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異世界動画配信


『ハルちゃんどう? どう?』

「うーん、どうなんだろう」


 だが、ハルトは言葉を言い淀む。

 中々虚をつかれた提案だが、別に学生だからジャーナリズムは欠片もないのでピンと来なかった。


 それに即答は無理だろう。

 これは遊びじゃないのだ。

 戦争で状況が逼迫している中、凜と連絡も継続しなければならなくなるからだ。


『ハルちゃんの動画配信の代替えで配信していたら評判は上場、閲覧数を軽く超えてランキング入りを果す筋書きだよ』

「リアル異世界ファンタジーは受け入れが難しいんじゃないかなぁ。特に戦闘シーンとか。ただの殺伐とした戦争だもん」

『でも、それだと今の現状を誰も分からないでしょう?』

「別に分からなくても良いこともあるでしょ?」

『私は見ていないと心配なの。ハルちゃんが無事ならそれでいいけど、遠くから無事を祈るのは性に合わない』

「で、本音は?」

『JKは見た! 世界初、異世界チート動画!』

「…………………」

『…………………』


 捲し立てた本音がただの衝動とは、相変わらず素直な凜の動画愛にハルトは自身のゲーム魂と相通ずるものを感じる。


「もっとちゃんとした友達の人選すれば良かったと後悔するハルトだった」

『真顔で変なナレーション入れるな!』

「とにかくごめん、無理だよ。命懸けの戦闘に他に気にかける要素を入れたら、戦闘に集中出来なくて死ぬ可能性もある」

『それは分かっているよ。別にゲームじゃないんだから、こちらから何も要求しない』


 そう、実況動画配信はどうしてもある程度の視聴率の為に、色々な計算された行動が必要な時もあるのだ。

 それはゲームも例外ではない。

 コインが必要なアーケード。

 少ない予算で満足のいく成果を上げる為に、凜はプロデューサーとしてプレイ制約や見所を指示し的確に出す。

 それが全てとは断言しない。

 しないが、少なくともまともに機能する良い配信者と悪い配信者に分かれる大事な要素なのだ。


「それでも……」

『ただ、純粋にその世界に興味があるの。お願い!』


 その言葉にハルトは共感を覚えた。


 子供の頃憧れたお伽の世界。

 夜空を眺めて想像した他の星々。

 そして、ゲームで求めた異世界への冒険。


 それが目の前にぶら下がっているのだ。

 誰であろうと、心ときめくであろう。


 なので、目をつぶり手を合わせる少女へ、


「……分かった、時間制限付きならいいよ」

『リアリー?』

「うん。ただし生配信はなし。観るのは長瀬さんだけ」

『えー?』

「当然でしょ。倫理上無理です。後で上手く編集してから公開してよ」

『分かったよ』


 凜は渋々だがそれで条件を飲んだ。

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