第七十三問
ヒョウガ様、月光閃火様 感想、ご意見ありがとうございます。
伏線張りつつ、ここに来るまでの経緯。
ちょっと前、町外れの神社で。
「だあああああ、何で俺だけ荷物扱いなんだよ!」
辰也は叫んでいた。
まあ、それは正しい。いつも親友だと思っていた時計屋に置いていかれたのだ。「命の保証はできないから」と、ならば時計屋の命も危ないのではないか。辰也のあせりは募るばかりだった。
「もし、そこのお方」
「?」
声をかけられて振り向けば金色のショートへアに赤色の目、巫女服姿の少女と二足歩行をするブーツやマントを付けた三毛猫だった。
「?!」
「すみませんなのです。木原と言うお宅はどちらなのでしょう?」
『おーい、燐音ー、驚いてて聞いてないよー』
三毛猫が喋ったことにさらに驚く辰也。
「あら、すみませんなのです。私は燐音、カムイの里と魔獣の森の守護者なのです」
「は、はぁ。俺に何か用事でも」
「この辺に木原もしくは吉原と言う苗字のお家はございませんでしょうか」
「吉原・・・・先生の家か?」
「まさにそうなのです! ご案内いただけますか?」
「まあ、いいけど」
辰也は一度、百鬼荘へと戻った。
◎
「あ、辰也君お帰り……ってリンちゃん?!」
何故か妙にボロボロになった明奈が辰也を出迎えたのだが、辰也の背後にいる燐音をみて驚きの声を上げる。
「明奈様、お久しぶりなのです」
「いや、何でいるの? 里は?」
「そのことで参りましたの。琉生瀬様はおられますか」
「あれ、燐音じゃん。どうしたの?」
とことこと琉生瀬がやってきた。燐音が来たことを聞きつけたようだ。
「どうしたのではありません! 森の一大事に何をなさっているのですか!!」
燐音の表情を見て本当に拙いことが起こっていると理解した琉生瀬は表情をキッと引き締める。
「どうしたのかな?」
「最近魔獣狩りが横行していますです。天海の輩が大勢来ているのです」
「それにしてもおかしいよ。天海の住人が魔獣の領域に入るなんて。皆は大丈夫?」
天海の住人は基本的に「魔」と呼ばれるものとの関わり合いを持たないようにしている。特に人間界にいる「魔」は荒削りなためなるべく関わらないようにしているはずだ。悠悟は若干珍しい域に入る。
「ええ、幸いにも狩られることはありませんなのですが、時間の問題かもしれませんなのです」
「うーん、わかったよ。明也が帰り次第そっちに向かうね」
「承知いたしましたなのです。明也様にもお会いしたのですが……」
「今ちょっと魔界に行っていてね」
「ではそちらに参ります。懐かしい御仁にもお会いしたいのです」
「え? リンちゃん魔界に知り合いが?」
「はい、レヴィロットと言いまして昔に知り合ったのです」
「! じゃあさ、俺が案内するよ。あいつ魔王城に行くって言ってたし」
明奈には辰也の魂胆が丸見えだったのだがまあ、友達想いっていうのはいいことだなぁということで。
「そっか、それじゃあ金橋君にでも頼もうか。ルイちゃんもいい?」
「わかったよー。もう一人声をかけるね」
そんなわけで彼らは魔界へと向かったのだった。




