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亡国王女のその日暮らし  作者: ルリヲ・ドルバッキー
第一章

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16/17

16. ミーツ・プラチナム

ちょっと待て、メイセム=デイ?

例の白金級ワーカーがなんでこんなところに?

「あ、そうだ君!そこの君だよ!」

不意に肩を叩かれる。

「…あ、私?」

振り返ればメイセムがなにやら言いたげな表情で立っている。

「そうそう。あんまり女の子があんな殺気立つもんじゃないぜ?」

「は、はぁ…」

なんだこいつ…。

「かわいい顔が台無しだ」

スパン!

手が出た。

平手がメイセムの頬に刺さる。

別に嫌な気分になったとかそういう事ではなく。

なんだろう、キラッと星が飛びそうなほどの爽やかな笑顔に腹が立った。

自分でもびっくり。

「あ、のぉ~すいません。まさか手が出るとは自分でも思っていなくて…」

無茶苦茶言ってるのは分かるがそうとしか言えないのだ。

いや、ほんとうに申し訳ないとは思っている。

「グフゥ、気にしないで、良い平手だったよ…」

口の端から血を垂らしながらも尚胡散臭い笑顔を崩さない。

「流石、『国落とし』のナイアちゃんだ」

「…何故私の名前を?」

「おや、自分の知名度を認識していないのかい?一国を一人で滅ぼし、史上最短での白金級昇格。偉業だらけの新人ワーカー、知らない方がモグリってもんさ」

そんなに私は有名人だったのか。

全く意識していなかった。

もう少し外にも気を向けておくべきだろうか。

「ま、ということで仲良くしてくれよ。君には分かるんだろう?竜型魔人(ドラグノイド)の良さが」

差し出された手をガッシリと握り返す。

「あぁ、分かるとも!」

今、理解した。

目を見れば分かる。

メイセムは信頼できる男だ。

竜型魔人(ドラグノイド)の良さが分かる奴に悪い奴はいないのだ。


◇


「やはりだなぁ、美しい鱗と筋肉!これに尽きる!」

ドン!とメイセムがグラスを勢いよくテーブルに下ろす。

「しかしだメイセム君!このアンナちゃんのマズルを見なよ!短めだがシュッとしていて…非常にえっちじゃあないかい!?」

バシンと再びアンナちゃんに頭をはたかれる。

脊髄に響くね!

「分かる、分かるぞ!こう…顔をだな、咥えられたいよな…」

「あぁ~、分かる。…アンナちゃん!咥えてよ私の顔を!」

「今はお店だしぃ、また今度ねぇ?」

「聞いたかメイセム君!これが常連の力だよ!」

「くそぉ!羨ましいぃ!…この国に移籍しようかな」

その晩、私は代えがたい友を新たに得るに至った。

変態達の夜はまだまだ続いていく。


二日に一回程度更新予定です。

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