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第5話 懐かしい響き
別れ際にその人は名乗った。
「イースだ。イース・ガンティア」
私も、シノンだと自己紹介した。
もし、次会ったら何かお礼をしたいな。
今は持たされているお小遣いしかないから、勝手な事ができないのがちょっと残念。
イース。
なんとなく心に残る名前で、何度も頭の中で繰り返した。
小さく呟くと、どこか懐かしい感覚が蘇ってくる。
よく分からないけど、似たような人と元の世界で会った事があるのかもしれないな。
何となくだけど、また会えると良いなと思った。
その時までにお菓子作りをうまくなって、手作りのクッキーとかプレゼントできたら喜んでくれるかな。
お菓子の材料を持っていたって事は甘いものが好きなのかも。
だったら、スフレに色々と教えてもらわなくちゃ。
考え事をしていたら、遠くにエリーの姿が見えた。
エリーは深刻そうな顔で、ハルジオンとかお金とか呟いていた。
何だろう。
何か困った事でもあるのかな。
気になったけど、すぐに見失っちゃった。




