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枕に抱いた恋心

 放課後……僕は一人、帰宅の途についていた。

 柊さんは本屋のバイトがあるとかで早々に教室を出ていき、亜希は先生に呼ばれて職員室へと連れて行かれた。


 なんでも五時限目に授業を聞いていなかったことが原因らしい……。


 悠人と高藤も何か用事があるとかで、現在僕一人……まあ、こんなこともあるか……。


 僕はそんなことを思いながら家へと向かって歩いていた。


「ちょっと……! やめてください……っ!」


 その時、聞き覚えのある声が聞こえてきたため、声のする方へ向かってみると、そこには由奈ちゃんの姿があった。


 しかも2、3人の男に絡まれている!


「大変だ……!」


 僕は急いで由奈ちゃんの元へと走った。


「ねえ君可愛いね! どこの学校? 俺たちこの辺り初めてでさ、ちょっと道案内してよ」


「いや! 離してください!」


 僕がたどり着く頃、男の一人が彼女の腕を掴み、無理やり引っ張ろうとしていた!


「やめろ!その子を離して……!」


「あ……? なんだお前は……?」


「お兄ちゃん助けて……っ!」


 僕が声を上げると、三人は僕を睨み、由奈ちゃんはすがるような目で僕を見つめてくる。


「僕はその子の兄だ!妹を離せっ!」


「お兄ちゃんの登場ってか? 悪いけど君の妹さん、俺たちが少しの間借りま~す!」


「つう訳で……すっこんでろ!」


 男の一人が僕へと近付いてくると、声を荒らげながら拳を振りかぶり、殴りかかってきた……!


「お兄ちゃん危ない……!」


「ふっ……!」


 由奈ちゃんの心配をよそに、僕は殴りかかってきた男の腕を掴むと、勢いそのままに背負い投げで男を投げ飛ばした!


「がは……!」


 受け身の取り方を知らないのか、男はそのまま地面へ倒れ、痛みに顔を歪めていた。


「この野郎……!」


 別の男が僕へと勢いよく突っ込んでくる……!


 僕は男の胸元を掴むと、相手の勢いを利用し、今度は巴投げで男を投げ飛ばす!


「ぐは……!」


 二人目の男も受け身を知らないらしく、地面に叩きつけられ悶絶していた。


「最後にもう一度だけ言う……!妹を離せ!」


「く……くそ……!」


 由奈ちゃんの腕を掴んでいた三人目の男はそれだけ言い残すと腕を離し、走り去っていった。

 投げられた二人も体を起こすと、同じ方向へ走っていく。


「ふう~……由奈ちゃん、大丈夫?」


「お兄ちゃん……!」


 僕が少し乱れた服を整えながら声を掛けると、由奈ちゃんは僕へと抱きついてきた。


 由奈の体は少し震えており、どれほど怖かったのかがうかがえる。


「由奈ちゃん、もう大丈夫だよ」


 僕は彼女の肩を軽く抱き、頭を優しく撫でると、由奈ちゃんは肩を震わせて涙ぐんでいた。


「ありがとう、お兄ちゃん……。あたし……怖かった……。もしお兄ちゃんが来てくれなかったらあたし……あたし……うぐ……ひっく……」


「うん、怖かったね……。でももう安心だよ」


 しばらく僕の胸の中で嗚咽を漏らしていた由奈ちゃんだったが、腕で涙を拭うと、今度はぱあっと笑みを浮かべた。


「それにしても、お兄ちゃんって強いんだねっ! 男の人二人をあっという間に投げ飛ばして……!」


「中学まで柔道習ってたからね……」


「そうなんだ、でもすっごくカッコよかった!」


「そ……そうかな……?」


 妹みたいな由奈ちゃんでも褒められると、少し嬉しく感じる。


「あ……でもリュック潰れちゃったね……」


「まあ……リュックを降ろす暇もなかったからね……」


 由奈ちゃんに言われ、僕は潰れたリュックへと目をやる。

 背負ったまま投げたけど、中身大丈夫かな……。

 弁当箱壊れてなければいいけど……。


「あ……あの、もし何か壊れてたらあたしが弁償するから……!」


「そんなこと気にしなくていいよ。それより帰ろうか」


「……うんっ!」


 由奈ちゃんは僕の腕へと抱きつくと、僕と由奈ちゃんはそのまま家へと向かったのだった。



~サイドストーリー~



──由奈──



 家へ帰宅したあたしは自分の部屋へ戻ると、カバンを机へ放り投げ、水色のシーツが敷かれたベッドへダイブした。

 そして、男の人に掴まれていた腕を擦る……。


 心の中にはまだ恐怖心が残っている……。


 でも、それ以上にあたしを助けてくれたお兄ちゃんのカッコよさが心に残っていた。


「あの時のお兄ちゃん、本当にかっこよかった……」


 殴りかかろうとした男の腕を掴んだと思ったら、そのまま投げ飛ばすんだもん。

 もう一人の男の人がお兄ちゃんに突っ込んでいって押し倒された時、もうダメだと思ったけど……そのまま投げ飛ばしてたし……。


 お兄ちゃん……まるでスーパーマンみたい……。


 そう思うと胸の奥がトクン……と高鳴るのを感じた。


(なんだろう……この胸の高鳴り……?)


 その高鳴りは、お兄ちゃんのことを考えれば考えるほど大きくなり、やがてキュンキュンとして胸を締め付ける……。


 なんだろうこれ……あたしこんなの知らないよ……。


 と、その時、朝お兄ちゃんの友達が言っていた「お兄ちゃんがお姉ちゃんに告白した」という話を思い出した。


(お兄ちゃんは……お姉ちゃんのことが好き……なのかな……?)


 告白したくらいだもん、きっとお兄ちゃんはお姉ちゃんのことが好きなんだよね……。


 お姉ちゃんはどうなんだろう……。

 昨日、お姉ちゃんはお兄ちゃんのことを想いながら枕を抱きしめてゴロゴロしてた……。


 ということは、お姉ちゃんもお兄ちゃんのことが好き……?


 すると、あたしの脳裏に、お兄ちゃんとお姉ちゃんが仲良く歩いている姿が浮かび、胸が痛いくらいに締め付けられる……。


「やだ……やだやだやだ……!お姉ちゃんにお兄ちゃんを取られたくない……!」


 なぜだか分からないけど、そう思った。


 お兄ちゃんは誰にも渡したくない……。

 お兄ちゃんが笑ってくれるのはあたしだけでいい……。

 そうじゃなきゃイヤ……。


 あたしはベッドに置かれている水色の枕を抱きしめながら、そう思ったのだった……。

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