決意
「い、イデェよォォ!」
と喚く勇者。
「は、早く回復しろ!」
賢者が言う。
「もう無理ぃー!」
泣く聖女に、
「が、グハッ」
おっと最初の剣聖はやりすぎたか? 4人は倒れ泣き喚く。
「な? 大丈夫だっただろ?」
「……ケントは何者だ?」
「俺はこいつらより先にきた日本人だよ」
「は? いてぇ!」
「く。くそ! 早く来たからって」
「な。なんでこんなこと」
「カハッ」
女の子はキョトンとしてるし、男達は文句を垂れている。1人は瀕死だな。
「じゃあ、王国の勇者とは?」
「あー、違うな。俺は巻き込まれただけだ」
(チート持ちだけどね)
「回復してやれよ? もう一度やりてぇから」
「な、や、やめてよ! もういいでしょ?」
と縋ってくる聖女だが。
「つ、次は殺してやる!」
と最後の男が言うので、
「だってよ?」
と死にかけている剣聖を指差すと、
「ばか! 敵うわけないでしょ! それより『聖女の涙』」
瀕死の男のためにとりあえず回復させるか。
光が降り注ぎ全回復する男達。
「おぉぉ! オラァ!」
「『ファイアランス!』」
「ブレイブスラッシュ」
と、3人でかかってくるが、
「『アクセル』『グラビティ』」
「な!」
「か、身体が?」
「ウギャアァァァァァ」
まず1人、剣聖を斬り刻む。
「『アイスニードル!』」
魔法を使った男の周りに氷の礫が発生する。
「や、やめギャァアァァ」
「最後はお前な?」
「ウギャアァ!!」
『アクセルダンス」で踊らせる。
「す、すいません! すいません!」
「ん? 回復してやれ!」
「は、はい、『聖女の涙』」
と癒されて起き上がると、
「こ、降参です!」
「もう無理だ、や、やめてくれ」
「すいませんでした」
と謝る3人。
「はぁ、最初から素直にそう言えばいいのにな? とりあえず並んで正座しろ」
「「「はい」」」
と正座をさせる。
「お前らのジョブと名前」
「はい、西京大翔、勇者」
「鞘脇雄介、剣聖です」
「賢者の大平健二です」
「聖女、鞘脇小波です」
全員茶髪やら金髪でピアスをしている。
「お前ら人は殺したか?」
「こ、殺しはしてない!」
「私がいるから」
とケンジとコナミが言う。
「後の2人は?」
「「してない」」
「最後の一線は超えてないか」
頷く少年たち。
「俺は殺したし、何人も死んだのを見てる。この世界は命の価値が低いからな」
「「「「……」」」」
「で? お前らは何をしたいんだ?」
「か、帰りたい」
とコナミが泣き出す。
「あんだけ暴れてたのにか?」
「だ。だって俺達が魔王ってのを倒さないと帰れないって言うから」
ガキみたいな反論だな、ってガキか。
「そうしたら暴れていいのか?」
「……それに関しては俺にも責任がある」
とスライが言う。
「……スライ? こいつらを召喚した奴は?」
「王国の魔導士だ。追放されたと言っていた」
(俺のせいで追放されたやつか)
「まずは道徳から」
「違うだろ? 召喚なんかしてるからこうなるんだろ?」
スライの言葉を遮って言葉を返す。
「そ、それはすまない」
「お前だって知らないところに召喚されれば嫌になるだろ?」
「……そうだな」
「んで、お前らは勇者は辞めろ」
「え?」
「今、丸尾さんって王国の勇者が魔王を討伐しに行ってるからな?」
「ま、マジで?」
「やった!」
「俺ら行かなくていいんだな!」
喜んでる横で難しい顔をしてるスライ。
「どうした?」
「……いや、魔導士を止めないと行けない」
「そうだな。こんな拉致紛いの召喚なんてさせてたら暴動が起きる、って現に暴れてたわけだがな」
4人は明らかに大人しくなってバツが悪そうな顔をしている。
「はぁ、とりあえず謝って回るぞ!」
「えっ? 全員に?」
「そうだ。こんだけ暴れたんだからな?」
「嘘だろぉー!」
俺は4人を連れて『もう暴れません、すいませんでした』と言わせて回る。
ようやく謝り終わったが、辺りはもう暗い。
「なんか一生分謝った気がする」
「は? お前ら社会人になったらもっと謝ることになるんだぞ?」
「はぁ、大人は大変ね」
と言う4人からは毒気はなくなって生き生きしている。
「はぁ、仕方ないが晩飯だ」
とショップで買って出してやる。
「うぉ! ビッグモックじゃん!」
「しかもセット!」
「コーラ! うれしぃ!」
やっぱり若者といったらこれだろ。
「ケント様?」
「あぁ、ほら、みんなも食べろ」
と食べ方を教えてると後ろで、
「うめぇ! マジで帰りてぇ!」
「だな! かえりてぇよ!」
「こんなコンビニもないとこなんかに居たくない!」
と泣き出すコナミ。
「でも、その丸尾さんって人に任せて大丈夫なの?」
「大丈夫だろ?」
(アリアに言われて初めて気付くが、本当に魔王討伐が出来るのか?)
悩み始める俺に、
「……こんなこと言ってはなんだが、勇者1人でモンスターを倒していくのか? 無理がないか?」
とスライが言ってくる。
(そうだよな。丸尾さん1人でなんでも出来るわけないよな)
こんなモンスターが跋扈する中を丸尾さん1人に任せていいわけないか。
「まずは魔導士だな。どうにかしないと召喚が止まらない」
「そうだな、俺が一緒に行こう」
「俺らもいくぞ!」
「そうね、行って一発ぶん殴ってやる!」
と元気になった勇者達。
「それから俺は1人で丸尾さんと合流する」
と俺は言う。
この先は危なすぎる。
「え、私たちは?」
「そこから先は魔王討伐だ。安全を約束出来ない」
俺が守りきれないかもしれないからな。
「それでもついていきます!」
「なんのためのパーティーですか!」
「僕もその辺のモンスターには負けない」
「自分の正しいと思った道をいくだけだ」
「私はもう契約してるから」
アリア、テレサ、ミント、レティー、シルヴァが言うと泣きそうになるが我慢だ。
「本当に危ないぞ?」
「「「「はい」」」」
「わかった、力を貸してくれ」




