武人は剣で語る
「なら、これならどうだっ!」
「え!? 何でここに……」
バクリュウキョウが闇夜に紛れて急接近。
飛び道具に目を奪われて、本人の位置を誤認したのが原因だ。
だが、戟が一気に下段から迫るも、扇風機の要領で剣を回し弾き防ぐ。
見よう見まねで実行したバクリュウキョウの戟裁きの応用であった。
「いいぞ! 良い使い方だ。幅が厚い大剣は使い方次第で、切れ味抜群な刀にも、どんな物体も叩き壊す棍棒にも、攻撃を防ぐ盾にもなりうる」
『すっかり騙された。衝撃波がくるからって、必ずしもそこにいるとは限らないか』
喜びを共通した二人は賞賛し合う。
続く下段の払いも同じ一撃で相殺。
その後も継続する激しい打ち合いは、ヴァージニアの鼓膜を刺激した。
「お前、本当に数刻前の小娘か?」
「はぁはぁ! その質問、二度目だっちゃ!」
力任せの初戦とは打って変わって、戦闘スタイルが大きく変わった。
だが、斬撃と動きはヴァージニアの癖のまま。そこでひとつの答えに行き着く。
「まるで、誰かに教えを乞うたような、いや、死線を潜り抜けたような動きだ。だが、一朝一夕でここまで違いが出るものなのだろうか?」
その問いかけに対してヴァージニアは、
「当たらずとも遠からずだっちゃ」
「成る程、悪魔に魂を売ったというのも、あながち冗談でも無いというわけか」
武人は実態は掴めぬが、何かを感覚的に理解した。
「ならば、その悪魔ごと打ち払うまでよ!」
「うぐっ」
尻尾による足払いから、掌底、突き、中段払い、中段蹴り、真空波。
大剣では対処出来ず、後方へと吹き飛ばされる。受け身をとりながら転がった。
出来るだけ大きなモーションは命取りだと、数々の戦闘経験から学び、堅実な道筋を選びとった洗練された無駄の無い連撃。
だが、「うむ」戦士は満足げに頷いた。
「ヴァージニア・ウィル・ソード、受け身は良い判断だ。だが、最善ではない。お前なら途中で切り返す事もなく可能だった」
『確かに』
「はぁはぁ、ふざけるなだっちゃ! お前は格闘家か!?」
「実戦は剣のお稽古ではない。生き残る為には古風なしきたりに乗っ取ったお行儀の良い剣術だけでなく、頭や素手と足の格闘術をも取り込まなければならない。そういう泥臭い生に執着した者が何時の世も勝者となる」
攻撃する隙がなく防戦一方になったヴァージニア達は、まるで武術教練を受けている気分になった。




