ人影が近づいてくる。

だが、ユノは一瞬も迷わず、それを制圧した。


声も上げさせず、血も流さず。


何事もなかったかのように、僕らは扉を開ける。


黒服のメイドたちが、スカートの裾を引き、かしずいて出迎えた。


僕らは、その間を、堂々と――というか、あまりにも自然に、悠々と歩いていく。


…………大丈夫か、これ!?


何食わぬ顔の二人をよそに、僕の心臓は、今にも口から飛び出しそうだった。


ホールに入るなり、ユノは近づいてきた下男を叩きのめす。


ためらいはない。


そして、小瓶を高く掲げて、叫んだ。


「こいつに覚えのあるやつだけ、こっちに来い!

守ってやる!」


ざわり、と空気が揺れる。


「そうじゃねえやつは、さっさと逃げろ!

命が惜しくねえなら、ショーを観てくれてもいい!」


そう言い放ち、ユノは一人、ホールの中央へと歩み出た。


客たちが、後ずさる。

何人かは、腰を抜かしたまま動けない。


ユノは、おもむろに小瓶を持ち上げる。


そして――

傾けた。


小瓶から溢れた薬が、そのままユノの口の中へと流し込まれる。


「ひっ……!」


何人かの客が、悲鳴を上げた。


ユノは、口元を拭いながら、にやりと笑う。


「さあ、ショーの始まりだ」


そして、ちらりと、僕を見る。


「ユウ、頼んだぜ」


その瞬間、ユノの体が、ぶるりと震えた。


次の瞬間、彼女は――暴れ出した。


***


その後は、いつも通りのめちゃくちゃだ。


抑えに来た衛兵を、ショートソードと斧で、問答無用に叩き伏せていく。


全部、峰打ち……に、しているのは凄いけど、あれ、下手したら死んでないか?

っていう一撃も、正直、見受けられる。


うまいこと外してはいるけど。


「あれを止めろ!」

「あいつを外に出せ!」


客か警備か分からない怒号が飛び交うが、

――あらかた、成功だ。


僕は、計画がうまく回っていることに、思わず安堵した。


「リシア、今のユノが薬を飲んだとき声を上げた人、覚えられる?」


そう尋ねると、

「可能です」

と、リシアは即答する。


これで、とりあえず。

シュライバー商会から追われる未来は、消去できた。


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