八話 おやくそく
今朝、不運にも突然ダンジョン攻略を強いられた俺であったが。
何とか無事に全てを終わらせ、今度は学校へと直走るという第二ラウンドを始めていた。
残り時間はあと九分、どうか間に合ってくれ……!!
まあでも、そこは〝おやくそく〟というもの。
その後、全力疾走のお陰もあってか俺は無事に学校へと辿り…………つけなかった。
お約束なのにどうして……と、言いたい所だが責任の所在は明白だ。これも全て〝アイツら〟のせいなのである。
それで、そのアイツらとやらは何なのかと言うとだな、それは我が校、我が地域周辺にてたむろしている所謂ヤンキー達の事だ。
全く、今は令和だと言うのに、時代に逆行しやがって……まあそれは俺の価値観でしかないので、無視して続けるとだな。
簡単に言えば、奴等が俺に絡んできた事が遅刻の原因なのである。
あれは今からほんの少し前、遅刻までの残り時間はあと五、六分といった辺りだったと思う。
その時はタイムリミットがある事からも分かる通り、俺は学校へと向けて全速前進していたのだが。
運悪く、とある曲がり角で例のヤンキー達と鉢合わせてしまったのだ。
ただし、焦っていたので危ない所ではあったが、幸いにも衝突は回避できた。
というか、その直前で減速していたからな。いくら俺でも、他人に怪我を負わせてまで遅刻を免れようとするつもりはないのだから。
でも、問題が起きたのはその後だった。
「おいテメー!! 何見てんだコラ!!」
そう言って、ヤンキーのうち一人が俺に突っかかってきたのだ。
正直、『え?そっちなの?そっちで怒ってるの?』とは思った。
だって俺達は鉢合わせしてしまったのだし、言う程でもないがもしかすると、もしかしたらというレベルでぶつかりそうになってしまったんだぞ?
だからまあ、そのような事柄に対しての文句ならまだ全然理解できたのだが。『何見てんだコラ』と、言われるのは意味が分からないというのが本音だ。
まあでも、〝元々の俺〟はその手の人間に対してあまり、いやかなり耐性が乏しい。というか、正確に言えば今でもそうだ。
だから自然にというか、心の奥底にあった不慣れな感が滲み出てしまったと言うか、とにかくそのような理由で俺が彼等にガンを飛ばしているように見えてしまった、もしくはそんな印象を与えてしまったのかもしれない。
……自分で言っておいてアレだが、決してそんな事はないと思うんだけども。
それか、相手側に問題があったのかもしれないな。
例えば、何となくカツアゲする相手を求めていたとか。そのグループには一人女性のヤンキーがいたから、彼女の前だと言う事でカッコつけたかったとか。
どちらにせよ、傍迷惑極まりない話だけどな。
まあでも、今は時間がない。いや、時間があったとて俺はこんな連中とツルむつもりも、共にいるつもりすらもない。
「ええと、そう見えたならごめんなさい。すぐにいなくなるんで、ここはどうか穏便に……」
という訳で、さっさと離れようと俺は迅速に身に覚えもない罪を謝罪したのだが。
「おい待てよ、お前まさかガン飛ばしといてそれだけで済むとでも思ってんのかよ?」
「え?」
残念ながら願い叶わず、俺は謝るという事を一向に受け入れようとしないヤンキーの一人に肩を掴まれてしまったのだ。
いや別に、そんなモン飛ばしてなどいないのだが。というか、例えそうなのだとしても謝ったじゃないか。本来ならばそれだけで終わる話だと俺は思うぞ?
だが、相手も同意見であるのならばこのような争いが起こるはずもなく。
「俺達さあ、今金欠なんだよね。だから五千円って所で許してやるよ、お前それくらい持ってるだろ?」
そしてとうとう、俺は金品まで要求されてしまうのだった。
おお、まさか本当にカツアゲとは驚いた。見るのも喰らうのも初めてだからな……は、良いとして。
それと時を同じくして、俺の中の何かが弾けた。
そうして、俺の中にあったはずの。
道徳を守ろうとするもう一人の自分が消え、理性が弾けた事で下された結論とは。
『コイツらに少しばかり喝を入れてやる』というものであった。
だって、なあ。これは最早、単なる争いではなくなってしまったんだ。
口論までならいざ知らず、謝罪の言葉では足らないとばかりにコイツらは金品までもを目の前の一般人高校生から脅し取ろうとしているのだ。それはもう歴とした犯罪行為である。
となると、俺も一切として容赦するつもりはない。いや、たった今綺麗さっぱりとなくなってしまったのだ。消え失せてしまったのだ。
「あ?何ボサっとしてんだ?さっさと財布出せよ……うっ!?」
という訳なので有言即実行。俺は肩を掴んでいたヤンキーの一人にすぐさまボディブローをお見舞いした。
金髪が乱れ、まるで花のように舞い、気絶した事で散りゆく様までもをそれに寄せた彼は地に伏したまま動かなくなった。
俺のボディブローは我流であり、技術ではプロになど到底及ばないものであったのだが、それでもだ。
「なっ……テ、テメーやりやがったな!!」
それを皮切りに、不良達は皆で俺を袋叩きにしようとまるで獣の群れが如く一斉に押し寄せて来る。
だが、そんな烏合の衆が俺の相手になるはずもなく。
数秒後、その曲がり角には死体……じゃなくて。気絶したヤンキー達の山が築き上げられていたのだった。
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