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勇者はおっさん?俺は?《おっさんを助けたら巻き込まれて召喚されたので好きにさせてもらいます》  作者: 盾乃あに
第2章 『カリーナ』と『ライズ』

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悩み


 翌日はよく晴れ、道はぬかるんでいるがヘンドリックは出発を決めたようだ。

 

「では、ギルドには人を寄越すように言っておくぞ?」


「はい! ありがとうございました」


「行きますよー!」


「ではな!」

 とヘンドリックの馬車は街道を走り出す。


 さすがにチェスは出来ないのでトランプを出してババ抜きをやる。


「な!」

「あはは、またババ引いてる!」


 (ババを隠してやるゲームなんだがな?)


 時間潰しにはなったので良かった。

 これは全員が欲しがったので売ってやる。


 (まだ、ポーカーなんかも教えてないし、いいか)


「帝国には似たようなカードゲームがありますよ? こんな綺麗な紙のカードじゃないですけどね」


 ヘンドリックは帝国にもいったことがあるんだな。


 (カジノのような場所があるみたいだな)


「おっ! 見えてきましたね!」


 ようやく着いたノセックの街はなんか賑わっていた。


 馬車から降りてヘンドリックに金を払い、ギルドに向かう。


「あ、お待ちしてました! どうでしたか?」

 俺たちは老狒々王の魔石を置く。


「街は完全に乗っ取られてたがなんとか救えた人達がいる。ギルドには復興の手伝いをしてやってほしい」


 ミザリーにそう報告すると、

「分かりました! こちらで手配します! こちらが討伐と懸賞金になります」


「金貨100? 安くないか?」


「それ以上は無理なんですよ、貢献ポイントはその分高いんで、『ライズ』のみなさんはAランク昇格です」


「まじか! やったな!」

「やったぁ!」


 (んー、腑に落ちないが復興も支援するんだからこれでいいか)


「分かった、んじゃまたな」


「あ、ケント様にお客様ですよ? 宿にいるそうです」


「俺に客? 誰だ?」


 とりあえず宿に向かい入って行くと、

「堂本君! 会いたかったよ!」


「丸尾さん? どうしたんですか!」


 勇者丸尾さんがどうしてここにいるんだ?


「王国に報告するのに帰ってきたんだが、どうしても気になってね」


「そうなんですか! 俺の方はチートがあったのでなんとかなってますよ!」


「そうみたいだね。仲間にも恵まれたみたいで良かった」

 とメガネを外して泣き出す丸尾さん。


「あはは、泣かないでくださいよ! そうだ、ビール飲みましょう!」

「ん? ビール? あるのかい?」

「はい!」


 キンキンに冷えたビールを出し、丸尾さんと乾杯する。


「ゴクゴク、プハァ! 美味い! 美味すぎる」

 とまた泣き出す丸尾さん。

「あぁ、俺たちも紹介して下さいよ!」

「悪いな。こっちの金髪が、スチームで騎士団の副団長だ。で、こっちが、アルファ騎士団長だ」

「よろしくケント殿」

「よろしくっす!」


「あはは、まだ色々ありますから」

 と女将に言ってつまみを言った通りに作ってもらう。


 醤油だれのオークの串盛りだ。


「醤油味だ! う、美味い!」


「ですよね! やっぱり俺らはこれですよね!」

 とようやく落ち着き話を始める。


「美味い! これは美味い!」

 とアルファとスチームもビールを飲みながら食べまくっている。


「魔王討伐はまだ少し時間がかかりそうだよ」


「そうなんですね。やはり強いんですか?」


「あぁ、人間の限界はレベル100だ。それを突破できたからこれからまたレベル上げだね」


「あ、俺も突破しましたよ!」


「え、えぇ! な、どうやって?」


 (ようやく俺のチートの話になる)


「そ、それは凄いチートだね。勇者なんか目じゃないじゃないか!」


「帰還の本があれば帰れますよ?」


「そうだね! 王城の書庫を探してみよう!」


「ですね! あ、必要なものはありますか?けっこうなんでも買えるですよ?」

 と丸尾さんに言うと、


「み、味噌汁が食べたいかな……」


「わかりました!」

 女将にお湯を沸かしてもらい、フリーズドライの味噌汁を作る。


「美味いなぁ……こんなとこで飲めるなんて思わなかったよ」


「ハハッ! 良かったです」


「堂本君には不思議な力があるんだね、俺には戦うしかないみたいだ」


「何言ってんすか、帰りましょう! 日本に」


 力無く笑う丸尾さんは、

「俺は帰ることはないと思う」


「え?」


「あはは、ブラック企業に勤めててこっちの生活のほうが気に入ってるんだよ」


「じゃあ」


「そう、君を返す旅をしてるんだ」


 (丸尾さんはこちらに残ると言う選択肢を選んだんだな。俺もこちらではチート持ちだけど……)


「……すいません。俺にはまだ」


「堂本君が気にする必要はないよ! これは僕の使命だからね!」


 (俺はどうしたい? 本当に日本に帰りたいのか?)


「俺の下の名前は健人です。ケントって言って下さいね」


「分かったよケント君」


「それじゃあまた明日」


「あぁ、また明日」


 そう言って俺は自分の部屋に帰って行く。


 (俺はどうしたい? 丸尾さんは決めたようだ。大学から社会人になって本当に幸せがあるのか? どうする……)


 窓の外を見ると星が見える。


 あの惑星の中に地球があるのかもしれない。


 自分で決めないとな。


 翌日はあまりよく眠れなかった。


「おはようケント君!」

「おはようございます、丸尾さん」


「あはは、寝不足かな?」

「ですね、丸尾さんも寝てないんですか?」


 昨日も思ったが丸尾さんの顔色が悪い。


「ハハッ、あちらに残したものもあるんだよ。俺1人なら良かったのにな」


 (そうか、丸尾さんもまだ決めかねているんだな)


「少しこの問題は後回しにしませんか? 俺も本当に帰りたいのか分からなくて」


「……そうだね。まずは帰る手段を見つけるのが先だね。……ありがとぅ」


 そう言うと丸尾さんは倒れてしまった。


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