表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

100/228

扇情的な世界

案内役なのだろうか、執事のような服を着た男に促されて、僕たちは店内に足を踏み入れる。


どこか甘い香の香りが漂い、席に座り酒と、そして、麻薬の類なのだろうか? タバコのようなものを楽しむ人たちもいる。


天蓋で区切られた席などもあり、シルエットだけで中はよく分からないが、僕はなるべく見ないようにしていた、目の毒だ。


リシアとユノは顔色一つ変えていないけど、なんだろう、あまり見せたくない光景だった。


「この店は初めてで?」


男が聞いて、僕は頷いた。


男は簡単に店のシステムを教えてくれた。

店内は基本的に自由恋愛の場であり、店員、客問わず、誰とどのように恋に落ちても、それがいかなる形でも自由。


ラウンジの周りには個室などがあり、ご自由にどうぞと。

宿泊するなら上に部屋があり、泊まることも可能。


二階には大小さまざまな浴場と蒸し風呂があり、それぞれの風呂にはルールがあるので、気になるようならメイド服の女の人に聞くようにと。

知らずに足を踏み入れて何かあっても、こちらでは責任は負いかねますとのことだった。


地下にはVIP専用の施設があるらしく、この楼の女主人、マダム・シュランゲに気に入られると招待されるかもしれません、と男は最後に言った。


僕は刺激が強すぎる空間に、助けを求めるようにリシアを見た。


リシアは察してくれて、

「旦那様は高貴な御方です、このようなところでなく、別室でゆっくりしたいと仰っています」

と男に告げて、何かを握らせる。


男は手の中のものを確認すると、

「こちらにどうぞ」

と、別室に僕たちを通した。


大きなソファのような、ベッドのようなものがある別室は、どこかの宮殿の中のようだった。


「おくつろぎ下さい」

男が部屋を出ていって、僕はようやく息を吐いた。


もう、なんというか、別世界すぎて、息を吸うのも息苦しかった。


「お疲れさまです」


リシアが言って、水を差し出してくれる。


僕はそれを一気に飲み干した。


「ありがとう、二人ともよく平気だね」


苦笑いを浮かべ、僕が言う。

リシアは、まあ、予想通りだけど。


「平気じゃねーよ、鼻がひん曲がりそうだ」


ユノは疲れた様子でベッドに腰を下ろすと、足を組む。


大きく割れたスリットから、普段なら細身のズボンに隠れているユノの生足が見えて。


僕は先ほどまでの光景もあって、慌てて目をそらす。


「お前、どんだけ初心なんだよ」


少し呆れたようにユノが言って、

「ユウは純真な方なのです、ユノア様と違って」

と、リシアがつけ足した。


***


僕がよく知らないだけで、楼自体は他と変わらず、普通のものだとユノは言った。


この街に一人で来ていた時に、何軒か怪しげな店をまわったらしい。


オイレさんの言うように、この店は優良店で、客同士の揉め事もなさそうで、何よりも清潔で、ルールがキッチリしている。

焚かれている香も普通のもので、ひどい店だと依存性のある薬を焚いている事もあったそうだ。


客が吸う分には自己責任で、少なくとも、この楼にそのような意図は見受けられなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ