盗賊
「やだよ、金がないなら我慢しろ」
「テメェ!」
と掴みかかってくるのを躱して剣の柄で腹を打つ。
「グェッ!」
男はそのまま馬車から投げ出され、腹を抑えながら走っているが追いつけずに歩いている。
「ぷっ! あはははは」
「あはははははは!」
と馬車の中は大爆笑だ。
「あんたやるね! 大男がいなくなったからだいぶ軽くなったんじゃ無いかい?」
「そうね、だいぶ空きができたからのんびりできるわ! そうだ、それ売ってちょうだい」
「こっちもだ」
とやはりみんな尻が痛いらしく高級座布団を銀貨1枚で買う。
自己紹介がてら、話をする。
そして旅は何事もなかったかのように続く。
今乗ってるのは俺たちを入れて5人。
剣士のミリオンは短髪金髪で鉄装備だな。
魔法使いのウィッシュは薄い金髪の長い髪を横でひとまとめにしている、マントを羽織って中は革鎧を着ている。
最後の1人も魔法使いでメガネをかけて、緑の髪を肩らへんで一つにまとめているコーラリス。
(こうみるとあの大男だけが場所とってたようだな)
みんなゆったりと座布団に座ってミリオンなんかは椅子ではなく下に座布団をひいてあぐらをかいてる。
皆初めてノセックの街に行くようだが、御者のヘンドリックがノセックの街の話してくれる。
ダンジョンがあり、もう攻略済みのダンジョンで、最深部は50階層。
ダンジョンへの入り口までは露店が並んでいるが割高だから準備はしっかりして行ったほうがいい。
宿はすぐ埋まるから早めに取れ。
とのことだ。
やはり大男がいない分快調に馬車が進み、いつもより遠くの休憩所に着いたらしい。
火を焚いて周りを囲みながらビールで乾杯する。
「美味いね!」
「冷たいエールなんてどうやって手に入れてるんだ?」
「そりゃ秘密だ」
とミリオンにいいながら夜は更けていく。
「さぁ、仕事だな」
ミリオンが立つが俺の索敵にも反応しているので俺も立つ。
「ん? なんだい?」
「さぁ? 大男じゃないみたいだが?」
十数人に囲まれている。
「おう! やるなら覚悟してこいよ? こっちは全員冒険者だ!」
とミリオンが大声を張る。
無言でやはり掛かってくるようだな。
剣を抜いて素早く走って闇世に紛れてる男達の足を斬って行く。
「グアッ!」
「アガッ!」
と闇夜で見えないところから声がする。
「て、撤たグフッ!」
(あらら、ミリオンが倒したようだな)
引きずって男どもを連れて行くと、やはり盗賊のようでミリオンがやったやつは死んでいる。
「さて、コイツらどうすんだ?」
「そりゃ、街の衛兵に連れてくんだよ! って、殺してないのかよ!」
「おう、俺は足を斬って動けなくしただけだ」
「へぇ、今度から俺もそうするか」
と死んだやつの首を斬っているミリオン。
「その死んだ奴らは?」
死んでるやつの死体は5つ。
「首とギルド証があるはずだからそれを持って行く」
と死体からカードをとっている。
残りの生きてる奴らは縄で縛っておく。
「皆さん流石ですね。次の街まで連れて行きましょう」
「どうやって?」
あと残り生きてるのは7人。
「ちょっと歩きますが中に入れて行きましょうか。皆さんは歩きで」
「やっぱり殺そうぜ?」
「いや、生きて連れてったほうがお金になりますよ?」
「……しゃーねーな!」
とミリオンも同意した。
「アジトはどこよ?」
「に、逃がしてくれるのか?」
「死ぬか、アジトを吐くかよ?」
「クッ! クソッ!」
結局見せしめに1人殺してアジトを吐かせる。
「オウェェ!」
「あんた何吐いてんのよ? まさか人殺した事ないの?」
「ゥヴ……ない」
(人なんか殺すかよ! どっちかと言うと助けるほうだ!)
「はぁ、慣れなさい。こう言う奴らは嫌でもいるからね」
「……分かった」
ミリオン、俺、リシアでアジトに行く。
ウィッシュとコーラリスはヘンドリックの護衛と盗賊の監視だ。
盗賊の1人が言っていた通りに獣道があり森に続いている。
(はぁ、本当にいくのかよ)
獣道を進んでいくと灯りが見えてきた。
「さて、暴れますかね!」
「はぁ」
「ケント? シャンとしてね?」
「分かってる」
3人で中に入ると5人の盗賊が女を甚振っているところだった。
「はぁぁ!」
「おら!」
と今度は足を狙って倒しているミリオン。
「なんだつまんないわね! まぁ、助かって良かったわね」
と女を介抱するリシア。
「ほら」
と裸の女に毛布をかけて包んでやる。
ミリオンはお宝探しだ。
「おっ! コイツら結構溜め込んでるな!」
「や、やめろ! 俺の金だ!」
「あ? お前は牢屋行きだ!」
と笑いながら集めた金と武器なんかを俺が収納する。
「へぇ、流石は収納持ちは違うわね」
「まぁな」
(そういえばリシアには話したんだったな。隠しておかないといけないと思ったが、仕方ないか)
あとは馬車が外にあったのでそれに盗賊を乗せてリシアが御者をする。
街道に出たのはもう明るくなってきた頃だった。
「クソッ、寝損ねたな」
「今日は徹夜ね」
「まぁ、その分金になったがな」
リシアとミリオンは2人で喋ってる。
俺は後ろから逃げないように見ているが、『助けてくれよ』と懇願されても、捕まっていた女達に、殺されていた男達。
そんなのを見てゲンナリして聞く耳はない。
「おぉ! 帰ってきましたか!」
「あぁ、こっちも収穫があったぜ」
ミリオンは親指で馬車を指している。




