馬車
「そのお団子美味しいですよねー!」
「……やらんぞ? モグモグ」
と御者台で楽しくしているゼロとアジーン。
あれからは快調に飛ばしている。
もうすぐ夕方なると言う時にようやく町に着く。
「女性たちは預かりますので、ギルドに連絡お願いします」
「あぁ、よろしく」
と門兵にあいさつして、ギルドに行こうとすると、
「あと3日はかかりますので途中途中休みますから」
「わかった、明日も朝だな?」
「はい! よろしくお願いします」
とアジーンと別れ、町の中に入ると夕方の賑わいをみせている
。
宿を取ると、ゼロも一緒だ。
とりあえず宿も取ったのでギルドに報告に行く。
「さ、さすがAランクですね」
「あぁ、ゴブリンエンペラーの魔石だ」
「はい、それでは金貨500枚で」
「あぁ、それでいい」
金貨を受け取ると、ゼロも自分の狩った魔石を売却して帰るとこだった。
「強いと思ったがAランクパーティーとはな」
「まぁな。ゼロも強かったぞ?」
「まぁな」
と宿に戻る。
シャワーを浴び、下で大テーブルに座り、晩飯を食ってるとようやくゼロが現れるので、
「おう。こっちで食えよ?」
「……分かった」
と席に座らせ、ビールを渡す。
「何だこれは?」
「ビールって冷えたエールみたいなもんだ」
「こうやって開けるのよ?」
「こうか?」
“プシュッ!”と音がして開けると、
「カンパーイ」
「乾杯」
と言って飲むゼロを見る俺ら。
「ゴク、……ゴクゴク」
「おぉ! 美味いだろ?」
「これは美味い!」
とゼロは一本飲み干す。
「ほれ」
「いいのか?」
「ん? あぁ、旅仲間だろ?」
「……そうだな」
とようやく心を開いたようだな。
たらふく食べて飲んで、部屋に帰る。
「また明日な!」
「あぁ、今日はありがとな」
「おう!」
と言って翌日。
「アジーンのやろう逃げたな?」
「……クソ野郎だな」
「あぁ。会ったらどうなるか」
どうやらアジーンは金にならないことになったので逃げたようだ。
また1からこんな町で乗合馬車を探すか?
「ふー、怒ってもしょうがないな。馬車を探す!」
「は? 馬車を探すってお前、買うのか?」
「それしかないだろ? こんな町で乗合馬車が見つかるかよ」
「……それもそうか」
「安心しろ。お前も乗っけてやるよ」
「すまない、金は払う」
「おう!」
と言うことで馬車屋に来た。
「どう言う馬がお好みですか?」
「人懐っこい馬だな」
「馬は人を見ますからね」
十数頭いるなかから探すのか。
『ブルルルル……』
とこっちを見ている黒馬。
「あいつと……」
「え? ほんとにあいつですか? 気性が荒いですよ?」
「おう、あいつでいいし、あいつに選ばせるか」
と黒馬を連れて歩いていると止まる。
「んじゃこいつだな」
「は、はい、こいつはなかなかいい馬ですよ」
「黒馬は与一、白馬は白葉でいいか?」
「「ブルルルル」」
「あはは、いいのか! かわいいなぁ」
そして荷馬車は、二頭立ての馬車を中古で激安で買う。
「えー!本当にこの馬たちにこの荷馬車でいいんですか?」
「まぁ気にするな」
と代金の金貨500枚を払うと、街の外に出て荷馬車を錬金で改造していく。
足回りは丈夫な黒木でサスペンションを付けた。
荷台はミスリルの枠にホワイトヘンプで覆い、クッション性のある御者台。
荷車の中は時空間魔法で2倍に広げたので広い空間になっている。
安くてオンボロ荷馬車を新品同様、それ以上に仕上げた。
よし、これで準備は出来たな!
「乗り込んでいいぞ」
「おお!」
「ヒッローイ!」
「眠れますねぇ」
アリアとテレサが言う。
「……夢でも見てるのか?」
ゼロがそう言うとレティーが
「凄いですよね。さすがケントだな」
「そんな次元じゃないだろ」
「ケント様はこうなんです」
「ケントじゃなきゃ出来ない」
ミントとシルヴァが最後に乗って来て言う。
「みんな乗ったな? いくぞ!」
手綱を操り走り始める。
「ハハッ! 最高に気持ちいいなぁ!」
草原を街道沿いに走っていく。
荷馬車には重量軽減もつけてあるから走りやすいだろ。
途中休憩をすると干し草を与え、水を飲ませる。
与一も白葉も2匹ともいい馬だな。
「お前は錬金術師か?」
「まぁ。錬金も使えるな」
「……ふぅ、それであんだけ強いんだ。勇者か?」
「勇者は他にいるだろ?」
「……そうか」
「まぁ、気にするな。俺は規格外なだけだ」
「フッ! ハハハハ! こんな規格外がいてたまるか」
「ハハハ! まぁそうかもな」
と2人で笑うと、
「改めて、俺はエルフの剣士、名はスライだ」
「俺はケント、錬金術師で剣士で魔法使いだ」
スライと握手を交わす。
「今後ともよろしくな」
「あぁ、よろしく」
夜になる前に街に着くと馬車屋に与一と白葉を預けて宿に行く。
ここはフィラムの街、大きな街で白を基調にした綺麗な街だ。
「ここはデカいな、明日は休みでいいか?」
「あぁ、こう言う街は少し散策したいからな」
とスライが言う。
「俺もだ」
「まぁ旅は急ぐもんじゃないからな」
「そうか、なら良かったよ」
と言ってビールで乾杯する。
(さて、この街は何が名物なんだ? 古本屋はあるかな?)
「また1人で出歩かないで下さいね?」
とテレサに釘を刺される。
「わかったよ」




