老狒々王
馬車はやはり速いのがいいな。
「は? じゃあ今から行くのは?」
「討伐依頼だな。老狒々王らしい」
「えー! 危ないじゃないですか!」
「まぁ、ヘンドリックは近くで隠れてくれてればいいからさ」
「そりゃそうしますよ! 先に言ってくださいね?」
まぁ、サーヤの町は北西の近い位置らしいから、ここから1日あれば着くな。
途中で休憩の為止まっていると、
「ん? 索敵に反応があるぞ?」
「だな、こっちに向かってるな」
剣を抜き構えていると、森の中から男が血だらけで出てくる。
「た、助けてくれぇ」
「了解!」
出て来たのはゴブリンモンキー、多分サーヤの町からだろうな。
『キェェェ!』
「おらっ!」
「黒き風よ! 『黒風!』」
早速、テレサが自慢の武器で攻撃魔法を唱えると10匹いたゴブリンモンキーにダメージを与える。
「よいしょ」
最後の1匹を倒し、ウィッシュが回復した男に話を聞く。
「あいつらは突然やって来て最初は町にいた冒険者が、倒したんだ。でもやられたフリで冒険者は捕まってしまい。町も……」
「そうか、なら早く行かないとな!」
「そうですね! 道案内頼みますよ?」
とヘンドリックが男に声をかける。
「は、はい! 倒してくださるんですよね?」
「当たり前だろ? 俺らはA、Bランクパーティーだぞ?」
「はい! これでみんな助かる!」
馬車は北西へと向かうが途中から大回りして北の方に馬車を止める。
「こちらの方が手薄ですので! ご武運を!」
「あぁ! ヘンドリックも逃げるなよ?」
「分かってますよ、頑張って来てください」
慎重に索敵しながら走って行くと、ちょうど町の入り口に、2匹のゴブリンモンキーがいたのでリシアの魔法で消し炭にする。
「よし! 中に入るぞ!」
「「「おう!」」」
北の方が手薄とは言っていたが、本当にその通りだった。
まぁ、逃げるならノセックの街のある南側を見張っているようだ。
「『スノウダンス』!」
とレティーが先陣を切ると。
「『クイック』『アクセラレーション』」
コーラリスが支援魔法で素早さを2倍掛けする。
「おらぁ!」
ミリオンが中に入りゴブリンモンキー達を倒して行く。
あらかた片付いたと思ったら、
“ズンッ”と人の2倍ほどの大きさの老狒々王が飛び出して来た。
その周りをゴブリンモンキー達が守っている。
「おいおい、そんなんで俺らに勝てるのか?」
「ここは私が!」
「『バーニングブレス』!」
渦巻く炎がゴブリンモンキー達を燃やし尽くす。
『キッ、キィィ』
と降参したようで腹を見せる老狒々王。
「さて……って効くわけないだろ!」
と剣で斬りつけるとすぐに起き上がり後ろに飛び退く。
「チッ! まぁ。いいだろう。さてやろうか?」
『キッ、キィィギャオォォォォォ』
と耳を塞ぐ程の咆哮に気を取られていると。
「キャアァァァ」
女性を盾のように持ち上げる。
『キッ、キィィキィィィ』
「どうやら人質のようだな」
と剣を離して前に蹴る。
「くそっ!」
と他のみんなも武器を落とすと前に蹴り出す。
「はぁ」
『ウキャキャキャキャ!!』
すげえ喜んでいるが、『アクセル』
女性を掴んでる腕をぶん殴って粉砕すると女性を抱いて後ろに下がる。
『ウギャァァアァァァ!』
と左腕を押さえて転げ回る。
「ったく、人質なんてとるからこんな事になるんだ」
みんな武器を拾い上げ。
「ごめんねー『フェルナンド』」
と砂を払い構える。
「『フレアボム』!」
リシアの魔法が老狒々王に着弾すると燃える老狒々王。
『グギャァァァアァァァ』
転げ回るが消えない炎に次第に声が聞こえなくなる。
“パチパチ”と燃える音だけが聞こえ、老狒々王は死んでしまった。
「さぁ、解放してあげないとな」
女性を寝かせると、手分けして捕まっている人達を解放して回る。
『ウガァァアァァァ!!』
「な! グアッ!」
死んだと思われた老狒々王は黒焦げになりながらも俺の背後からぶん殴ると壊れた家の柱を投げつけてくる。
「くっ!『アクセル』」
引き伸ばされた時間を使い避けて自分に『ヒール』をかけると、走って一瞬で老狒々王の前に立つ。
「踊れ!『アクセルダンス』」
斬り刻まれ踊るように肉が削がれて行く老狒々王。
『グギャァァァアァァァ……』
最後に魔石を取り出して死んだことを確認する。
さすが老狒々王と呼ばれるだけあり魔石は両拳ほどの大きさだ。
「大丈夫か?」
「あぁ、しつこい猿だったよ」
「だな、こっちは助け終わったぞ」
町民はだいぶ減っているようで、冒険者だった骸もあった。
「ったく、こいつら」
「あぁ、人間を食ってたようだが、遊んで殺したのもいるようだな」
「傷だらけでかわいそうに……」
アリアにヘンドリック達を連れて来て貰うように頼み、近辺を散策する。
「おーい、あったぞ!」
とミリオンが見つけたのは大きめの木箱で隠されていた。
「ったく、あいつら頭がいいのか悪いのかわからんな」
町中の金貨や宝石などはこの中に隠してあったようだ。
「ほら、こいつが長老代理らしいぞ」
「は、初めまして! 今回はありがとうございます!」
とまぁ、丸尾さんくらいの歳の男が出てくる。
「これは町のお金だからちゃんと管理してくれよ?」
「え、あ、」
「なんだ?」
「冒険者様が持って行くのでは?」
「は? 流石にそんなことするわけないだろ」
「あ、ありがとうございます!」
と涙を流しながら頭を下げる。
「おー、やっぱりケント様達は強いですね!」
「ヘンドリック、逃げなかったな?」
「当たり前ですよ! ちゃんと隠れてましたしね」




