禁書庫
俺は連れられて書庫に向かう。
書庫に着くと膨大な量の本が並べてあり、ここから探すのは大変だな。
「まず禁書庫に入れてもらえますか?」
「は!」
一番奥の鍵のかかった禁書庫に入る、『蘇生魔術』や『勇者召喚』の本は見つかるが『帰還の本』は見当たらなかった。
だが、出来るだけ『蘇生魔術』や『再生の書』、あとはなぜか日本語の『カタログ通販』なども有り読めるだけ読んでおく。
とりあえず1日目は禁書庫を閲覧するだけで終わってしまった。
「どうだい? あったかな?」
「いや、ありませんね。明日から書庫の方を探してみますよ」
「禁書庫にないのか、やはり魔王討伐が鍵なのかもしれないな」
と丸尾さんと喋っていると、
「王が晩餐に呼んでおられます」
「分かったよ、行こうか」
「はい」
と俺らは晩餐の場に入って行く。
入るとすでに食卓に並んでいる王達に促され客人として俺らは王様の横の方につく。
王に紹介され、サルヴァン・ルイン王妃、
サヤワー貴妃、第一王子のアルヴァ・ルイン、第二王子のジャイ・ルイン、第三王子のセイン・ルインと第一王女のアリス・ルイン、第二王女のシャイン・ルインが並んでいた。
第四・第五王子までいるそうだが、まだ学園の為、今回は出席していない。
政治に関わっているのは第一のアルヴァと第二のジャイ、第三のセインらしい。
全員美男美女でアルヴァとセインは王妃の子供だそうだ。
シャンパンで乾杯し、運ばれてくるご馳走を食べて行く。
「なんぞ、良いものはあったか?」
「禁書庫に行きましたが自分には分かりませんでした」
「な、禁書庫に! 父上!」
とアルヴァが言うが、王は手を挙げ、
「ワシが許した、何か問題か?」
「い、いえ、申し訳ありません」
「勇者の丸尾殿と巻き込まれた堂本殿だ。ワシの客人じゃ、相応の態度を取るように」
「「「はい」」」
とても躾が出来ているのだろう。
王に逆らえば王子とて、反逆罪で処罰されるだろう。
「勇者召喚は我が国でしかできんからな、2人は大事な人物だ」
「はい。申し訳ありません」
というアルヴァ。
「明日は書庫の方を見させていただきます」
「おぉ、そうか、ゆっくり見るがいい。それとこのメダルを渡しておこう」
「そ、それは」
「王国の王の庇護の権限を与えるメダルじゃ。何か困ったら出せばよかろう」
「それはやりすぎでは?」
「アルヴァ、堂本殿には出来る限り真摯に対応するのだ」
「ありがとうございます」
「丸尾殿は?」
「私は剣のメンテをお願いしました。いくら聖剣といえどもメンテナンスは必要ですからね」
「そうか。して、異世界の食べ物が手に入ると聞いたが?」
(俺のことだな)
「では食材を」
「は!」
兵が来るので食材を置いて行く。
「ありがとうございます」
と言って持って行く。
「どのような料理になるか楽しみじゃのう」
やはり毒味が必要なのだろう。
出したのは和牛の高級ステーキ肉とウイスキーだ。
少々時間があったので、第一、第二王子とも話ができた。
そして料理が出されると、いつものステーキと勘違いしていたのだが、口に入れると柔らかな食感の肉は初めてだったようで気に入ったらしい。
「美味い! 美味いぞ」
「本当にとろけるようなお肉ですこと」
とお気に召したようだな。
「この酒も酒精が強いがまろやかだ」
「そうですね。とてもおいしいわ」
「気に入っていただき大変嬉しいです」
「まだあるのか?」
「はい、いくらでも言ってください」
「よし、それでは金貨100枚、堂本殿に託すので料理長の元で卸してくれるか?」
「分かりました」
「よし、よろしく頼むぞ」
「はい」
晩餐は終わり俺と丸尾さんは客室で一緒に乾杯をする。
「明日はケント君は書庫だったな。さぁ、俺は何をしようかな」
「別にゆっくりしてていいんじゃないですか?」
「んー、俺も『帰還の書』を探す手伝いをしようかな」
「あはは、良さげな本があったらお願いしますね」
「了解」
翌日もまた書庫で本を探す。
やはり冊数が多いので見て回るだけで時間がかかるな。
丸尾さんと手分けして見ているが、これと言った収穫はない。
「無いですね」
「だね、やはり魔王を倒すしかなさそうだな」
(魔王討伐か、やはり魔王は人間の敵なのだろうか)
「丸尾さんは、王から何か聞いてますか?」
「ん?魔王のことかな?」
「はい」
「いきなり帝国と神聖国の隣、王国とは反対側に魔王国と呼ばれる国が出来たらしい。もとは死の森と呼ばれる誰も手がつけられない森だったらしい」
「へぇ、そんなところに急に出来たんですか?」
「らしい、魔王城と言うのは急に出来上がって、魔人が人間を襲い始めたそうだ」
(そんな急になのか、魔王城も異世界からやってきたと?)
「多分別の世界からやってきたんだと俺は思ってる」
「やっぱりですか、そうかもしれませんね」
(魔王がこちらにやってきたのだとしたら、『帰還の書』だってあるかもしれないんだよな)
「魔王を倒して必ず『帰還の書』を持って来るから待っててくれ」
「分かりました。必ず帰って来てくださいね」
「あぁ、必ず」
翌日になり、丸尾さんは王国兵達と旅に出た。
(俺はその間にどうするか決めないとな)
城下町に戻りみんなを探し宿に行く。
「あ、ケント様!」
「アリア、みんなは?」
「はい、レベルを上げるためにギルドの討伐依頼を受けてます」
「そうか、なら待つしか無いな」




