九話 おやくそく 2
ちなみに言っておくと、俺が打ちのめしたヤンキー達の中に、一人いたはずの女性ヤンキーは含まれていない。
彼女だけは俺に突撃して来なかったというのもあるし、流石の俺も女性に手を上げるというのは憚られるからだ。
まあ要するに、俺は自分で言うのもアレだが紳士であり、かつ攻撃の意思を見せない者までは傷付けないという聖人でもあったと言う事だな。こちらも自分で言うのは何だけれども。
それとついでにもう一つ、これもまた自分で言うのは何とも言えないような気分になるが、とにかく話しておくとしよう。
『何故、彼は一撃でノックアウトされてしまったのか?何故俺はここまで強いのか?』というのにも、当然ながら理由はある。
とは言ってもそれはごく単純、以前話したポーションと同じような理屈だ。
実の所、これはまだ話していなかったのだがダンジョンからはアイテムだけでなくて、その際に魔物を倒す等して獲得した経験値もこちらへと持ち込みが可能なようで。
だからこそ、そこで入手した経験値を土台として上昇した俺のレベル、それと身体能力なんかもそっくりそのままの状態で俺はこの世界に存在していられるのだ。
と、ここまで言えばもう分かると思うが。あのヤンキーがたった一撃で沈んだのも、レベルアップしていた俺のパワーによるものであったという訳だ。
そして、学校まで約十分というのもだ。そう、これは俺だけに許された特権というか、レベル上昇のお陰でスピードも上がっている俺のみに叩き出す事ができるタイムであったと言う訳だな。
一般人が徒歩で移動するとなると、その倍は掛かると思うので注意しておくように。本来ならば俺の通う学校とは、ダンジョンを攻略した時点で遅刻確定になるくらいには距離があるのだから。
そして、そんな俺のレベルはと言うと。ダンジョン内でしかステータスは表示されないし、忙しくてさっきはやらなかったから大体ではあるが。
確か、50とかそのくらいだったと思う。我ながら凄いというか、何というか……とにかく、ここまで上げるのには様々な苦労があった。
だがお陰で今、現実世界では現実であるというのに漫画の所謂『強キャラ』や、その中のちょっとした異能力者程度の実力は持っていられるのだと考えると(多分)、何だか誇らしいようにも思えてくる。
ま、そんなものいくらあった所で、遅刻は遅刻なんだけども……
という訳で無念にも俺は遅刻。とはいえ、ウチの学校にはそうしたとて廊下に立たせたりなんかの罰則はないから多少は気が楽だ。
が、到着時間が悪かった。俺が漸く学校へと辿り着いたのは、教室にてホームルームの行われているまさにその時だったのだ。
なので罰則は無いはずであるのに、俺は『全クラスメイト+先生からの視線』という名の不愉快なスポットライトを浴びせ掛けられ、つまり辱めを受けつつ自分の席へと向かわねばならないのだった。
そしてすぐさま、俺はそそくさとカバンを漁り授業の準備を始める。ホームルームの最後に担任が呆れた様子で俺の名を呼んだので、そこではひとまず申し訳なさげに挙手をしておいた。
そんな俺に、誰も声を掛ける者はいない……とはいえ、それはいつもの事だ。
残念ながら俺は、クラスメイトに『要注意人物』だと誤解されてしまっているのだからな。本当は善良で真面目で、勉強熱心ないち高校生であるというのにだ。
まあでも、そう思われてしまうのも仕方がないように思える。
何せそれが授業中だろうが何だろうが、所構わずダンジョンが生成されるからだ。今朝の様子を見ればそんな事はすぐに分かると思うが。
とにかく、そのためにちょくちょく授業やホームルームなんかを勝手に抜け出したりしてダンジョン攻略をしなければならず、それが原因で同級生からの評判が最悪なのである。
あと、担任からもだ。このままだと俺まで不良生徒と見做され、通知表にあらぬ事をかかれてしまったり……いやそれだけならばまだ良いが、最悪の場合卒業できない、なんて事もあるかもしれない……
唯一の救いと言えば、教室が狭い事からダンジョン生成の標的にはならず、クラスメイトの無事が保証されている事ではあるが。
ただし、それは俺を除いた上での話だ。
はぁ。こんな日々がこれからも続くと思うと、溜め息が出てしまう……
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