第24話 お母様
5日は長いのに、2日は短いね
私のお母様は愛らしい人だ。
ここ最近、お父様は凄く忙しい。私が、海藻の販売を提案したり、医療計画を提案したり、今まで宰相として、明らかに忙しくしていたのに、それ以上の仕事を作ってしまったのだから、当たり前だ。
その結果、お母様とお父様は2人で過ごす時間が減っているようだ。
お母様もその必要性は、わかっているし、頑張っているお父様の足を引っ張りたくはないから、わがままは言わない。
それでも、不満はあるようで、ときどき、私やマブルに愚痴を溢すのだ。
もっと会いに来て欲しいだの、ちゃんと休んでいるのかだの、2人の時間が少ないだの、寂しいって言う気持ちはよくわかるが、会ってないわけではないんだね。
私は最近、お父様と会ったら仕事関係の話しかしないし、会える数も割と少ないよ。
お父様もお母様も、なんだかんだ仲が良いのよね。義息子のマブルはまだしも、娘の私とすら、王都ではプライベートな時間は、存在しないのに、お母様にはちゃんと作っているのよね。
それでも、お母様は、もっとと声を出したいようだ。お父様には、言わないようだけど。
たぶん、それには理由がある。お父様が頑張っているのには、私やマブル以上に理由があるからだ。
私やマブルには、未だにお母様の病気については、話されていない。
だから、私達には何も出来ないし、憶測でしかない。
けれど、お母様はたまに口にするのだ。
可能性よりも、今を貴方と一緒にいたいのに。
目の前で話している私にも、聞こえるか聞こえないかのような、本当に小さな言葉で、お母様は、1番の愚痴を溢すのだ。
ほとんど無意識に、口に出すつもりもない言葉を。
私は何も気づかないふりをして、お茶を入れ直してあげる。
お母様は、私にとっても大事な人だ。唯一のお母様だ。
それでも、私が手をかけるべきではないことは、よくわかる。
お母様にとっても、お父様にとっても、2人の一番はお互いなのだ。もちろん、私やマブルを見ていないわけではないけれど、心からの一番ではないのだろう。
政略結婚で結ばれたような、2人なのに、そんなに想い合えるなんて、羨ましくて仕方がない。
私も、本来なら、こんな風になりたいなんて、思ったのだろうな。今の私には、難しそうだけど。
だから私は、私が出来ることをしよう。実際に出来ることを。
茶葉の研究を始めてからは、お母様の茶葉は、私が調合するようになった。安心感を得やすいものや、血行を良くするもの、健康を促せそうなものを、納得がいく出来になったら、まずお母様にあげた。
お母様は嬉しそうに、感想をくれた。効果とかは、あまりピンときてなさそうだったけど、味とかには敏感だ。
お母様の好み以外にも、どの婦人に受けるかも教えてくれるので、勉強にもなる。
お母様の健康につながりながら、勉強にもなるし、お茶会でお母様が紹介してくれるので、人脈にもつながる。
本当は、いずれ病に蝕まれ亡くなってしまうというのなら、調合した茶葉に毒を混ぜ、私が少しずつ蝕んで、お母様を殺したい。
本当に動けなくなり、床に伏せったお母様を前にして、解毒薬を見せながら、動けないお母様に事実を伝え、その上で最後のティータイムを過ごさせてあげたい。
消え入りそうな声で、力なく動くその唇は、最後にどんな言葉をつぐんでくれるのかしら?
そして、私はその言葉に返答しながら、最後のお茶を飲ませてあげるのだ。
その言葉への、返答は聞くことは出来ないだろうけど、その時表情だけでも、笑ってくれたらな。
なんて。。。それは無理よね。
最後に言葉を交わすなら、お父様と交わしたいだろう。
私とも話したいことは、あるかもしれないけど、最後はお父様だ。それはわかる。
だから、そんなことは出来ない。わかってる。
気づけば、医療計画から、2年の月日が経っていた。医療計画は順調に進み、保険の制度や、医療機関も充実し、医療計画の目処が立ち始めていた。そろそろ、ヴィルランク領で本格的に運用しても良さそうだ。そんな風に思っていたある日、お母様は病により、この世を去ってしまった。
私の手でも、お父様の手でもなく、未だわからぬ、病気によって、奪われてしまったのだ。
いつもより、短くなってしまった。
ボリュームが、どれくらいになるか、もう少し計算できるようになりたいな
来週は、もう少し、頑張ります




