バナナと高級メロン
『でもね、ポイントが幾ら沢山あるからといって、何でもかんでも有効にチェックをいれるのはどうかと思うの』
「それは分かる」
『確かにスキルは運営の金儲けの事情で種類豊富に用意されている。けど、不要な物もあるし重複も考慮に入れないと駄目だよ』
「だから、長瀬さんの知恵を拝借したいんだ。時間があるのなら僕自身でも何とか切り抜けられるかもしれない。けど、一刻の猶予がない現状で仲間は多い方が良いに越したことはない」
スキルだけでも2000以上あるが、用途不明なのも多いのは真実。
ハルトは残念ながらそのスキル群の中から正解を導きだす知識が欠落していた。
『強化系の他に補助系も必要だね』
「必須」
『それでなんとかなるんじゃない』
「いや、そうは問屋が卸さないんだよ」
『なして?』
何故そこで否定語と、思わず凜は眼鏡を弄る。
「実は説明書きに思わぬトラップが仕掛けてあってさ、スタッフの下らない洒落が現実になってしまうんだよ」
『またまた』
「本当だって。言霊の力なのかもしれない。ルーンやら呪文詠唱が有効な世界だしあり得ない事じゃないよ」
『信じられないと言いたいけど、ファンタジーだもんね。ありなのか』
第三者が聞いたらハルトの言動はただの妄言、絵空事。
だが、凜だけは全面的に信用してくれると思っていた。
何の確証もないが最初の出会いに魂の共鳴を感じ取った自分のセブンセンシズがそう肯定している。
「スキルは強運。スキルレベル1だから一回だけの攻撃回避」
『うーん、説明書きまで読んでないから確証はないけど、見たことはあるかもしれない』
「それで、何故かバナナの皮が転がっていたんだ。ヴァージニアさんの反応だとこの世界には無いものだと推測出来る」
『なるほどなるほど。ハルちゃんのずさんな説明じゃ実感湧かないけど、取り敢えずは見えてきたよ』
ノーパソにメモをとっていた凜なりに分析していた。
研究型のゲーマーはまず情報収集から入る。
凜はその典型。
それよりも本能に忠実な男子高校生の興味は、机に押し当てられた二個の高級メロンへ移行。
弾力ある柔らかゴムボールの様は圧巻、思わず真夏の炎天下に晒されているみたいに喉が鳴る。




