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亡国王女のその日暮らし  作者: ルリヲ・ドルバッキー
第一章

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8. 神の落とし子

王都へ戻った翌日。

早速ユリウスからの迎えに応じ、いつもの応接室で相対する。

「さて、まずはこれが約束していたドラゴン狩りの報酬だ」

上等な革袋がドサリと目の前に置かれる。

「おほー!これはまた随分奮発してくれたんじゃないのぉ!?」

「色々あったからな、当初より色をつけておいた」

手に取ればずしりとしっかりした重さを感じる。

これだけあればしばらくは遊んで…。

ゾクリ。

背筋に冷たいものが走る。

イマジナリモモコが私を見つめる。

『ナイア?分かっていますよね?』

はい…。

「おい、どうした。おーい!」

「ハッ!」

キョロキョロと周囲を見渡すが異常はない。

息を吐き出す。

「さて、早速だが聞かせてくれるか?お前の『お話』を」

「ん。お話ってほどでもないんだけどね、私はあの魔獣を知っている。多分ね」

「…ほう」

表情が真剣なものになる。

「あれはそう、故郷にあった『異神目録』という禁書に、よく似た魔獣が描かれていたんだ」

「異神!?あんなものが神だとでもいうのか!?」

「まぁまぁ、落ち着きなよ。厳密にはあれは神ではなく神の落とし子、という性質のものだったはず」

「つまり俺たちは神に連なるもの、神の落とし子を殺した…?ハハッ!そのうち天罰でも下るんじゃないか?」

虚勢を張ってはいるが明らかに動揺しているな。

神への信仰が薄いこの国の人間ですらこうなるのだからこんな話はしたくなかったんだけどもね。

「大丈夫さ。まだ、大元は来ていない」

「来ていない?その保証は?」

「無論、まだこの世界が平和だからね」

「…もし大元が来たらどうなる?」

「さてね。予想もつかない」

「…」

黙り込んでしまう。

心の整理が追いついていないのだろう。

紅茶を啜りながら次の言葉を待つ。

「その、『異神目録』は今どこに?」

「故郷が滅んだ時に燃えちゃったよ」

「そう、か」

気まずそうな顔をする。

忙しいやつである。

「さて、ここで問題がある。あの魔獣、今後は便宜上『子山羊』とでも呼ぼうかな。『子山羊』はこの世界に自然に存在するものではないし、自然に発生するものでもない」

「…意図的に呼んだ者がいる?」

「その通り、さらに『異神目録』やそれに連なる神を祀り、治めていたのは私の国以外には無い…はず」

「お前の国の生き残りが事を起こした可能性が高い、と?」

「多分だけどね~」

だらりとしっかりクッションの効いたソファに身体を預ける。

「一度、リックの森は調査をせねばならんか…」

「そうだねぇ、あとは行方不明者の調査もかな」

「…生贄か」

悲痛な表情をする。

心が痛むなぁ。

「腐っても神様、それに連なる者を呼ぶとなればね」

「分かった。それについては調べておく。因みに森の調査についてだが…」

「私が行こうか?」

「そうしてもらいたいのは山々なんだがな。お前の国の生き残りが関係している可能性があると分かった今、公国の人間としては直接関わらせるわけにも…。いや、お前を信用していないわけではないんだがな?」

焦ったように弁明をするユリウス。

なんだか安心してしまう。

全く律儀な奴だ。

「いいよいいよ気にしないで、私だって殿下の立場ならそうするしかない。じゃあ何かあれば教えてよ。協力は惜しまないから」

「…すまない。助かる」

生き残り、ね。

さて、あんなものを呼び出せるくらいだ。

おのずとやりそうな奴は限られてくるけどね…。

まぁ、今悩んでも仕方がない。

何か動きがあるまで待ちましょうか。

二日に一度程度更新予定

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