信仰されていました。
( ゜ー゜)テケテケ(更新でございます)
ダナンが言った案内人というのも、つまりコボルトの旅鉱夫のことらしい。
コボルトの旅鉱夫は中央大平原のあちこちを掘って集めた鉱石や宝石などをカリパック男爵家に売り、リトルバードに持って行く物資を預かる。
それを持ってリトルバードに向かい、そこで物資と日誌を交換。
そのままあちこちを回って採掘活動をしてから、カリパック男爵領に戻って日誌を提出、再び預かった物資をリトルバードに届けに行く、というサイクルらしい。
コボルトは戦闘力のある種族ではないが、危機察知能力が高く、穴掘りが得意である。
まずいことが起きれば穴を掘ってやり過ごすという方針で危険な中央大平原を生き抜いているらしい。
それについて行け、ということのようだ。
まずは案内人であるコボルトの旅鉱夫たちが来るまで、カリパック男爵ダナンの邸宅で待機をすることになった。
普段通りなら、旅鉱夫たちは数日中にやってくるということで、カリパック男爵邸に滞在したリィフたちだが、居心地としては【白虎門】の向こうにあるルルスファルド邸やマヨイガのほうが上等である。
マイス僧院に比べればまともな生活環境ではあるが、十四歳で領主になるというリィフの境遇に同じく十四歳でカリパック男爵家の当主となった男としての矜持を刺激されたらしい、ダナンの苦難の半生と自慢を延々と聞かされるのには閉口せざるをえなかった。
話の途中で姿勢が悪いだなんだと罵声や拳が飛んだりしないだけ、マイス僧院の説法よりはましだが、一緒に付き合わされているアルシードやバッカニアのことを思うとはらはらさせられた。
特にバッカニアがいつ「黙れ」と言い出すか、手刀を入れて眠らせたりしないかという点が心配だった。
そんな中、
「ひとつ、提案があるんだが」
昼食を終えたリィフとアルシード、バッカニアと向き合ったダナンは、ごほんと咳払いをして言った。
「なんでしょうか」
「君のメイドのことについてだが、こちらで、預かるべきだと思うのだ。そちらの執事はともかく、普通の娘だろう。リトルバードの生活に耐えられるとは思えない」
ありがたい提案、とは到底言えないが、当然の心配とは言えた。
見るからにタフに見えるバッカニア、マールゥト侯爵家の血を引く貴族としてリトルバード入りをするリィフと違い、アルシードは繊細な容姿の可憐な少女だ。
あえて過酷な生活をさせることはないと思うのは、自然な発想だろう。
アルシードとバッカニアは西海出身だが、ルルスファルドの翻訳魔法で話は理解できている。
顔を強張らせたアルシードは、小さく首を横に振った。
嫌です、と明言をすることは避けたようが、否定的な反応であることは明らかに見て取れたが、ダナンは構わなかった。
「リトルバードは厳しい土地だ。今は良くても、いずれは後悔することになる」
言い聞かせるような調子でそう続けた。
どう対応していいのかわからないのだろう。
アルシードは何も言わず、うつむいた。
「はい」とは言えないが、拒めばリィフの立場を悪くしてしまうかも知れない。
板挟みのようになってしまったのだろう。
アルシードというのは、そういう配慮をしてしまう少女だ。
「ご配慮ありがとうございます。少し、考える時間をいただけないでしょうか」
リィフは助け船を出したが、ダナンはなお続けた。
「リトルバードに行って、一年以上生きられた者はいない。君のような若い娘までもが命を落とすのは忍びない。聞き分けなさい。今ならまだ間に合う」
この場で結論を出させるつもりらしい。
――ルルス。
そばに浮いている幽霊に伝言を頼む。
直接自分で言ってもいいが、そうすると「忖度させた」などとダナンに取られかねない。
硬直しているアルシードに、ルルスファルドが耳打ちをした。
<判断は任せる。自分の言葉で、思うように答えよ>
その言葉を受けたアルシードは顔を上げ、リィフに視線を向けた。
リィフが小さくうなずいて見せると、アルシードはダナンに目を向けて、口を開いた。
「私が生きられるのは、リィフ様と、バッカニア様の側だけです。他の場所で生きるつもりはありません」
アルシードは迷いなく、きっぱりと言い切った。
返答自体はともかく、こうも迷いなく言い切られるとどうしようもなかったようだ。ダナンは目を白黒させたあと、小さく唸るように「そうか」とつぶやいた。
「そこまで思い定めているならば、仕方ないが……本当に、大丈夫かね?」
強引さ、性急さはあったが、ダナンにも邪心はなかった。
普通にリィフ達の先行きを案じて、アルシードだけでも助けてやれないかと思っての申し出だったのだろう。
アルシードにも、そのあたりのことはわかったのだろう。
柔らかい表情で、「ありがとうございます」とうなずいた。
「けれど、リィフ様とバッカニア様のおそば以上に安全な場所はありません、この世界のどこであろうと」
絶対的に信頼されている。
ありがたいことではあるが、さすがに狂信的に見えたのだろう。ダナンの表情に「本当に大丈夫なのか?」と心配するような色が浮かんだ。
そのあたりについては、信頼されている本人も少なからず感じているところではある。なんとも言いようがなかった。
( ゜ー゜)テケテケ(お読み頂き有り難うございました)
次回更新は夜19時を予定しております。
「面白かった」「もう少し読んでもいい」と感じて頂けましたら
下の☆☆☆☆☆の評価部分や『ブックマーク』のところをテケテケポンと叩いて応援を頂ければ幸いです。




