旅路
「おう! おつかれ!」
「あ、帰ってきた! どうだった?」
「ん、まぁ、それなりだな」
「そっか、んじゃとりあえずモックな!」
「はぁ、またお前らのためにショップ出さないといけないのかよ」
「いいだろ? 今日は頑張ったんだから!」
「はいはい」
と宿に戻ってもこんな調子だ。
「おかえりなさいませ」
「あぁ、ただいま」
とアリア達にも挨拶をする。
「お疲れ様でした」
「あぁ、ちょっと疲れたな」
やはり裏切られるのは辛いな。
「ちょっ! 私のポテト! 食べないでよね!」
「いいだろ? ダイエットだよ」
「はぁ? 私は太ってない!」
とサヤワキ兄妹が喧嘩をしてるのを見るとホッとするな。
「シャワー浴びてくるわ」
「はーい」
部屋に戻ると人を殺した感触が身体や脳にこびりついているのをシャワーで洗い流す。
目を閉じるとあいつらの懇願してきた顔が脳裏に浮かぶが、もうどうしようもない。
『あぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
後ろから抱きしめられる。
「シルヴァ……」
「私は見ていた。貴方は優しい人。でも、1人でいることはない」
「シルヴァ……」
「間違ってない、貴方は間違ってないから」
「……シルヴァ、ありがとう」
下に降りて行くと、
「よし、俺も久しぶりにモックでも食べるか!」
「お! ビッグモックだよな?」
「ん? てりたまだが?」
「なんでだよ! モックはビッグモックだろ?」
「んなわけあるか! てりたまだ! それかテリヤキ」
「あーわかるかも」
「な!」
とはしゃいで久しぶりに食ったモックは美味かった。
翌日になるとみんな集まるので、
「さて、帝国に行こうか!」
「帝国? 魔王国じゃなくて?」
「神聖国に丸尾さんがいないなら帝国にいるはずだからな」
「おぉ、合流すんの?」
「だな。まぁ、お前らも帝国にいるだろ?」
大テーブルを囲んでそういうと、
「俺らも行っちゃだめかな?」
「ん?」
「俺らも魔王を討伐できるだろ?」
「……いや、今のままじゃ無理だな」
「なんで!」
「レベルの問題だ。俺は限界突破しているからな」
「限界突破?」
「人間のレベルは100が限界だ。それを超えなきゃダメだな」
「……」
「悪いが連れてはいけない」
暗い雰囲気になるが、
「そっか、なら俺らも限界突破するまでだな!」
「そうだな。ケント達が無理だった時のために頑張るしかないな!」
「おう!」
「あのな? そんな簡単じゃないぞ?」
「分かってる! だから帰ってこいよ?」
「……はいはい、分かったよ」
と言ってみんなで外に出ると、周りが騒がしいが、そんなことは俺たちに関係ないからな。
馬車を受け取り与一達をブラッシングし、餌をあげてから神聖国を出るために西に向かう。
神聖国の西にある帝国へはそれなりに日数がかかるからな。
「というか、魔王国とのいざこざはあるのか?」
「わかりませんね。調べましょうか!」
「だな。ここまできて魔王国が攻めてきてないなら話のしようがあるかも知れないしな」
とアリアと話をしながら帝国を目指す。
途中から休憩地点を探しながら御者をするが、もう暗くなりかけた頃ようやくあったのでそこで夜を過ごす。
「おお、野宿なんて初めてだ!」
「なんかドキドキするぅ!」
「うっせぇ! 火でも起こしてろ!」
「うぇーい」
とやる気のないヒロト達だが、やり始めると楽しいみたいで和気藹々とやっている。
「晩飯は?」
「BBQっしょ!」
「ばか、そんなことしたらオオカミが来るぞ?」
「マジで! 自然スゲー」
とマジ感動してるらしい。
「んじゃ弁当な」
「味気な!」
「別に食わなくてもいいんだぞ?」
「いただきます!」
素直でよろしい。
濃い紫の空に満天の星、大パノラマだ。
火に薪をくべて、火を絶やさないようにする。
4人は馬車の中から顔を出し、なかなか寝ない。
「マジ感動だな」
「な!」
「景色がいいねー! 星いっぱい!」
とひとしきりはしゃぐとパタンと寝てしまった。
「可愛いですね?」
「どこがだ? クソガキだろ」
「ふふふ、そこがまたいいんじゃないですか」
「そんなもんかねー」
アリアやテレサとそんなことを話す。
「オオカミですかね?」
「だな、グラスウルフらしいな」
起こさないようにサッサと片付ける。
解体してるとヒロトが起きてきた。
「……何やってんの?」
「ん? グラスウルフだ。解体中な」
「グロッ!」
「これでも毛皮なんかは売れるんだぞ?」
「そうなんだ、よく触れるね」
「……だな。俺もビックリだな」
「は? 意味不なんだけど?」
「いや、俺もお前らと一緒で向こうでは大学生だったからな」
とくだらないことを喋りながら解体して行く。
「そう言えばケントはいくつなの?」
「20だ」
「ウッソだー! もっと歳いってるだろ?」
「なら敬語使え」
と俺をなんだと思ってんだ?
「……今回はあんがとな」
「ん? なんだ、いきなり?」
「いや、ケントこなかったら間違えて人殺したかも知れないし」
「……だな。それがわかれば大人だな」
「ハハッ、大人じゃないけどな」
「まぁな。子供の時は子供でいろ」
「そうさせてもらうよ」
解体が終わったのでウォーターで手を洗い、収納する。
「マジチートな」
「異世界でだけな?」




