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三話 女神様

俺の家、そこに勝手な事にも上がり込んでいたのはあの女神様だった、が。


「あら翔君、お帰りなさい。今日は少し遅かったのねぇ」


「……生憎、ちょうど帰り道にダンジョンが生成されちゃったんでね。遅くなったのはそのせいです」


「あらまあ、それはそれは。とにかく、お疲れ様。作ってないけどご飯にする?洗ってないけどお風呂にする?それとも、その気はないけど私にする?」


「いや、自分でテキトーにやるんで良いです。ていうか何一つとして貴女した事ないじゃないですか……


どうせまたゲームがやりたくてこっちの世界に降りて来たんですよね?……良いですよ好きにしてて。じゃ、僕は今から夕飯にするんで、五月蝿くだけしないで下さいね」


「ウフフ、ありがとう翔君。それじゃあ失礼するわね。あ、あとゲームをしに来た訳じゃないから、そこだけは履き違えないでね……さて、ゲ〜ム♪ゲ〜ム♪」


彼女とはそのように短いやり取りをするのみに止め、俺は夕飯の支度を始める。


……確かに今の俺にとって彼女は不法侵入者、もしくは単に不審者でしかないのだろうが。驚くつもりも慌てるつもりもない。


女神様がこの家にやって来るというのは、これが初めてではないからだ。


というか、割と頻繁に現れるし。もう日常茶飯事と言っても良いくらいじゃないだろうか?


ちなみに、そんな女神様の来訪の目的はというと……『力を与えた者の経過観察』だと本人は言い張っているが。


本当はこちらの世界のゲームがやりたくて来ているとか、ただそういうだけの事なんだと俺は推測している。


そして、それは主に本人の様子を見ての判断だ。だから多分、いやきっと、いやいや絶対にそうなんだろうな。


まあ、もう好きにしてくれって感じだから別に良いんだけど。




今日の夕飯はレトルトカレーだ。


まあでも、米だけはパックのヤツではなくきちんと研いだり、炊いたりしたので『作った』とは一応言っても良いと思う。


しかもちゃんと二人分用意したのだからな。だからもう、これはシェフと名乗っても良いレベルの……ごめん、流石に調子に乗り過ぎたから忘れて欲しい。


俺はカレーを片手に、自室の扉を開ける。


それと殆ど同時に、俺の耳には女性のイライラとしている事が一瞬で分かるような声が入り込んできた。


「ああ、もうっ!! 今日の相手はチマチマチマチマ体力を削ってくるわね……本当に鬱陶しいわ!!


もっとリスキーな技使いなさいよ!! 確反させなさいよ!! コンボに繋げさせなさいよ!!」


眉間に皺寄せ、口はへの字に、目は怒りのせいか血走っているようにさえ見える……等々、せっかくの美貌をそんな風にして台無しと変えているその人は。


細身と、あと何故か半分透けているせいで華奢にも。そして、この世界中何処を探しても天然物は見つからないだろうと思われる、『ナチュラルな青髪』のお陰か神秘的にも見える女性。


もとい、女神様……そうだ。これこそが俺に摩訶不思議な力を与えた張本人の女神様であるのだ。


ただし、残念ながら今現在は俺の所持している格闘ゲームをしているせいで随分と威厳のない様子でいるが、それでもだ。事実とは何と残酷なものだろう。


俺はいつも見ているから、特に何の感情も湧かない。いや、正確に言えばもう湧かなくなってしまったんだけれども。


……まあ良いや。


「あら翔君、いつも私の分までありがとうね!! でも今は手が離せないの、悪いけどそこに置いといてもらえるかしら?」


「はいはい、冷めないうちにどうぞ〜」


とにかくと、最早呆れる事さえせず、返事がテキトーである事すら気にせず。俺はそうして女神様よりも一足先に夕食を始めた。


やっぱり、どこをどう見てもこの人はゲーム目当てでこちらの世界へとやって来ているのだと思う。


いや絶対そうだ。さっきも言ったが絶対だ。まあ、あちらの世界にはゲームなんて無いだろうから(多分)気持ちは分からなくもないけれども。


けれども。毎度毎度苛々とした姿を見せられ、追加の夕食まで用意しなければならないこちらの身にもなって欲しいものである。


「よし!! なかなか厄介な相手だったけれど何とか勝てたわ……ふふふ、どう、お相手さん? 少しは勉強になったかしら?


中級者レベルの私達はまだ、技のフレームとかそんなものはいちいち気にしなくても良いのよ!! その辺りの実力だったら確反と置き技さえしっかりやってればそれだけで勝てるの!!」


などと考えていた所、漸くひと段落ついたようだ。


「さて、それじゃあそろそろお夕食にしましょうか。あら! 今日はカレーなのね! ところで翔君、もちろんこのカレーは辛口なのよね?」


「ええそうですよ。女神様が一番好きなヤツです」


しかも相手に勝利したらしく、女神様は途端にご機嫌となって俺の側に来て夕飯を食べ始める。


言い忘れていたが、多分女神様の目的は一にゲームで二に夕食なんだと思う。


むしろ初めの方はこっちの世界の夕飯目当てで来ていたくらいだからな(多分)。まあそれも、『あっちの世界には無い食事&味があるから』というので片付けられる話なのだが。


「……それで女神様、今日は何の用ですか?これで二日連続ですけど、まさかゲームやりに来ただけなんて事はないですよね?」


「え?……いやいや、何言ってるのよ翔君。私がそんな理由だけでここに来る訳ないじゃない?


確かにお腹は空いていたし、ゲームもあと二、三勝すればランクアップ出来る感じだったわよ?でもそんなのは関係無いの、あくまでもこれは経過観察なんだからね」


だがしかし、それ以上何も言う事は無く、女神様はカレーを食べ終えると再びゲームに熱中し始めるのだった。


おお、マジか……どうやら今日は。


いや、今日〝も〟ただ単に遊びに来ただけであるらしい。何と素晴らしい女神様であるのだろうか。


いいね、感想等受け付けておりますので頂けたらとても嬉しいです、もし気に入ったら…で全然構いませんので(´ー`)


投稿頻度はなるべく早めで、投稿し次第活動報告もしています、よろしくお願い致します。

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