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乙女なら、拳で語れ【完】  作者: あむあむ
第四章 少女は少女と永遠を誓う。
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第十七話

「おぉ、いいじゃねーか。ソウゾウ力がグイグイ来てるぜ」

「ありがとう……ハチ。本当に感謝してる」

「……これで少しは、逃げたことへの懺悔になったかな」


 少し、女性っぽいほうへ声色が寄った。

 その声には後悔が混ざっているように感じる。


「その性格だと純さんが理由も無しに逃げるなんて考えにくいけど……どうしちゃったんだろね?」

「俺様も美少女だぞ? 愛した男と幸せになりたかったんだよ」

「ぅえ!? それが理由!?」

「……恥ずかしながら、な。キルシュヴァオムって名前も、その男から取ってるくらいには女の子なんだ、私……」

「……幸せになってくれてたらいいね」

「もう生きちゃいないだろうがな……けど、本体はしっかりとやる事はやって生涯を終えたみたいだぜ?」

「……? どうしてわかるの?」

「ひ・み・つ、だ。……それより、いつもの調子が戻ってきたじゃないか」

「うん、もう大丈夫! 元気バリバリのバリ子ちゃん」

「よし、なら愛する人を取り戻してこい……『命短し 恋せよ美少女』、真っ直ぐ、全力で打つかってこい!!」

「応ッッ!!!」


 私の雄叫びと同時に、ハチは光り輝く粒子となった。

 全身に纏わりつき、再び龍のような鎧の形状へと姿を変える。

 もう迷わない。

 JKも、クロちゃんも、ラブちゃんも……そして、お義父さんも。

 みんな、みんなを幸せにする。


「JK、私を見ろ!!!!」


 上空で交差する光に対し叫ぶも返事が無い。

 やっぱり彼女は照れ屋さんのようだ。 

 だからと言って、おめおめ引き下がるような晴海ちゃんではないぞ。

 見てくれないなら、見てもらえるようにするだけだ。

 ソウゾウ力を全開にし、足に集中させる。

 そして、抉るように地面を蹴り飛ばし光に向かって超加速で接近した。


「ッ……ぁぁあああ゛ッ!!」


 二人の間に割って入り、クロちゃんに向かって放たれた弾丸を左手の甲で弾き飛ばしJKと空中で対峙する。

 さっきの弾……私の頭を撃った時よりも、威力があがっているように感じた。

 つまり少しずつ、彼女のJKとしての意識は薄れていっているのか?


「は、晴海ちゃん……待ちくたびれたわよ」

「クロちゃん、お待たせ! ここからは、私の番ね!」

「……その様子だと、見つけたみたいね。自分の答え」


 頷き答えると、ゆっくり地上へと降り膝をつく。そしてそのまま、眠るように倒れこんだ。

 分かっている。私がウジウジしてる間、こんな強い相手と互角に渡り合ってたんだ。それも、ラブちゃんとの戦闘後直ぐに。

 ダメージは相当残っている筈だ。だから、後はゆっくり休んで欲しい。


「ありがとう、クロちゃん。愛してるよ」

 私はお礼の言葉を述べた後、再びJKの方を向き叫ぶ。

「JK! 私の嫁なら、記憶くらい元に戻せるだろ!!」

「Delete」

「────ッぅ!? それしか言えないのか、この単細胞!!」


 まるで耳に入っちゃいない様子で、ガンガンっと二発の弾丸を飛ばしてきた。

 空中で回転し、それを躱す。が、正面を向くと彼女は目と鼻の先まで接近してきていた。速いッ。


「ッ、ぐぉ!?」

「……」


 下から顎に向けて放たれるサマーソルトキック。前に翼を羽ばたかせ、体を後ろにやると同時にJKを風圧で少し後退させた。

 だが、つま先はおでこを掠め、めちゃくちゃ痛い。私のおでこは呪われていたのだ。


「話を聞けッ、この超絶美少女可愛い私の嫁!!」


 躱し仰け反った体勢を利用し、その場で後ろに一回転。斜め下から勢いをつけた右回し蹴りを脇腹に向け振り抜く。


 ガッ。


 しかし、いとも容易く左腕で受け止められた。更には、膝を掴まれ回転。グルグルグルグル。

 竜巻が起こりそうな、いや起こる程強烈なトルネードスローだ。


「ぬぁぁあぅぅぁぁうあうあぁぁ!」

「Delete」

「ッ────なんのぉ! これしきじゃぁ!」


 投げ飛ばされ、壁に激突ギリギリで踏ん張りを効かせ停止。


「あぁ、もう! これじゃあ埒があかない!」

(しかし、こっちの出力も限界だぜ?)

「ならさっさとするしかないね」

(なにを?)

「あれだよ、あれ」

「Delete」

「あ、っぶねぇ!!!」


 ちくしょう。雑談をする暇もありゃしない。美少女はお喋り大好きだってのに。

 上下右右左上下斜右ぃ! 怒涛の連撃が襲いかかった。


「ッ、あ、い、あ、う!」

「Delete、Delete、Delete」


 クッソ、きっツゥ。一撃が重すぎる。

 拳は受けて、蹴りも受けて、銃弾は躱す! ほっほっはッ!


「はーッはっはぁー、どうした桜 晴海ぃ!! 威勢良く出てきた割には、防戦一方じゃないか!」


 お義父さんの声が耳に響く。うるせぇ、こっちだって必死なんだよ。


「儂の愛を否定したいか? 答えが出たか? だが、これが現実だ。貴様は間違っている……浅く、狭い愛だ。世界を愛し、彼女を愛した儂の愛の方が上……故に、Jokerには勝てない」

「そうかもしれない!!」

「……なに? 否定しないのか?」

「あぁ、正直凄いよ、お義父さんは!!」

「認めたか、自身の愚かさを。儂の愛の深さを!」


 あぁ、凄い。凄すぎる。

 たった一人の女性の為に、人間を捨て世界を変えるだなんて。

 しろ、と言われてできることではないし、常識を遥かに凌駕している。


「貴方の凄味は認める……けれど、私の信じる愛と、お義父さんが唱える愛は別物だッ」

「ほざけ! 根拠の無い言葉など、最早聞く気にならんわ!! Joker!!」

「Delete」

「ッ────ぐぉ!?」


 JKの攻撃の威力が一段階上がった。速さも、そして狙ってくる箇所も急所に近づいてくる。

 つまり、クロちゃんの言っていた「覚醒」に近付いているということ。


「JK、待ってて……すぐに貴女が戦わなくても済むようにしてあげるから!!」

「馬鹿め! 力の差は歴然、たかが人間が唯一愛した女性達に敵うわけがなかろうて」


 時間が経つにつれ、彼女に押されている。

 私はアクセで繋がっているギリギリの命。

 二つ同時解放を常時行なっている為、いつも以上に体が悲鳴を上げている。


「たかが人間……」


 けどね。諦めるわけにはいかない。

 私はハチの使い手。

 川上 純さんが一番最初に作って、自分の心を埋めたアクセ・アーマー。

 そこに込められた願い……『未来をソウゾウする力』。


「残念だったな……」


 クロちゃんは言った。

 私の思いは、彼女の中で生きていると。

 ハチは言った。

 愛とは繋がり、だと。


「私はぁ!! 超超超超超超馬鹿で! 天真爛漫!! 猪突猛進のォ!! 美少女大好きな美少女なんだァ!!」

「それをただの人間と言うのだ!!」

「だったら見せてやるッ! ただの人間が、お義父さんの愛の結晶である唯一愛したい女性達を、嫁に……姉に迎えるところをなぁ!!」

「精神汚染されたシリーズは、貴様を倒した後じっくりと修正してやる!」

「無駄だ、お義父さんの愛には足りないものがある!!」

「そんなもの、存在せんわ!」

「ならば、とくとご覧あれ!! JKぇぇ!!」


 私の答え。全力でぶつけてやる。

 ソウゾウ力を沸騰させ、残りの力を防御力に全振り。生命維持に当てていたSweet Queenも使って堅く、硬くする。

 息が苦しい。死に近付いている感覚がする。

 けど、私は桜家の人間。


『命短し恋せよ美少女 あかき唇あせぬ間に 熱き血潮の冷えぬ間に』


 今、この瞬間の恋に、愛に、全てを掛ける女だ。


「Delete」

「きっ、くッ、かぁ!!!」

「ッ!?」


 脇腹に左脚がめり込む────が、効かん!


(ご主人!? それは不味いぜ!)

「黙ってて! オラァ、こいよオラァ!」

「……Delete」

「げふぅッ、ま、だ、ま、だぁ!」


 銃の底がコメカミに。右足が鳩尾に。銃弾が額に。

 だが、効かない。痛いけど、効いてない。


「Delete……Delete、Delete」

「ぅ、ぐぉあ!」

(使いすぎだ! 温存しねぇと、Qがッ! 聞いてんのか!? おぃ、ご主人!!)


 前進、前進、前進前進前進。

 JKの猛攻を受けながらも引くことなく、その場に留まった。

 そして遂に────


「De……Deleteッ」


 一瞬だけ彼女の瞳に昔の色が戻る。この時を待っていた。迎えにいけば、絶対に来てくれると信じていたぞ。


「隙ありじゃぁ!!」

「ッぁ!?」


 全身を使いタックル。抱きしめたまま地面に押し付ける。

 暴れるJKの抑えつけ、刹那の隙を突く。貰ったぜ。


「これが、私の、愛の答えだぁ!!」

(な、えッ!? ご主人様、それが!?)

「ば、馬鹿な!? 貴様、なんのつもりじゃ!?」

「更にぃ!!」

(んなぁぁぁぁぁ!?)

「んなぁぁぁぁぁ!?」


 私は彼女に────

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