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第4話 旅人のイース・ガンティア
その目当ての人はすぐに見つかった。
大きな男性だった。
ちょっとくせ毛で目つきが鋭くて、顔が怖いけど、一応頼んでみよう。
「あの、シトラスチョコレートを譲ってもらえませんか! 友達お菓子作りで必要なんです!」
頭を下げてお願いするけど、相手は聞いてくれるだろうか。
おそるおそる視線を上げると、じっとこちらを見る目と合った。
自分の事じゃないのに、妙に緊張してしまう。
ううん、自分の事じゃないからなのかな。
「分かった。少しだけ分けてやる」
「本当、ありがとう!」
その人は私に向けて、チョコレートがつつかれている銀紙を渡してくれた。
足りるか分からないけれど、これ以上頼むのは相手に悪いよね。
私はお礼を言ってその人と別れる。
「ありがとうございます!」
「ああ」
異世界でもあっちの世界でも、知らない人に話しかけるのは緊張しちゃうけど、わけてもらえてよかったな。




