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ほんのり甘いミルクキャンディーキッス


「で、でも!」

「うるさいうるさい!」


 鋭い蹴りがハルトを直撃。


「ぐほぉぉぉっ!」


 更に転けたハルトの胸倉を掴み、「ぐぶ! ぐべ!」往復ビンタ、トドメに然り気無くおでこへキス。

 ミルクキャンディーの甘い香りが鼻孔をくすぐった。


「なななななな何するのぉぉ!?」


 不意打ちにうぶなねんね風の後退り。


「それは助けてもらったお礼だっちゃ。ありがとう変態な勇者様」


 変態ネタ何時まで続くのかと思いつつも、照れが入っている太陽顔負けの満面な笑顔に心を奪われる変態勇者様。


 立ち上がり尚も食い下がろうと詰め寄ろうとした時、空間がハッチのように開き、「待って隊長さ、え? ――――ノオォォォォ!」謎の大きな物体がスライドしてせりだしてきた。

 分かりやすく綺麗に纏めると、惹かれ合う二人を彦星と織姫のように別つとか切り離すとか表現した方がロマンスを感じるだろうか。


「いてて、一体何なんだよ! な――、ここここれは、我が青春、我が魂ではありませぬかぁぁ!?」


 クロスカウンター的な一撃が入った腹を押さえながらも、その事象を忘却したかのような思いの丈をぶちまける。


 そう、眼前にあるのはハルトが愛した多人数同時対戦型ロボットゲーム、『ヴァニシングライダー』のコックピットルームだ。

 だが、せりだしてきたのは、中身で、外部の球体ではない。何もない虚空から操縦席だけ飛び出してきた。

 まさにファンタジー。


『4番』


 つい先程まで遊びに興じていたマシーンの番号。

 セロテープで固定しているので格好良い外見にミスマッチで目立っている。

 そこに手を重ねると、何とも言えない喜びと悲しみが沸々と込み上がってきた。

 4番機は元々欠陥品で操作性に不具合があり、ハルト以外使いこなせない事から、専用機になりつつあった。

 ライブ配信で知名度が上がり客寄せ出来るので、店側も敢えて修理しないで放置している。


 その時、


 枝を踏みつける音を皮切りに、ハルト達に呼び掛ける威圧的な呼び声と無数の金属音を察知。


「どこにいる出てこイ!」

「隠れれても無駄だゾ!」

「出てこなければ、ここに火をかけル!」


 神という者、慈悲と無情は表裏一体だ。  

 再び風雲急を黄昏と共に告げる。


「は、早く隠れないと!」

「……」


 ハルトはやり過ごすように促すが、相方は反応しない。

 まるでマネキンか魂でも抜かれたみたいだった。


「隊長さん、あ……」


 異変に気付くも、寄り添おうとした矢先、土から出ている根に足を捕られ豪快にもつれる。


 そのまま、「しまったあぁぁ!」操縦席に頭からダイビング、拍子にボタンをプッシュ、そのまま自動的にスライド、ハッチが静かに閉じた。

 

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