第七十九問
ソロモンよ。私は帰ってきた
えーごめんなさい。五ヶ月も放置してごめんなさい。これからはなるべく時々戻ってこようと思います。
それから次の日、百鬼荘のつぐみの部屋。
「よし、これで大丈夫!」
旅行鞄を準備していたつぐみが満足そうな表情をする。そこにノックの音がして、明奈と芹香が覗き込んできた。
「つっちゃん、準備できた?」
「うん! 芹ちゃんは?」
「にゃー、おわったよ。それにしてもみんなでお出かけなんて初めてかもね」
「そうかも」
基本的に夏休みは百鬼荘でのんびりしているかそれぞれの自宅に帰っている面々、旅行を計画したこと自体がなかった。
「明奈、こっちは終わったで。そっちは大丈夫かえ?」
「大丈夫だよ。男性陣は大丈夫かな?」
「大丈夫だよ。リュウ君いるもん」
「お兄ちゃんはしっかりしてるもん。大丈夫だよ」
「明奈、明奈、見て!」
そこに琉生瀬がやってきた。首には可愛らしい刺繍が施されたバンダナがつけられている。
「お、かわいいじゃん。どうしたのそれ?」
「へへっ、明也が作ってくれたんだよ! 玲汰とソニアとおそろいなの!」
余談だが氷火と明也の分もある。
刺繍は一部分にそれぞれを象徴するものが入っている。例えば、琉生瀬は王冠であったり、氷火はアイヌの模様だったりする。
「わぁ、かわいい」
「明也君ってお裁縫も上手なんだね」
◎
その頃、鍵斗の自宅に武晴が来ていた。
「すまん! 頼む!」
武晴は鍵斗の連絡を受けてここに来たのだが、来た途端に拝み倒された。
「いや、俺は構わないが一体どうしたんだよ」
「事情は聞かんで助けてくれ!」
◎
その頃、カムイの里。
「ふぅ、明也くんたち元気かなぁ」
瓦礫を片付けながら弥生は空を見上げた。
「大丈夫だよ。それにしてもここの街の人たちはたくましいね」
「アハハ、三回目ともなれば慣れが生じるよ」
隣で作業していた淡い緑色の長い髪を一つに纏め、黒い帽子をかぶった青年が遠くを見れば、町の人たちが総出で片づけをしている。その中には動物や獣面をかぶった人間、それに頭が動物で体は人間な生き物なども交じってた。
「そこ、手を休めるな」
そんな二人に水を差す黒髪を真ん中分けした眼鏡をかけた青年。
「知憐のケチ! 大体僕たちは功労者でしょうが!」
「違うだろ。明也たちが真の意味での功労者じゃないか」
「じゃあ、街中で暴れるのを抑え込んでた僕らは無駄だって言うのか」
いつものケンカ腰に入る前に……
「すとぉーっぷ! 二人とも、もうそろそろ止めようよ。明也くんたちが帰ってくる前にどうにかするんでしょ?」
「あ、そうだった」
「続きをするとするか」
金色の髪をボブカットにした少女が止めに入った。それでケンカ腰をやめて作業に戻る二人。
黒い帽子の青年がボブカットの少女に近寄る。
「ごめんね。鈴さん」
「奈津君、いいよ、いいよ。二人のストッパーはあたしなんだから」
その後、一日かけてとりあえず街の復興は済んだ。




