七話 どうして今なんだ 2
ポーションを手に入れ、喜悦する俺。
まあ、それは確かに喜ばしい事だ。そうなるのはむしろ当然とも言える、言えるのだが。
……そんな事を言っている暇などないという事は、俺かてもちろん分かっている。
色々と嫌になってきてしまってだな、少し現実逃避したかっただけだ。では今からは気を改め、一刻も早いダンジョンの攻略を目指して進むとしよう。
俺はまた、長く細い石畳の上を歩き出した。
細道がぐねぐねと伸びるこのダンジョンはまるで蛇のよう、そしてその胃袋のようでもあり。内部を歩く俺の最短での攻略を常に妨げ続ける。
しかも時折、曲がり角の先に現れる魔物達までいるせいで油断すらできないときている。
まあ、もう慣れたのでそれくらいで怯える訳でもなければ、急いでいるので緊張など既にずっとしているようなものなのだが。
とはいえ、流石の俺もボスが見つからなさ過ぎてそろそろ集中が途切れてしまいそうだ。
一体、これはいつ終わるというのだろう……?
弱音を吐いてしまったが漸くそれも終わりだ。
遂に、遂にボスの居場所を見つけたんだ。ちなみに現在時刻は七時四十分。十分で倒しもう十分で走ればギリギリ学校には間に合うはず。
そして、そんな俺が今回相手取るボスモンスターとは。巨大な肉体を緑色一色に染めた、猪のような顔を持つ魔物『オーク』であった。
まあ、いつも通りだな。パワーがかなりのものなので決して油断してはならない相手だが、ボスモンスターとしてはそこまで強い部類という訳でもなく。
それに、割とちょくちょく見かけるので攻略法は最早身体へと染み付いている。事実として、昨日も三日前もダンジョンのボスモンスターはコイツだった。
何か『よくあるダンジョンのボスはコイツでなければならない』みたいなルールでもあるんだろうか?
……余計な考えはよそう。今はコイツを倒す事だけに集中するんだ。
いつも通り、普段通りにやっていれば難なく撃破できるはずだし。
ただオークの脇にいる取り巻きというか、雑魚キャラというか。とにかく、そんなような立ち位置の魔物である、『ゴブリン』の数が多いのが少し厄介ではある。
全く、本当に今日に限って色々と面倒事が多いような気がしてならない……けれども。
それでも俺は奴等と戦わなければならないんだ。
あの魔物達は単なる障壁の一つであり、俺にとってはその後にこそ真の戦いが始まるんだからな。
「えいっ!……よし、今だ!!」
俺は脇にあった一つの小石をオーク達へと投げ、それに魔物達が気を取られた隙を狙い動き出した。
先手必勝、このまま不意打ちしてゴブリンを数体撃破し、その後に起こるだろう混乱に乗じてまた数体。
そして最後には、雑魚を殲滅してからオークへと単騎決戦を仕掛けるつもりだ。
確かに、やり方としては少々アウトロー寄りな気がしてならないがそれでも結構、俺が相手にしているのは紳士でも人でもなく魔物達なのだ。
それに、何度も言っているが今は急いでいる。俺に残された時間は僅かなのだ。なりふり構ってなどいられない。
「おらっ……!!」
そうして、俺は敵の背後から手にした剣で切り掛かっていった。
作戦通り、一体がやられた事で初めて俺の存在に気が付いた敵襲は大慌てしている。だがまだまだこれから、俺はあと数体を切り付けそこで漸く後退する。
その攻撃で三体は倒す事が出来たようだ。しかし、それ以外は傷が浅かったのかまだ地に足を付けている。ちなみに、ここまでで要した時間は体感ではあるが約二、三分だ。
あまり芳しくない状況だな、予定ではもっと倒せているはずだったのだが、焦りのせいか?
では、今度こそ予定通り敵を仕留めてやるとしよう……そして俺はまた、魔物達へと攻撃を仕掛ける。
一体、また一体と攻撃し、無事即座に二体を撃破だ。
「……おっと!!」
だがその時、オークの持つ棍棒が俺の目前を掠めた。
仲間を攻撃された事に怒ったのか、遂にボスが動き出してしまったのだ。
全く、迷惑なものだ、もう少しコイツにはじっとしていてもらいたかったのだが……というか、そうしていてくれないと予定が狂うだろう!?
とはいえ、文句ばかり言っている訳にもいかず俺は戦い続ける。
それから約五分程が経過しただろうか。オークのせいで想定外にも時間を食ってしまったが、何とか周りの雑魚を皆打ち倒す事ができた。
さて、ここからはオークとの一騎打ちだ。あと最長でも三分、いや二分で倒さなければならないというとんでもないハンデ付きだが、ここまで来ればまあ何とかなるだろう。
いや、しなければならない、か。
「悪いが急いでるんだ!!御託は抜きで行かせてもらうぞオーク!!」
そして俺は。
再び頭上高く掲げられた棍棒が振り下ろされるよりも早く、オークの懐に潜り込むと。
その胸を剣で貫き、無事この戦いに終止符を打ったのである。
「よし終わった!! まだ時間あるよな? スマホスマホ……って、あ、あと九分じゃないか!?……い、いや! 俺ならきっと間に合う!! 絶対間に合う!!」
だがしかし、戦いは第二ラウンドへ。
次は時間との戦いが幕を開けるのだった。
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