新装備
「んで、どうだったんだ? 20階層は?」
「おう、楽勝! ではなかったかな」
「そうね、麻痺や毒なんかを使ってくる敵が多かったわよ」
状態異常か、それは厄介だな。
「それにボスは再生持ちだから結構タフなの」
「トロールだったぜ」
トロールか、まだ会ったことはないな。
「にしても、そっちはゴブリンエンペラーだろ? 格が違うよ」
「そうなのか? まぁ強かったが」
「強いなんてもんじゃないだろ、それにエンペラーがいるなら他のゴブリンもいることだし」
「いたなぁ。ゴブリンアサシンが一番うざかったよ」
俺も隠密を覚えようかな?
それからも飲みは続き、ようやくお開きになると4人部屋を使ってたアリア達の部屋にレティーが入る。
「あはは、こんな気分のいいのは初めてだ」
「そうか、それは良かったな! 酔っ払い」
かなり飲んだようでベロベロのレティー。
俺もようやく部屋に戻ると久しぶりのベッドの感覚に瞼を閉じる。
翌朝はレティーがギルド証がないらしいので作りに行く。
「さすがお嬢様だね」
「面目ない」
「いや、そんなつもりじゃないけどさ」
受付に行くと、
「あ、皆さん! 今回はありがとうございました!」
と受付だった、ミザリーギルド長だ。
「本当、苦労したぞ、もう塩漬けは無いだろうな?」
「はい! ありません! 今回は本当にすみませんでした」
と頭を下げてくる。
「まぁ、無事に帰ってこれたしいいけど。ランクは把握しとけよ?」
「はい! 本当は偵察して帰って来られたらSランク冒険者を呼ぶ予定でしたので」
「あれから逃げるのは無理だ。何人死んだんだよ!」
「あ、あはは、そうですよね。すいません」
とまた頭を下げる。
「まぁいい、レティーのギルド登録をお願いするよ」
「はい、まだ代わりの受付がいないんで私がやりますね」
とレティーはFランクから始める。
「これがギルド証か! やっとスタートラインだな」
「だな」
ギルド証ができたが、まだダンジョンに入るのはやめておく。流石に疲れたからな。
喫茶店でお茶をする。
「レティーの父達はどうしてるんだ?」
「没落が決まる前から金を集めていたらしくて隠居してるよ」
「そうか、それはなんともなぁ」
(娘はなんとも言えない気持ちだろうな)
「私は、ああはならない! ノブレスオブリージュだ」
「あぁ、貴族の義務ってやつだろ?」
正義感が強そうなレティーだしな。
「そう、私の祖父が、まさにそれだった!」
「立派だったんだろうな」
「あぁ、私は祖父の信念を胸に頑張るぞ!」
「そうか、応援するよ」
「あ、あはは、今はFランクになったばかりの冒険者だけどね」
と笑うレティーはちゃんと芯を持って頑張るんだろうな。
「そうだ。レティーは何を使うんだ? 武器やに行こうと思うんだが」
「私は剣と盾だな。ケントと一緒に前線で戦うよ!」
「タンクか。なら一緒に武器を買いに行こうか」
(俺の剣も直してもらえればいいのだがな)
街を散策しながら武器屋に行くと、
「お、今流行りのAランク冒険者か?」
「なんで分かるんだ?」
「そりゃ新聞にデカデカと書いてあったからな」
あぁ、瓦版みたいなやつか。
「それに勇者は載ってたか?」
「おう! 今は帝国側に行ってるようだな」
「へぇ、王国じゃなくて帝国もあるのか」
(初耳だな)
「なんでぃ、何にも知らないのか?」
と親方は地図を出して、
「この大陸には王国、帝国、神聖国の三つがあって、王国が一番魔王国から遠くてデカい。3カ国同盟で勇者召喚をしたんだぜ」
(帝国と神聖国が魔王国と隣り合わせなんだな)
「ありがとう。よくわかったよ」
「おう! で? 武器はどうする?」
「これは直るかな?」
とこれまで使ってた剣を出すと、親方は剣を抜く。
「こりゃミスリルコーティングの剣か、さすがにもう寿命だな」
「やっぱりか」
(折れずに頑張ってくれたんだもんな。ありがとう)
「よし、新しい武器を買うよ!」
「そう来なくっちゃな! これなんてどうだ?」
と見せて来たのは青銀の剣だ。
「こりゃ、アダマンタイトとミスリルの豪剣だ。使い手がいなくてな」
鞘から抜くとしっくりくるな。
「俺は決まったな! これをもらうよ」
「おし、小手も付けてやる。あとは?」
「レティーだな。剣と盾だ」
「タンクと言うか騎士だな。ならいいのがある」
と奥から持って来たのは盾にブレードが付いている。
「『ナイトオブシールド』ってもんだ。鞘とシールドが一体になってる」
「レティー、持ってみろよ」
「あぁ、重さもいい感じだ」
「なら決まりだな」
と代金を払う。金貨1000枚だ。
「すまない、私は金は」
「いいよ、その代わりちゃんと仕事してもらうからさ」
「ま、任せてくれ!」
と言うことで俺とレティーの武器は新しくなった。
「レティーはあと防具だな」
「そこまで面倒見てもらうわけには」
「いや、死なれても困るからな」
「す、すまない」
防具屋に行く、といっても隣にあるのだが、
「あら、嬢ちゃんの防具」
「そうだ、いいのを選べよ?」
「分かった」
とおばちゃんと話をしている。
武器に金貨1000枚は痛いが、まぁいい買い物だろう。
「ど、どうだろうか?」
「おぉ、ナイトって感じだな」
動きやすそうな胸、腕、腰、脚と騎士甲冑よりは肌が出ているが、十分じゃないかな?
「んじゃこれで」
「はいよ。金貨600枚だよ」
まぁ、先行投資だな。
「すまない」
「気にするな、また稼げばいいだけだからな」
盾も背中に止めて歩くのにも支障はないようだし、背の高めのレティーにはよく似合う。




