闘巫女
「私もおばあちゃんみたいに「守巫女」になってってゆう話なの?」
落ち着いた私は、対面に座る式神…ウンリュウさんに聞いた。
ちなみにウンリュウさんの隣には、チノちゃんも座っている。
「いえ。本来「守巫女」とは適した者が成る特別な巫女でございます」
「じゃあ私はいったい…?」
「アマネ様は「守巫女」の対になる存在・・・「闘巫女」の力を持っています」
「いくさ…みこ?」
「はい。巫女は本来交互に素質を持って生まれます。
順当にいけば「守巫女」の娘は「闘巫女」、その娘は「守巫女」、そしてその娘は「闘巫女」というように」
「それじゃあ、その「闘巫女」は私のお母さんになるんじゃ…」
「順当にいけばその通りでございます。
ですが、アマギ様は女児に恵まれませんでした。なので次代の「闘巫女」はアマネ様になるのでございます」
確かにお父さんは一人っ子だった。
言い方はアレだけど、お父さんがお母さんだったら、私は「守巫女」だったわけか。
「それで、その「守巫女」と「闘巫女」の違いって何?」
「はい。
「守巫女」は「神機」を一切使えない代わりに、「神機」の力を完全に封印し続けることができます。
対して「闘巫女」は、「神機」の力を最大限引き出すことができる代わりに、一度使用した「神機」は手放すことができなくなり、更に封印する際には、同時に「闘巫女」自身も封印される運命にあるのです」
な、なんかさらっと怖いこと言ったんじゃないの、この式神さん…。
「で、でもさ?私その「神機」なんてもの持ってないよ?」
「ご用意してあります!」
急にチノちゃんが元気よく手を上げた。
「ご用意って・・・」
チノちゃんは足早に部屋から出て行き、数分もしないうちに戻ってきた。
手にハンドボールくらいの大きさの上等そうな木箱を持っている。
ウンリュウさんを見ると、優しい笑顔をたたえたままコクンと頷いた。
木箱を開けると、ちょうど手首にサイズが合いそうな銀のリングが入っていた。
「これが「神機」ねぇ・・・」
何も考えずにリングを手首に通した自分が馬鹿でした。
リングは一瞬で私の手首に寸分違わず、ピッタリと合い、外すことはおろかビクともしなくなった。
「う、ウンリュウさん!?」
「何も聞かずにはめるなんて、馬鹿でございますね」
辛辣な言葉を吐きつつも笑顔である。
「まぁいずれははめていただく予定でしたので、こちらとしては問題ないのですが。
さすがに何も聞かずに装着したのは予想外でございます」
「ううう・・・」
まぁ完全に私の落ち度だ…。
結局装着しなきゃいけないんだったら、いいか…。
「はぁ・・・それじゃあ、これの説明お願いします・・・」
私は左手首のリングをウンリュウさんに見せながら聞いた。
「はい。
その「神機」の名前は「焔帝レーヴァテイン」でございます」
「焔帝…ってことは炎?」
「はい。全ての炎の頂点に立つ神機でございます。
炎を統べる能力を授け、「武装化」すれば強固な大剣になります」
「ちょっと待って、新しいワード出たね。何「武装化」って!そんな直接的に戦うの!?」
式神さんは一切笑顔を崩さない。
むしろその崩れない笑顔故に、彼女が人じゃないと実感を募らせていく。
「どうして「闘巫女」なんて呼ばれていると思ってるんですか?」
・・・おばあちゃんが言ってた「苦労」とか「大変」について、ちょっと考えなきゃならないのかもしれない。




