↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亡国王女のその日暮らし  作者: ルリヲ・ドルバッキー
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/17

9. 従姉(あね)来る

「やっと…見つけた…」

浮浪者のような風貌の長身の人影がよろよろとビアス公国首都カルコサに近づく。

「そこの者、止まりなさい。一体何用か」

いかにも怪しい風貌に門番が渋い顔をしながら入都の列に並ぶ男を引き止めた。

「あぁ、すみません。この街に訪ね人がありまして」

「訪ね人?誰を訪ねてきた?」

「えぇと…血縁…従妹ですね。長く外国に逗留していまして、久々に帰国したので顔を見に」

「なるほど。念のために名前だけ聞いておこうか」

「マイノ=ネフレンと申します」

「ほう?あまり聞かない苗字だな。ネフレン…聞き覚えがあるような」

門番は一瞬考えこんだものの、何も思い当たらなかったのかすぐに顔を上げる。

「まぁいいか。それなりの家系なのだろうから怪しまれるような風貌は慎むように」

「ご忠告痛み入ります」

相変わらずよろよろと揺れる長身。

列に戻り歩を進めるその背中を見つめる刺すような視線。

門番はその視線に気付く事など無くどこか釈然としない表情で見送った。


◇


なんだかモモコがトゲトゲしている。

いや、別に機嫌が悪いとかではなく、なんというか見た目がトゲトゲしているのだ。

なんだろう、毛を逆立てた猫みたいな。

「どしたのモモコ」

遅めのお昼ご飯をもくもくと食べながら尋ねる。

「いや、なんとなくあまり良くない事が起きそうだなと」

「んえぇ~、モモコの予感は結構当たるからなぁ…」

そんな事を言っているとダンダンと戸を乱暴に叩く音が響く。

ぶわわとモモコが更にトゲトゲになっていく。

「良くない事が来た?」

「どうですかね…」

戸を叩く音が大きくなる。

『ナーイアちゃーん、居るのは分かってるんだよー?出ておいでー?』

「この声は…」

思い当たる節がある。

てっきり行き倒れて死んだと思っていたんだけども。

仕方なく戸を開ける。

次の瞬間、大きく、暖かく、柔らかな感触に包まれる。

「マイノ姉さん、生きておられたんですね」

「あー、ナイアちゃんだ。ようやく会えた…」

ぐすぐすと鼻声が頭の上から聞こえた。


◇


「まさか5年も音信不通だったマイノ姉さんが生きているとは思いませんでしたよ」

モモコに用意して貰った紅茶を啜る。

「ん、まぁね。…それよりも、アタシが居ない間に随分色々あったみたいだね」

「えぇ、本当に色々と」

「念のために聞くけどアタシの両親は…」

「…ご立派な最期でしたよ」

「そっ、か」

泣くとも笑うともつかない表情を浮かべた。

「悪かったね。全部背負わせちゃったみたいだ」

伏し目がちに言う横顔は少し寂しそうに見えた。

「気にしないでください。私は私の意思で背負ったんですから」

「国の復興なんかは…」

「今のところは考えてないです。元々窮屈だったんですよ王女なんて」

急に立ち上がった彼女に頭をグシャグシャに撫でつけられる。

「何するんですか!」

元々そんなに整っていなかった髪が更にぐちゃぐちゃになる。

まるで鳥の巣だ。

なんとか撫で回す手を押さえつけ軽く睨むとようやく解放される。

「…今は幸せかい?」

「えぇ、人並みには」

「そうか」

マイノはにかっと笑った。

昔から変わらない笑顔に不意にドキリとする。

「んんっ、とりあえずマイノ姉さん」

咳払いを一つ。

気を取り直す。

「うん?」

「格好、なんとかしましょうか」

「うっ、やっぱりきついか…」


二日に一回程度更新予定です。

書きためは枯渇気味。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。