四話 女神様 2
ちょくちょく俺の家に遊びに来ては表向きの理由である経過観察などロクにやらず、夕飯をご馳走になってはゲームばかりしている俺に力を与えてくれた女神様。
全く、俺の親がどちらも出張中でなければどうなっていた事か……とは言え、電話口で毎月の食費がやたら高いのを誤魔化すのにはいつも苦労しているんだけど。
正直こっちの身も少しは考えてもらいたいものだ。
とまあ、そのようなもの傍から見ればどうしようもない存在。というか、俺から見てもそうである事に何ら間違いなどありはしないのだが。
しかし、これでも昔は結構しっかりしていたんだ。
スキルを習得した俺が病院で目覚め、それから暫くして無事退院した後。
女神様の言う通り、付近では昼夜も時間をも問わずしてダンジョンが生成され、俺は訳も分からぬまま魔物達の巣窟へと放り込まれる日々が始まってしまったのだが。
「気を付けて翔君、この先には魔物がうようよしているわ」
「う、うようよって……!? ど、どうしたら良いですかね!? どうやったら戦わずに回避出来ますかね……!?」
「翔君、残念ながらこれは避けられぬ戦いなのです。ほら、ご覧なさい。魔物達の中にボスがいるのがここからでも見えるでしょう?
あれを倒さなければダンジョンは消滅しません。分かりましたか翔君? アナタは戦うしかないのですよ」
「そ、そんな事言われても……!!」
そんな俺をある時は鼓舞し、またある時はやや冷たく突き放したのは、やはりと言うべきかあの女神様だった。
ただし、彼女はこちらの世界にはあまり深く干渉はできないようで側から口を出すばかりであったが、それでもだいぶ助かったし、何より唯一無二である味方の存在を頼もしく感じたものだ。
確かにダンジョン攻略は楽ではないが、これならばきっと何とかなるはず。
そう、俺達二人ならば……と、思っていたのだが。
段々と俺がレベルを上げ、知識を深め、ダンジョンに慣れてゆくうち女神様は次第に現れる頻度を落とし始め。
俺がその事に対して不満を覚える頃、いつしか彼女はダンジョン攻略中には一切として姿を現さないようになり。
そして最終的には、そのクセ俺の家にはゲームと食事とを求めて入り浸るという、歩く粗大ゴミが出来上がってしまったのだ。
まあ、信頼の証と言われればそうなのかもしれないが……けれども、やっぱり多少は不満である。
今度、文句の一つでも言ってやろうかな。
ちなみにさっき俺は知識と言ったが、これはダンジョン内部についての知識ではない。
いやまあ、それもそれで深まってはいるんだけど、そうではなくてこれは女神様から聞いた『ダンジョンそれ自体についてのルール』、みたいなものに対しての知識だ。
今から順を追って説明していくとしよう。
ただし多少、今までにした話とカブる部分もあるかもしれないが、そこも敢えて省かずにいくつもりだ。
ではまず初めに、ダンジョン生成についてだ。
俺のスキルで生成されるこのダンジョンというのは、実は完璧な形をもって異世界からそっくりそのまま現れるという訳ではない。
それはあくまでも、次元のひずみのようなものを原因として現れるそうで、ダンジョンそれ自体は街を元に形成され、その中に魔物が配置されてゆくというシステムなのである。
ダンジョンの出現は一日一回で、それ以上もそれ以下もない。
またその時によって宝箱や通路、魔物の配置場所、種類なんかは無数に変化し、二度と同じものが出現する事はない。
それと、日時や場所を指定する事は基本的に不可能だ。というか、俺が好きに生成したり消滅させたりできるのならばもうやっているのだし。
そしてそれは当然、俺の私生活など一切無関係にだ……正直、これが一番厄介な部分である。
……ここまで聞いて、もしかすると。
「では仲間を募ったりすれば良いのでは?何もダンジョンが現れる事を公言してはいけないというのでもないんでしょ?」
などとの考えが浮かんだ者もいるかもしれないが、残念ながらそういう訳にはいかないのだ。
まあ確かに、女神様からはこのスキルを所持している事が他者にバレたとしても、何の罰則も無いとは言われている。
言われている……のだが。
だとしても、その時は間違いなく俺だけが苦労するだろうから、そうは出来ないんだ。
だって、やりたくてやっているのではないにしても、ダンジョンを生成できるのはこの世界に俺ただ一人なんだぞ。
もしそれが露見したりでもしたら、世間はダンジョンや魔物達ではなくて、まず真っ先に俺を叩いたり、調べ始めたりするだろうからな。
そうなったら最悪の場合、SNSで『変なスキルを持ってる奴はコイツだ!!』と晒されたり、個人情報を流されたり。
漫画やアニメでしか見た事のないような研究機関に連れて行かれてモルモットにされたり、解剖されたりするかもしれない……
おお怖い、想像しただけで鳥肌が立つ。
とにかく、そういう訳で公言はできないんだ。少し考え過ぎかもしれないが、それが現実になってからじゃもう遅いんだから。
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