再会
「『ブレイブスラッシュ!』」
俺は今死の森の中層辺りにいる。
「スチーム! 大丈夫か!」
「楽勝っす!」
と言うスチームは返り血を浴びている。
「ハハッ!アルファは?」
「こっちも問題ないです!」
出て来るアルファは大型のモンスターを担いでいる。
ここでの戦闘も問題ないな。
「よし、一旦帰ろう」
「ですね!」
「もうマジックバッグがパンパンですしね」
中層の森ではもうレベルが上がらなくなって来ていた。
『待て、我が主人からの警告だ』
みると羽の生えた女性が空から降りて来る。
「ま、魔人か!」
「やっと会えたぜ!」
アルファとスチームはやる気だが、
「待て、話がしたいようだな」
『感謝する。我が主人から、『こちらからは攻撃はしないので、其方も手を引け』とのことだ』
「どう言うことだ? 俺は帰還したいから魔王討伐にきてるんだぞ?」
『我にもそれはわからぬ、だが、主人からの言伝は伝えたぞ』
と言うとツノが生え水色の髪をした妖艶な女は翼を広げ飛んでいった。
「そうか、彼方の方に魔王城があるようだな」
「なんだったんですかね?」
スチームが聞いて来るが、
「戦いを避けたい何かがあるようだな」
「でも、帰るためには行かないわけにはいかないんじゃ?」
「そうだな。とりあえずここは一旦戻ってから魔王城を目指そう」
「「はい」」
まだ中層だからなんとかなっているが、深層になると少し危険かもしれないな。
来た道を帰って行く。
途中で出て来るモンスターは、もう楽に倒せるのだがなぁ。
今回は長く潜っていたので帰りもそれなりに大変だ。
「はぁ、長いですねー」
「文句言うな。疲れるから」
アルファとスチームも索敵しながら進んでいる。
『ブモォォォォ』
出て来たのは体長5メートル程の大きなイノシシのようなモンスター。
「お! ブルファンちゃんじゃないっすか!」
「スチームがんばれ!」
「な! また1人っすか?! 分け前あげませんからね」
「お前のものも俺のもの!」
笑いながらアルファが言う。
「なんすか! そのジャイアニズム!」
「いいから今日の飯だ!」
「はいはい! 『一閃』」
スチームが剣を振るとブルファンは縦に斬れて開くように倒れる。
その場で解体を始めるので、火を起こしておく。
“パチパチ” と肉の焼ける匂いがすると、腹が鳴るが、まだ我慢だ。
「うん! いい感じに焼けてるっすよ」
「よし! いただきます!」
「どうぞ召し上がれ」
と言って3人で一頭のブルファンを残さず食べ切る。
「ブフゥー! 美味かったっすね」
「だな、やっぱりこの森一番はブルファンだな」
と木の根に座りながら喋る。
「あとどれくらいですかね」
「んー、一週間あれば着くだろ?」
「あー、早くシャワー浴びてベッドで寝たいっすね」
「言うな。虚しくなる」
と木の根で、横になって寝始める。
俺は月明かりで手帳に今までのことを書くと胸ポケットに仕舞う。
これは俺の記録だ。
俺には妻がいるが、帰ることはない。
俺が忙しすぎて不倫をしていることも知っている。
それでも、守りたかった。
だが異世界に来ることができたのだ。
俺の全ては妻にやる。
だがそれからの人生は俺のために生きることにする。
旦那失格なのも分かっているが、他人としての生活に疲れてしまった。
妻だけならどうにでもなる金は貯めてある。
だからもういい。
俺はこの世界を生きて行く。
ケント君はどう言う判断をするかな。
さぁ、帰ってシャワーを浴びて、ケント君に貰ったビールで乾杯しないとな。
ようやく見えて来た高い塀が俺たちを走らせる。
とその時、森の賢者老狒々王が行手を阻む。
「くそ! 最悪だな!」
「サッサと倒すぞ!」
老狒々王はゴブリンモンキーを従えて、襲って来るので、邪魔だな。
「『ブレイブサンダー』!」
ゴブリンモンキー達に伝播してどんどん倒れて行く。
「俺は女を抱くんだ! 退けぇー!」
とスチームは老狒々王に向かって行く。
「うぉぉぉお!」
とアルファが大剣を横に振ると木が倒れ、下敷きになるゴブリンモンキー達。
「『ブレイブスラッシュ』!」
老狒々王にトドメを刺すと、魔石を抜く。
やはりこいつはここまでしないと死んだふりをするからな。
ようやく倒してまた走り出す。
「やっとシャワーだ!」
「よし! 女を抱くぞ!」
「スチームはそればっかだな」
とはやる気持ちを抑えきれないで門の前に立つ。
門が開かれると、
「おかえりなさい!」
「隊長! 自分強くなりましたよ!」
「次は連れてって下さいよ!」
と置いていった兵達が我こそはと3人を囲む。
「ったく、帰って来たばかりだ! どけよ!」
「お前ら汗くさいぞ? クリーン使え!」
「まぁまぁ、とりあえず報告だ!」
と道を開けさせると子爵が出迎える。
「やぁ、やっと帰ってきたね」
「はい! 中層まで行ってきました!」
「途中で魔王から言伝を頼まれて、引き返して来ました!」
「そうか、それよりも君たちを待っているよ?」
「「「え?」」」
「おかえり、丸尾さん!」
子爵の後ろから出て来るケント君?
「ケント君!?」
「あはは、来ちゃいましたよ!」




