表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/12

手紙

「ごゆっくりどうぞ!」


お茶を目の前において、巫女装束の少女…チノと名乗っていた少女は、そそくさと障子の向こうに消えてしまった。


おばあちゃんの遺言に従い、やってきた神社で出会った彼女に促され、

私は神社に隣接された社務所、そのなかの一部屋に案内された。


夜の神社って…なんか落ち着かないなぁ…。


程なくして、再度障子が開いた。


入ってきたのは、やはり巫女装束をした女性だった。

チノちゃんもその後ろにちょこんと立っている。


「お待たせして申し訳ないですわね。予定より少し早い到来でしたので」


「あ、やっぱり急でしたよね」


「いえ、それでも誤差の範囲内でございます」


落ち着いた雰囲気で、柔らかな表情。

綺麗な艶のある真っ黒な長い髪。


ふと、中学の頃に見せてもらった若い頃のおばあちゃんの写真を思い出した。


「お気づきになられましたか?」


私の心を呼んだかのように、女性は微笑んだ。


「お気づきにって…え!?」


「恐らく、お考えの通りでございます。


私は神護(かみもり)アマギ様の魂を糧に作られた「式神」です」


「おばあちゃんの…式神…!?」


驚くしかないじゃないのよ。


「アマギ様…アマネ様のおばあ様は、この島に封印されている「神機(オーパーツ)」を封印する「守巫女(まもりみこ)」のお一人でした」


「オーパーツ…ってなにそれ?」


神機(オーパーツ)とは、またの名を「創造主の器」とも言われる代物で、

幾千年も昔、もはや神話の時代に作られた、「人に人ならざる能力(ちから)」を授ける物でございます」


突拍子もない話をされている事だけは理解した。

封印?オーパーツ?

日常生活じゃ、アニメや漫画でしか聞かないようなワードが、さも当たり前のことであるように語られている。

そもそも、おばあちゃんの式神?

そこからおかしい。


「ちょっと待ってよ、そんな急にそんな話されても…」


「信じる方が馬鹿でございます」


式神さんは、変わらず柔らかな物腰且つ優しい表情と声色で、ストレートな発言を飛ばしてきた。

・・・確かになんかおばあちゃんに似てるかも。


「アマ…おばあ様もそれを懸念して、手紙を残しております」


「手紙…?」


式神さんに促され、チノちゃんが懐から白い封筒を取り出し、差し出してきた。


「あ・・・」


手紙を開ける前に理解した。

おばあちゃんのものだ。

おばあちゃんが誰かに手紙を出すときに、いつも封をした後に押していた家紋の印鑑。

それが渡された封筒にもあった。


「ご理解いたしましたか?その印鑑は…」


「おばあちゃんが自分で作ってる家紋の印鑑だから…間違いようがないよ…」


「…その通りでございます。

呼んでいただければ、幾分か現実味が増すかと思われます。」


私は静かにうなづき、封を開けた。


~~~


アマネへ


この手紙は式のウンリュウから受け取ったと思います

彼女はわたしの分身のようなものだから、信じていいですよ


さて、この手紙はわたしが死んでから渡すように命じているので、つまりはそういう事なのでしょう

大丈夫

ちゃんと準備はしているから、心配しなくてもいいですよ


さて、まだ伝えたいことは山ほど・・・いいえ、山よりもありますが

本題に入りましょう


わたしは「守巫女(まもりみこ)」と呼ばれていますが、それは愛称などではなく、

本当に守っているからです

恐らく、最近の島の皆さんは、親や祖母、祖父がそう呼んでいたから呼んでいるでしょうが・・・


わたしが守っているのは、この島に封印されている「神機」、オーパーツと呼ばれているものです

「オーパーツ」なんて呼び方は、便宜上そう呼ばれているからそう呼んでいるだけなのだけど・・・


神機は神がもたらしたとさえ言われるとても強力な物で、本来なら人が扱って初めて使えるものなのだけれど

この島には七つの神機が封印されていてね

その七つだけは、人が扱わなくても、その強大な力を放ち続けてしまうの


十数年前、

ある組織がこの神機に目をつけて、この島に秘密裏に研究施設を作り上げたらしいの

残念ながら、未だに研究施設自体は所在が分かっていないのだけれど、島にあるのは確実です


少し話がずれてしまいましたね


つまりは

わたしが「守巫女」と呼ばれているのは、その神機の封印を守っているからであり、

ある組織がその封印を破ろうと画策している

ということだけは理解してください


詳しい話を書き始めると、手紙が何枚あっても足りなくなるので、

詳しい話は、恐らくそこにいるウンリュウに聞いてくださいね


本当に

アマネにはとてもつらい思いをさせてしまうし、とても大変な苦労をかけてしまうでしょうから、ここで謝っておきますね

本当にごめんなさい


それでは、体に気を付けるんですよ


おばあちゃんより


~~~


既に枯れたと思っていたのに・・・涙は次々と出てきていた。


神機とか、封印とか、組織とか、

そんなことより今は、おばあちゃんのホントの遺言を胸に刻んでおきたいと一身に思った。

式神さんもそれを汲んでか、何も言わずに、私のことをそっとしてくれていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ