第15話:拡散するスレッド(前編)
深夜一時。
俺はいつものようにPCの前で缶コーヒーを飲みながら、ネットのオカルト板を眺めていた。
「昨日のあのスレ、マジで胸糞悪かったな……」
ふと思い出し、キーボードを叩いて新規スレッドを立ち上げる。
『【洒落怖】昨日オカ板でリアルタイム実況してたヤバい奴覚えてる?』
1:**名無しの投稿者**
昨日、燃やしても捨てても部屋に戻ってくる『白いノート』の実況してた奴いたろ。
最後「部屋が真っ白になった」とか言って消えたやつ。
あの後、>>78のレス以降ピタリと書き込み止まったじゃん。あれ、マジでどうなったと思う?
5:**名無しの怪異好き**
あー、あの釣りスレなw
最後の連続連投はちょっとゾクッとしたけど、まあ演出だろ。
12:**名無しの怪異好き**
> > 1
> > 俺も見てたわ。
> > あれアカウントごと消えてるんだよな。演出にしては凝りすぎだろ。
>
>
閲覧者たちが集まり、昨日のスレッドの話題で盛りがり始める。
俺は「やっぱりみんな気になってたんだな」とニヤリと笑い、キーボードを叩いた。
18:**名無しの投稿者**
> > 12
> > マジで? アカウント消えてんの?
> > まあ自作自演だとしても、あの逃げ場ない感じの追い詰められ方は鳥肌立ったわ。
> > ちょっとトイレ行ってくる。
>
>
PC画面をそのままにし、俺は部屋を出て廊下の突き当りにあるトイレに向かった。
用を足し、手を洗って部屋に戻ってくる。
所要時間は二分もかかっていない。
だが――自室のドアを開けた瞬間、俺は息を飲んだ。
「……は?」
さっきまで何もなかったはずのパソコンデスクの上。
キーボードの目と鼻の先に、一冊の『白い本』がぽつんと置かれていた。
表紙も背表紙も真っ白。文庫本サイズの無地ノート。
昨日のスレ主が言っていた、あの通りの『本』だった。
手のひらから嫌な汗が噴き出す。
嘘だろ? 部屋には鍵をかけていたし、誰も入るはずがない。
「なんで……なんで俺の部屋に……!?」
震える手でキーボードを引き寄せ、俺は半狂乱でスレッドに書き込んだ。
25:**名無しの投稿者**
おい嘘だろ嘘だろ嘘だろ
トイレから帰ってきたらデスクの上に『白い本』がある
昨日のスレで言ってたやつと全く同じ真っ白なノートだ
誰かのイタズラか!? マジで怖いんだけど!!




