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島田金物店

島田金物店の店主は気難しそうな顔をしている、というか、度がきつい眼鏡をしているために表情がわかりにくく、いつも気難しそうな顔をしているので不機嫌のように見えるが、これはあくまでもただの地顔であり、実際には、朗らかで温厚な性格の人だった(シマオ談)。


老眼の為に細かいものが見えづらく、しかめっ面をしながらものを見るのでそういう印象になると言えばお分かりいただけるだろうか?


フジショーはここの店主に声をかけるのは気が引けると白状したが、そこは空気を読まないのが特技のレイヤだ、物おじせずに話を聞いたのだったが、店主は「う~ん」と唸った後、「聞いたことは無いなぁ」と続けた、「この辺は山の中だから、島とは縁がなさそうだからなぁ、ふ~む」案外一生懸命考えてくれているようで、さっきまで読んでいた新聞紙を勘定台の上において、子供達の話に付き合うのであった。


大人のこういう態度に、子供たちは期待するもので、あの、いつも冷静なシマオでさえ勘定台に詰め寄る程だった。


店主は続けて言った、「言われてみると、そうだなぁ、宝田の地元の農家の人たちの苗字は”田島”って名字が多いよなぁ、そこは俺も不思議だと思っていたんだよ、お前さんたち、なかなかいいところに気づいたなぁ」、褒められたので3人ともちょっと得意げな顔になったが、その点に気づいたのはシマオだ、という事実を指摘する者はいなかった。


「そうそう、以前に、地元の農家の人から話を聞いたことがあったんだ。島神社の改修工事に必要な工具を納品した時にね。あの辺は昔から川がよく氾濫していて、氾濫って言うのは洪水のことだな、うん、それで、洪水になっても、あの神社がある小山だけは水の中に沈まないってことで、”多嘉良島”と呼ばれているそうだよ。」と教えてくれた。快挙である!!


子供達は「おおおおおお!!!」と歓声を上げると、珍しくおしゃべりした店主も流石に破顔した。

シマオが礼儀正しく「ありがとうございます!」と言うと、フジショーは「おじさんすげー!」と褒め、レイヤは「そそそそ、それで、それはどこにあるんですか!?」と聞くのであった。


島田氏は苦笑いしながら、「おいおい、まあ、ちょっと落ち着け」とたしなめてから、「用水路と多嘉良川の接しているところにある橋を渡ってから多嘉良川の川下に向かって少し行くと、左手の方に少し小高くなっていてたくさん木が生えている小山がある、あそこだよ」続けて、「ただし、あそこの頂上は神社になっていて、みだりに入ったりすると農家の人たちに怒られるから、遠くから眺めるだけにするんだぞ、地元の人に見つかったらものすごく怒られるからな」といった後、いたずらっぽくにやけながら「特にお前たちくらいの年齢の子供は祟られるらしいぞぉ~」と言った。


3人とも「え~」と不服そうにしながらも、シマオの「気を付けます」という言葉に2人も和した。

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