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五十七話 決戦!!堕天使ベリア!! 2

ベリアとは圧倒的な戦力差がありながらも、ララドーラさんはたった一人で奮闘している……だと言うのに。


その姉である女神様は、一体こんな時に何をしているんだ? というか、それで思い出したがさっきからずっと姿が見当たらない……俺は周囲を見回す。


すると、そこで漸く女神様を発見した……のだが。


「あ、いた……って、ちょっと女神様!! 何でそんな所にいるんですか!?」


彼女は何と俺達三人の背後にて息を潜め、この場の誰にも悟られぬよう、ただひたすらにじっとしていたのだ。


「あの、ふざけてる場合じゃないんですよ!? このままだとララドーラさんが……!!」


それを見た俺はすぐさま、女神様を咎めるように……いや事実として咎めるべく、その肩を揺すってそう言う。


だがしかし、彼女の返答はこうだった。


「わ、分かってるわよそんな事!! で、でも……その……」


「……ま、まさかとは思いますけど女神様。もしかして、一度も戦った事がないから怖いとか言ったりしませんよね……?


い、いやすみません、流石に異世界の人なんだしそんな事はないですよね!! やっぱり、俺の勘違いで」


「そ、そのまさかよ!! 怖いに決まってるでしょう!? でも仕方ないのよ!! だって私女神なんだもの!!


だからもし近くで争いが起きたとしても、それに混ざって戦うなんてできないのよ!! だって私女神なんだもの!!」


まあ要するに、残念ながら俺の予想通り、女神様は戦闘経験が一切としてない事がここで漸く判明したのである。


確かに文字通りこの人は女神様だし、それは分かるけども……とは言え、ララドーラさんをこのままにしておく訳にはいかない。


どうにかならないものだろうか? 今の所我らの最高戦力はララドーラさんだとしても、No.2は間違いなくこの人なんだし……という事で、俺は女神様の説得を始めた。


「あの〜女神様、気持ちは分かるんですけど、どうにかなりませんかね……? 」


「ならないならない!! なるワケないでしょ怪我したらどうするの!? 私女神よ!? 女神様なのよ!?」


「いや、それはもう分かりましたから……」


「いいえ分かってない!! アナタは全然分かってないわ翔君!! そもそも私達は争いを好まない神と呼ばれるに相応しい一族で……」


だが説得は思うように進まず、女神様はそれ以降もブツブツブツブツと、怒涛の勢いで俺に説教を始めてしまう……と、その時。


「あ、あの……それなら私が行くんで、女神様は力だけでも貸してもらえないですか?」


この戦いに参戦しようと、自ら買って出たのは椿だった。


「「え!?」」


直後、俺と女神様の声が重なる。


まあ、そうなるのも当然だ。だって椿は異世界出身でもなければ戦闘要員でもない。だからまずそもそもとして、その役を務めようというその意思からして間違っているのだ。


「お、おい椿、お前急に何を……」


「つ、椿ちゃん! そ、それは私達には流石に無理な話だと思うよ……?」


「そ、そうよ! 危険過ぎるわ!!」


なので亜香里を含む俺達三人は思い直すよう口々に椿へとそう言ったが、彼女は頑なだった。


「……皆の言いたい事は分かるよ。それに、心配してくれている事も。


でも、私だってララドーラさんに任せっきりなのは嫌だし、今は市奈々井君も女神様も戦えない……そしたら、私が行くしかないと思うんだ。


というか、行かせて欲しい。だから女神様、私に力を貸して、お願い……」


彼女も恐らく、何もできない自分に嫌気が差していたのだろう……そう話し終えた椿は女神様をじっと見つめる。


すると、何を血迷ったのか女神様は。


「…………確かに、アナタの言う通りね。分かった、私の力でアナタ用の剣を用意してあげるわ」


「!? ちょ、ちょっと女神様!? そんなあっさりと……椿が行くんなら俺が行きま」


「それと、身体全体に防御魔法も掛けておくわ。でもだからと言って油断は絶対にダメよ? アナタはレベルの概念すらない一般人なんだもの、それだけは絶対に忘れないで」


俺が話すのも無視して、魔力によって生成したのだろう、俺が普段使っているものとよく似た剣を彼女へと手渡すのだった。


「女神様、ありがとう……じゃあ皆、行ってくるね」


「お、おい椿! お前本当に何言って」


そして、そんな椿もまた俺の話に耳も貸さず、剣を持つや否や、ベリアのいる方へと駆け出して行く……


それでも、その様子をただ見ている事しかできない俺が、自分自身が、とても腹立たしかった。

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