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「エクウスの俊才」が見る影もない
「『エクウスの俊才』が見る影もないな。」
学友の嘲笑が耳に響く。
――私は、神馬エクウス州高等学院の、
最優秀成績者だった。
数名の学友と共に、国内随一のツヴェルフェト大学に推薦され、
希望に胸を膨らませて上京したのが、今年の春。
しかし、上京後の最終試験で失敗し、
今は、「窓際」学部に在籍している。
「高等学院じゃ、色目でも使ってたんだろ。」
「ああいう風になりたくないねぇ。」
「行こうぜ、『窓際』が伝染る。」
毎日浴びせられる学友たちの嘲笑。
私を餌にした優越心。
――故郷、エクウスには母がいた。
母子家庭で親類もなかった。
母は、私を学校に通わせるため、
どれほど苦労しただろう。
孤独で、心が壊れそうな毎日……
でも、母のために、
来年は上位学部に転部しようと、
歯を食いしばって勉学に励んでいた。
しかし、その母が、
一か月前に病死。
私は、母に恥をかかせたまま、
母の死に目にも会えなかった。




