第23話 医療計画
結局、昨日書けませんでした。すいません。
また、領地へ帰って来た。
去年は海藻類の研究に時間をかけてしまったので、本来領地でやりたいと思っていた、医療関係のことに着手したいと思っている。
使用頻度の高そうな薬類の材料をどこまでコストダウン出来るかや、それらの栽培場所の確保。そして、医療行為の重要性と、その為の法整備を行わなければいけない。
薬学関係の研究は、令嬢では出来ないと考えていたが、今年から行われた社交会で少し考えが変わった。
絶対に不可能では、無いように感じた。
例えば、薬学とは多少ずれた範囲ではあるが、茶葉や食べ物なんかにも、疲労回復効果やリラックス効果など、人の安らぎに繋がるものは結構多い。
そして、そういったものに凝っている貴族令嬢は居たりもする。
騎士の奥様なんかだと、一緒にいるときは、安らぎを感じて欲しいとかで、味を夫の好みに合わせつつ、筋肉疲労に効果の高い茶葉を用いれるように調合していたり、文官の奥様でも、眼球疲労だとか肩こりとか、それらに適した茶葉の調合を奥様自身で行われる人もいるようだ。
そんな話を聞けたときは、仲の良さが窺い知れて、思わず頰が綻んだ。
まぁ、良い旦那様を勝ち取る為の、女性の1つの術のようでもあるようで、多くはないが、そういった研究をしている人もいるようだ。
なので、まず茶葉の調合や栽培から、着手しつつ、王都よりも時間を作りやすいお父様に相談しながら、保険制度の導入について考えがえていきたい。それと、同時進行で医療関連の研究についても行なっていければと思っている。
軍に医療所が存在するので、全く情報が無いわけではない。しかし、市民への供給率は低過ぎるように思われる。軍と貴族で独占しても、発展が遅れるだけだ。結果として、伝染病なんかが蔓延した時に、対応が後手に回り続けるだけになるのだから、医療制度と保険の制度は出来るだけ早く着手したい。
私が皇后になるよりも早く土台だけでも作り上げておきたいものだ。
手始めに、ヴィルランク領で運用出来る様になろう。
まずは、お父様の説得だ。一応マブルにも、話は振っておこう。
『という訳で、医療機関の設立と保険制度について、考えていきたいので、軍の医療機関にある医療関係の情報かそこで働いている人もしくは、働いていた人を雇ったり、お話を聞くだけでも出来たりはしないでしょうか?』
『ふむ。また、面倒な改革を考えたものだな。民間にも医療機関を増やすということか?しかし、医療関係は研究にしても、治療にしても、費用が高くつく。商売としても難しいだろうし、受診しようと思うものも、少ないのではないか?』
お父様が悩ましげに、目を細めた。
『その為の保険制度です。税が多少上がったりするため、不満は出るかもしれません。しかし、そこは領主の意向ですから、横暴になりすぎなければ、領民達はついてきてくれるでしょう。必要性は示すことが出来るはずです。なので、調整さえ失敗しなければ、そこまで不可能ではないでしょう。』
昔、アリルにも軽く治療行為について話を聞いているし、必要性はわかる。それに、治療する為に、平民はそれぞれ独自で割と色々なことをしている。治療行為にかかる値段は、人それぞれの為、下調べは必要だが、調整次第では、人によっては安くもなるし、効能も上がる。
『そして、医療機関を民間にも設立して置くことは、私達の為にもなります。伝染病なんかは、絶対数の多い平民から、流行り始め、私達にもやってきます。それに平民の減少は、税の減少に直結する為、発見を早期化し、対策を組める場所が必要となるのです。』
『たしかに、姉さんの言う通り、ないよりは確実にあった方が良いですね。』
『軍に専用されている方が、間違いだということか。』
現状、軍に医療機関が存在し、研究なんかもそれらが行っている。そして、驚くことに別に、独占しようと思って独占されている訳ではないと言うのが、一番の問題だろう。
国が安定せず、他国との戦争が多かった数十年前に、医療機関を王都に集めさせられた。火種となる地に、直ぐに派遣出来る様にする必要があり、国家が一丸となって動いていたので、その必要性は良くわかる。
しかし、それ以降、ある程度他国との戦争状態が終わったり、止まってからは、中央にあり続ける必要性は皆無となっているはずだ。
結果、騎士達の練習などの怪我の為に、存在はしているが、医療機関としては停滞にも見える。
その結果が、子供用に治療液が改良されたりするだけになってしまっているのではないかと思われる。
戦争のおかげとは、あまり言いたくはないが、戦争中は発展が見られただろう。
それを今度は、民間に役立てるという方針は、時代の流れとして間違ってはいない筈だ。
『そうです。騎士達の利用頻度が減り、医療従事者の仕事の減った今こそ、民間にも医療を行き渡らせるチャンスのはずです。手始めに、ヴィルランク領内だけでも、改変していきましょう。そして、いずれは私が国家規模で行いますわ。』
『わかりました。僕も姉さんがいなくなった後も、きちんと領を運営出来る様に、色々と考えてみます。僕にも、教えてくれたのは、その為でしょう?』
『ええ。新事業に携わってみるのは、良い勉強になるはずよ。けれど、それだけじゃないわ。貴方の意見も欲しいのよ。貴方も日々精進して、沢山勉強しているでしょう。』
マブルは少し、驚いた顔を見せつつ、嬉しそうに頷いてくれた。
『では、医療関係については、私からも色々と調べてみよう。ヒーラン達にも、資料は届けさせる様にしておこう。しかし、そうなると王都に戻りたくなるな。』
『はい、お願いしますね。そうですね、医療機関については、王都に戻ってからになるとは思いますが、領地でも行って欲しいことがあります。薬には、植物や微生物なんかがしようされるはずなので、それらを育て保管出来る場所の確保をしておいて欲しいです。これらは、民間で運営させても、ヴィルランク領主の仕事としても構いませんが、それなりの収入にもなるはずです。薬品によっては、作り方が確立されていると思うので、無駄にはならないでしょう。』
『ふむ、わかった。マブルも一緒に来い。領地経営についても、ついでに色々と教えられそうだ。』
『はい、わかりました。姉さんは?』
『私は別方面から、研究の練習としてしたい事があるの。医療関係の研究は、軍の資料に一度目を通してからしたいから、今年はできないでしょ?だから、今年はオリジナルの茶葉の調合をしたいのよ。お茶にもリラックス効果や疲労回復とか、医療関連と近しいものがあるから、丁度良いかと思ってね。』
『あぁ、いいですね。それも。茶葉にも色々ありますからね。お母様に習って、色々と調合しているって、お茶を勧められた事がありました。香りから風味まで、一杯でずっと楽しめたのを、覚えています。』
マブルは、少し表情を緩めながら、思い出す様に教えてくれた。
『あらあら、そんな子からもエールを貰っているのね。もう、お相手に目星は付けているのかしら?』
『え!?え、いや、そんなんじゃないですよ。たまたま、流れで頂いただけで、僕にはまだ、考えるには早すぎます。』
少し顔を赤らめつつ、表情を崩すマブルは、少し新鮮だ。可愛らしく、動揺する姿に胸が温かい。
『まぁ、マブルの場合は、学園に入学してからでも、遅くはないはずよ。ゆっくり悩むと良いわ。』
『……ええ、そうします。』
『別に、決めてるなら、相談してくれたって良いのよ?』
『え!?…………………いや、それは良いです。こういう事は、自分で頑張ります。』
自分で、頑張って捕まえたい。とでも、取れそうな、熱い言葉にも聞こえそうな言葉だったが、私は驚いてからの、間の空き具合を忘れはしないわ。
マブルが初めて領地の屋敷に来て、お家案内をした日。マブルに言いよる令嬢の真似をしてみて、盛大に突っ込みを貰ったけれど、そんなにダメだったかしら?
さっきの間は、明らかにそれを思い出した上での遠慮だろう。
全く。
『別に、令嬢への対応だけが、私への相談ではないわよ。その方の領地の名産や家柄。周りからの評価とか、お茶会視点で、調べた情報なんかも提供できるんだからね。』
『あ、それは有難いですね。現状は、そこまで発展している方がいるわけでも無いので、大丈夫ですが、聞きたくなったら、相談させていただきます。』
その言葉で、さっきの間は、やっぱり、私への侮辱の現れととって良さそうね。
マブル、貴方も詰めが甘いことよ。
『ええ、わかったわ。遠慮なく聞きなさい。』
『ありがとう、姉さん。』
『良いのよ。それくらい。未来のヴィルランク家の為ですもの。私にもそれくらいさせなさい。』
マブルが頷いて、話が止まった。
私は一呼吸置いて、話を変える。
『それはそうと、茶葉も色々と試作をしたら、お菓子の時みたいに、試飲してくれるかしら?』
『ええ。楽しみです。』
『ふふ、お願いね。』
茶葉には、様々あるが、毒にも様々なものがあったはずだ。姉の私を馬鹿にしたことを忘れたりしないからね。
これは、殺すためのものではないの。私の気持ちの現れではないわ。
殺さずとも、神経毒もあったはず。体に害のない程度に、体が痺れるお茶でも作ってあげようかな?
来週から、新生活になるため、今週みたいに土日の更新に変わるかもです。
木曜か金曜にするかは、自分の体力次第ですね




