捨てられた街
帝国に向けて走っている。
ここのところ何日も野宿をしているのでそろそろ街でもないかな?
草原は続き、遠くにようやく建物が見える。
「やっとだねー、シャワー浴びたい」
「ベッドで寝れるよ」
と馬車の中ではしゃぎ出すみんな。
まだ着くのに3時間はかかるんだがな。
ようやく門が見えたので速度を落としてみると、なぜか門が壊されていて門兵がいない。
「なにかあったのか?」
「さぁ? 入ってみましょう」
入っていくと索敵に引っ掛かる。
「モンスターがいる! 気をつけろ!」
中から声がするので走って行くと。
『ブモォォォオォォ』
「オークキングか!」
オークの集団と兵士が戦っていた。
「行くぞ」
「おう!」
中に入って行くと、
「助太刀する!」
「た、たすかる」
と言葉を交わし、
「『アクセル』」
を使ってオーク共を斬っていく。
「黒き風よ! 『ブラックウィンドカッター!』」
「大丈夫? 『聖女の涙』」
「オラァ二刀流だぁ」
とみんなも戦い、俺は後ろで見ているオークキングの前に、『アクセル』で斬り込むが、
“ガキンッ”
と斧で相殺される。
「へぇ、強そうだな」
『ブモォォォオォォ』
「『グラビティ』」
『ブモォォ……』
身体にかかる重力を5倍にしてやったからな。
「んじゃな!『アクセルダンス』」
『ブモォォォオォォ!』
血飛沫とともに断末魔の叫びを上げる。
「オラァ」
首を落としオークキングは死んだ。
後ろを見るとほぼ壊滅しているオーク達。
「さぁ、1匹も逃すなよ!」
「「「おう」」」
残兵を狩るのに時間はかからなかった。
とりあえず全ての魔石を取り出して収納する。
「あ、ありがとうございます」
「ん? 誰だ?」
「ここの家臣のギアンになります」
「へぇ、誰か治めてたんじゃないのか?」
「領主のゼスプ男爵はこの街を捨て、すでに逃げてしまい、私に全て任せると」
「はぁ、どこも一緒だな」
誰かに押し付けて逃げるなんてな。
「はぁ、でも冒険者様が来てくださり被害は家が数件壊されただけになります」
「それなら良かったな! オークの買取は出来るか?」
「それはもちろん! 願ってもないです」
と言ってオークの買取は色んな人が買い取って行く。
「ここの騎士団長のグラだ! 3頭ほど頂きたい」
「普通のオークなら銀貨5枚で一頭だぞ?」
「わかった! では金貨一枚に銀貨5枚だな!」
などとこれから祝いなのだろう。騎士団や宿の女将、それに家巨たちに買われていくオーク達。
ギルドも買っていくので、今日は祭りだろうな。
結局残ったのはオークキングなのでギルドで捌いてもらい、焼肉台を出して焼いていく。
「美味っ!」
「タレちょうだい!」
「美味しいですねぇ!」
とやっていると集まってくる子供達にも振る舞う。
「美味しい」
「ウマ美味っ」
と食べ進めていく中で家巨のギアンがきて、
「その食べ方を真似してもいいですか?」
「おう、んじゃ、道具は売れるけどどうする?」
「それでは2台お願いします」
「金貨1枚でいいぞ! 炭もつけてやる」
といって売って行く。
やはり焼肉にはビールが合うな!
そうしていると外が騒がしい。
「どうした?」
「なんか男爵が帰って来たとか」
「は? 今頃か?」
見に行くと、ギアンと揉めている。
「貴方は見捨てた街が無事だったからと言って、全てを冒険者様から奪うおつもりですか!」
「そうだ! ワシの街だからな」
「ふざけるな! 命懸けで戦った騎士団にも何も言わず! それでいいとお思いですか!」
(やはり男爵と言う名前だけのやつはクソ豚みたいなやつだな)
「あー、お前はもうクビだ。ここへの立ち入りを禁ずる」
「はぁ、待て待て。これ見えるか?」
とメダルを出しながら出て行くと、
「な! なぜお前のような奴が教皇様のメダルを!」
「あー、お前没落決定ね! ギアンは男爵になってこの地を守れ!」
「か、かしこまりました!」
とギアンは膝を曲げる。
「ふ、ふざけるな! そ、そんなこと」
「守れないのか? 騎士団?」
「は!」
「こいつらを追放せよ」
とギアンは男爵を追い払う。
「く、くそ! 覚えてろよ!」
「は? あいつなんだったっけ?」
「「「あはははは」」」
とりあえずあいつが何かやってくる前に一応釘刺しとくか。
『アクセル』
馬車に追いつき車輪を壊す。
『ぶひゃぁ!』
と中で転がった男爵は声を上げる。
(よし、戻ろ)
馬も逃げたしあいつがどこかに行くにしろ歩いて行かないといけないからな。
もう、無理だろ?
「だせ! ここからだすんだ!」
御者に言ってるが、御者も逃げてしまったようだな。
ここから一番近い街はギアンの街だし、戻るしかないだろうな。
「ありがとうございます。私は一生懸命、この街を守って行きます!」
とギアンが戻って来た俺に言う。
「おう、頑張れよ?」
「はい!」
壊された門はまだ壊れているが騎士団が守っているし、俺たちは宿を取りゆっくり寝ることにする。
翌日は朝から元男爵が馬車からどうにか抜け出して、門の前でボロボロになっているのに偉そうに文句を垂れる。
結局、捕まって牢屋にぶち込まれたようだ。
(ハハッ! いい気味だな!)




