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大晦日、首都で倒れた少女

大学がある首都ディモイゼは、

とにかく空気が合わない。


上京してから、

心身共にひどく不安定になっている。


ツヴェルフェト王国の大王がいる大神殿などは、

見るだけで吐き気がするほどだ。


「首都ディモイゼそのものに原因がある。」

思わず、そう考えてしまう。


でも、そんなことあるわけがない。

うまくいかない人生を恨んで、ディモイゼに八つ当たりしてはだめだ…………


しかし、母が世を去った頃から、

不調は明確になった。


――憎悪のような感情に取りつかれて、目まいがする。


――常に空腹で吐き気がする。


――金輪が嵌められたように、頭がギチギチと痛む。


――うなじは焼けつくように痛くて、痒い。


冬の長期休暇に入る頃には、

私は頻繁に大学を休むようになっていた。


****


大晦日(シルヴェスタ)の夕暮れ……

ツヴェルフェト大学には人影もない。


私は、高い塔の屋根によじ登り、

ドーマーに頭をもたせかけて、街の光を遠く眺めていた。


高くて、狭くて、誰もいないこの場所は、

多少なりとも私を落ち着かせてくれる。


ふと空を振り仰ぐと、鼠色の雲が空に広がり、

ゆるゆると雪が舞い降りてくる。

随分冷えてきた。


あと数時間で訪れる新年に向け、街並みに光が満ちていく。


私はブルリと身震いすると、

屋根をするする走り、ポプラの大樹を伝って地面に降りた。


食堂は閉鎖され、寮の自室には食料もない。


やむを得ず街に向かうが、

案の定、妙な憎悪の感情が沸き起こり、激しい目まいが襲ってくる。

それでも、笑いさざめく人混みを縫って何とか食料を調達した。


――しかし、もう限界だった。


大きな橋の中央で、とうとう歩くこともできなくなった。


呼吸が苦しい、

動悸が激しい、

声が出ない、

うなじが痛い、

光と音楽に満ちた街で、

ぼろ雑巾のような私に気づく人はいない。


急に目の前に止まった馬車と、背の高い人影の映像を最後に、


――私は意識を失った。


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