三十四話 決着 ララドーラ!!
それでたった今、生徒達に包囲されたララドーラが突然、赤面して身体を縮こませてしまうという珍事態が発生した訳だが。
これは、俺にとっては既に予想済みの出来事なので何ら驚くつもりはない。こんなものは逆転勝利へと向けた予想通り、かつ計画通りの展開に過ぎないのだから。
では、一体何故そんな事が可能だったのかというと……というか、答えは既に俺の中にあったんだ。
だって、ララドーラの弱点を俺は既に知っていたんだから。
思い出してみて欲しい。俺が女神様と話した時の事だ。
あの人はララドーラを自身の妹だとか、まあしょうもなさそうな事柄が色々とあって闇堕ち(?)してしまっただとか言っていたが。
それ以外にも、『あの子、派手好きな割には結構シャイな子なのよ。あのツノだって飾りよ?付けツノなのよ?…………』みたいな事も話していたはずだ。
もっと言うと、ララドーラは内気で恥ずかしがり屋だからこそ女神様よりゲームが上手くなったのかもしれないとか。あ、これは俺がしたただの推測か。
まあ、それはともかく……それだ、それなんだ。それこそが彼女の弱点であるのだ。
そして、だからこそ俺はそこに目を付け、このような行動を起こしたんだ。
生徒達を焚き付けてララドーラの元に呼び寄せさえすれば、それだけで彼女を無力化できると、そう信じた上でな。
とはいえ、今思うと結構なギャンブルだったような気がしなくもないけど……いや、成功したんだから良しとしよう。
という訳でその辺りは気にせず、さっさと全てを終わらせる事としよう。
俺は今も尚、弱々しくなりつつあるララドーラに近付いて行った。
「うぅ……あぁ……」
終わらせるなんて言ってはみたけど、本当はもう既に終わっているのかもしれない。
生徒達に完全に包囲されたララドーラは、最早呻く事しかできないただの変人(?)に過ぎなかったのだから。
「コ、コスプレお姉さん!? どうしたんですか!?」
「大丈夫ですか!? も、もしかして具合が悪いんですか!?」
「は、早く救急車を……!! あ、でもまだココがどこかも分からないんだったっけ……」
「も、もう良いからやめて……離れて……あ、あとコスプレじゃない、から……」
そして、そんなララドーラの様子を見た生徒達は、彼女を心配するあまりに更なる声掛けや接近を繰り返している。
どうやら、彼女の取った行動は逆効果というか、自分の首を絞めるだけの結果となってしまったようだな……まあ良い。
「おい、ララドーラ」
俺はララドーラの背後から近付き、彼女の肩に手を置いて言った。
「ひ、ひぃ!!……さ、触らないで……って。か、翔君……」
「もう良いだろ? さっさと俺達をここから解放しろ。まだ皆に囲まれていたいと言うんなら話は別だけどな。
大丈夫だ、身の安全は保証する。大人しくそうするんだったら、これ以上の危害(?)をお前に加えるつもりはないさ」
それはもう誰も争わず、誰も血を流す事のない和平交渉にも似たような提案だったと発案者の俺自身思っている。
そして、そんな素晴らしいものならば、きっとララドーラも受け入れてくれるだろう……と思いきや、彼女は最後の抵抗を見せた。
「!!……ば、バカな事言わないで! なかなかアナタを倒せないからわざわざ私が来ているって言うのに、もしここで諦めたら魔王様に何て言われるか……!!
それに翔君、アナタもう勝った気になっているみたいだけど、少し気が早過ぎるんじゃない? まずそもそもとして、アナタあの剣を持ってないじゃないの?
そんな状態のアナタなんて、今からだってここにいる全員とまとめて倒せるわ! もしかして、丸腰って事を忘れてたなんて……」
ああ確かに、何も知らない者ならそう言うのも仕方ないだろうが。その件については心配無用なのだ。
という訳で、俺はあるモノを取り出してララドーラの顔に近付けて見せる……
「ああ、もちろん忘れてなんてないさ。確かに俺の剣は今手元にはない。だけど代わりのモノならある。ララドーラ、これが見えるか?」
「ええ……でも、何コレ? 剣のおもちゃ? ……いや、剣のぬいぐるみじゃないの?
……翔君、もしかして私をバカにしているの? こんなモノで私をどうにかできるワケ…… 」
「それができなくもないんだ、この剣に魔法を使って武器化させれば、少なくともお前を倒すくらいのモノには変えられると思う」
「あ……」
「それで、どうするララドーラ? さっきも言ったけど、ここで降参するならもうこれ以上を危害をお前に加えるつもりはないよ?」
「……………………わ、分かったわよ! 降参よ降参〜!」
全て話し終えると、最後にララドーラは声高くそう言って負けを認めるのだった。
……と、まあ、そのような形で速攻で終わってしまったのだが。
こうして俺は他生徒達と亜香里に助けを得て、ララドーラを倒す(?)事に無事成功したんだ。
ああ、ありがとう亜香里。まさかお前に、しかもこんな形で救われるとは思わなかった。
他の生徒達もありがとう。正直、皆がダンジョンに来てしまった時はどうなる事かと思っていたが、お陰で全員無事に帰還できるぞ……!!




