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勇者はおっさん?俺は?《おっさんを助けたら巻き込まれて召喚されたので好きにさせてもらいます》  作者: 盾乃あに
第2章 『カリーナ』と『ライズ』

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ルイン城


「こ、ここは?」


「あ、起きましたよ!」


「丸尾さん大丈夫ですか?」


「……ケント君、俺は」


「寝不足ですね。回復魔法も効かなかったので」


 (単なる寝不足だ。だが、どれだけ寝ていなかったんだろう)


 丸尾さんは起き上がる。



「馬車の中か……どれくらい寝てたんだ?」


「半日ってとこですね。もうすぐ休憩所に着くんでそれまで休んでください」


「あぁ。ありがとう」

 と椅子に座り、手帳に何か書いている。


 暗くなる前に到着した休憩所で肉を焼き、湯を沸かす。


 今日はみんなから頼まれた味噌汁を作らないといけないからな。


 美味そうに飲む丸尾さんがいけないんだが。


「ビールが飲めるのがこんなに幸せなんてな」

 握った缶ビールに力を込め“ペコッ”と音が鳴る。


「あっちではビールでしたからね」 


 こちらのエールはぬるくて不味い。


「そうだね、こっちでは普通のことなんだけどね」


 水の代わりにエールがある。薄いアルコールの方が安全だからだ。


 俺らのパーティー、ミリオン達『ライズ』、王国兵達は休憩所で休む。


 王国兵達の馬車も二頭立ての馬車で助かった。

 こちらもヘンドリックに頼んで王国に向かっている。


「美味しいですね!」


「あの四角いのが野菜になるなんてな!」


「これは魔法ですか?」


 アリアやミリオンは慣れてるが、王国兵の人達は慣れてないからな。フリーズドライなんて知らないだろうな。


「そ、それにこの肉! 柔らかい上においしくて! と、止まらない」

 高級和牛肉だからな。


「まだありますからね」

 と肉を出して行く。

 アリア達が焼いてくれるのでほっといても大丈夫だな。


 (それにしても丸尾さんも悩んでたんだな。俺は何も考えずに帰るもんだと思ってた。だが違う、帰らないって選択肢が出たら俺は……)


「あはは、神妙な顔してるね、ケント君には酷な話だったね」


「いえ、選択肢が増えて混乱してるだけです」


「そうだよね、俺はこっちにきた時に魔王討伐なんてするもんかと思った。どっかで適当に逃げればいいと……、でも君を見つけた」

 と俺の方を見る。


「俺ですか?」


「そう、俺を助けに入った君を返すために、必ず倒すと決めたんだよ」

 ただ身体が動いただけだ。誰でもそんな時はあるだろう。


 真剣な顔をする丸尾さん。


「だから君を返す手段は確保する! だから決めるのは君だよ」

 にっこりと笑う。


「俺は君を否定しない、好きに生きるんだ」


「……まだ分かりませんが、時間がかかるかもしれませんが、考えてみます」


「そうか、それでいい」

 とビールを飲み干す。


「俺は帰る手段を必ずこの手に入れる!」


 立ち上がって言う丸尾さん。


「はい、俺も手伝いますよ」

 と言って俺も立ち上がる。


 索敵に反応があったからだ。


 剣を抜き、暗闇に走っていく。

『キャウン』

 狼達が肉の焼ける匂いに釣られて出てきたようだ。

 別の方向でもオオカミの最後の声がする。


 全部で16頭、倒して火のそばに持ってくると『解体』する。


「手際がいいね」


「スキルなんですよ」


「あぁ、そう言うスキルがあるのか」

 見様見真似で解体するが上手くはない。


「俺がやりますよ」

「あはは、ごめんね」

 と言って俺が『解体』するのを見ていた。


 翌朝早くに馬車は出発する。


 王国に向けて、今日の昼にはルイン城下町に。


「ケント様! オーガです!」


「「まかせろ! ……ハハッ!」」

 丸尾さんとタイミングが合うな!


 外に出ると、

「ブレイブスラッシュ」

「『アクセル』」

 2人でオーガを倒す。


“パンッ”

 2人で手を叩き合う。


「やるねぇ」

「丸尾さんも」


 なぜか昔から知ってるように思う。


 だからだろう、丸尾さんの考えはわかる。


 俺が別の立場だったらそうするだろう。


「あはは、オーバーキルですね」


「だね、チート持ちと勇者だからね」

 と2人で笑いながら馬車に戻る。


 オーガは俺が収納した。


 さぁ、王国に行こうか! 


「見えましたよ、ルインです」

 (ようやく帰ってきたな)


 全てはここから始まったんだよな。


「ルイン城下町にようこそ」

 と門兵が敬礼して倒してくれる。


 城下町に馬車を止める。


 ヘンドリックの馬車で行くのはここまでだ。


「んじゃ俺も王城に行ってくるから」

「おう! 気をつけてな」

「あぁ、アリア達も気晴らしをしててね」

「「「はい」」」


「あ、そうだ、これはミントに」

「僕ですか?」

「『雷神拳』のスフィアボールだ」

「や、やった!」

「それじゃあ行ってくる」

「「「はい」」」

 と王国兵の乗る馬車に俺と丸尾さんが乗る。


「もうすぐ城になります」


 ルイン城下町を抜けて長い直線を走って行くと王城に着く。


 馬車を降りて騎士団長のアルファと副騎士団長のスチームに着いていく。


 やはり王城というだけあり、真っ白で綺麗な城、床には絨毯が敷いてある。


 王の前に行くと膝をつき、

「面をあげよ」


「「はい」」


「おぉ、勇者よ、どうであった?」


「はい、帝国のダンジョンは攻略し、限界突破いたしました」


「さすがじゃのぉ、してそちらは?」

 と俺に振るので、

「俺は『カリーナ』の堂本健人といいます」


「堂本……はて、聞いたことがあるが」


「ノセック伯爵じゃないでしょうか?」


「あ、あぁ、勇者召喚に巻き込まれた人間か! その節はすまなかった。勇者召喚をした者は罰したからどうか許してくれ」


「はい、私はちゃんと生きていますし、問題ないです。それで」


「あぁ、書庫じゃったな。欲しい本があればいいのだが、持ち出しはできぬが、禁書庫まで閲覧しても良い!」


「ありがとうございます」


 (よし、これで帰還の書があればいいけどな)

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