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三十話 ララドーラの待つ場所へ

……マズいな、時間が掛かり過ぎだ。


まだ周囲の魔物達を倒して、生徒の安全は最低限保証されたってくらいなのに。もう十分、二十分くらいは経過してしまっている。


これじゃあ、他の奴等が目を覚ますのも時間の問題だな。とは言え、とにかく今は急ぐしか方法がない。他にやりようがないんだ。


俺は焦る気持ちを何とか抑え、戦いに身を投じていた。


だがしかし、漸くこれで奥に進めるかというまさにその時。


「あれ? ここは……何処!?」


「さっきまで校庭にいたはずなのに……!!」


「お、おい皆起きろ!! 大変だぞ!!」


遂に生徒達が目覚めてしまったらしく、背後から続け様に上げられるそのような声が俺の耳に届いた。


「……参ったな、どう説明すれば良いんだろうか?」


答えは出ずとも、彼等を落ち着かせなくてはならない。そのままではその声が、騒つきが、魔物達に彼等の居場所を伝える道標になってしまうのだから。


そこでとにかくと、俺は他の生徒達を鎮めるため一度彼等の元に戻る事とした。


「皆! 落ち着いて…… 」


「ひぇぇ!! し、市奈々井君!!」


「きゃあ、こ、殺さないで……!!」


だがしかし、せっかく善意で戻ったと言うのにこれだ。生徒達は突然現れた俺に怯え、まるで怪物を見たかのような悲鳴すら上げる者さえいる。


いや、悲鳴を上げるんだったらせめてこの中にいる魔物を見た時とかにしてくれよ、何で俺相手にしてるんだよ……は、ともかくとして。


「いや、殺さないよ……と、とにかく皆、落ち着いてくれ。


それで、え、ええとダンジョン……じゃなくて、こ、ここがどういった施設なのかは俺にも分からないけど、とりあえず今出口を探してる所だからさ。


もうじき見つかると思うから、皆はここで動かず、あまり騒がないようにしておいて欲しいんだ。そうじゃないと何かに見つかってしまったりとか、どんな危険があるかも分からないから……」


「……? あ、あの〜市奈々井君? 何かに見つかるとかって言うのは、一体どういう事?」


「わ、私も気になったんだけど……も、もしかしてこの場所ってそんなに危険な所なの? クマとかライオンとか、いたりするの?」


「え!? いや、そういう訳じゃないんだけど、その……と、とにかく! 皆には少しだけ静かにしていて欲しいんだ! あと動かないで欲しい!悪いけど、頼めるかな?」


「ひ、ひぇ……わ、分かりました!」


「分かりましたんで、どうか殺さないで下さい……!」


「いや、だから殺さないって……」


俺の人徳(?)だろうか……なんて冗談はともかく。


生徒達は無事に俺の願いを聞き入れてくれたようで、皆がすんなりと口を閉じてくれた。


それに、ここを動かぬとも言ってくれたのだし、これでひとまずは安心してダンジョン攻略が進められると言えよう。


「ま、まあ良いや、それじゃあ頼んだよ!!」


俺はまた踵を返し、ダンジョン最奥を目指して歩き出した。




その後も色々とあった。


やっぱり魔物達は強者揃いだし。そんな魔物が皆の所まで行かないよう一旦引き返したり、わざわざ順番付けて倒したり。


他には念のためと、敢えてミミックを宝箱と間違えたフリをして開け、戦ったりもした。


正直、慣れない事ばかりしているせいか、普段のダンジョン攻略よりもずっと疲れてしまった。


でも、これでやっと終わる。もうすぐダンジョン最奥、ボスの所まで遂に辿り着いたんだ。


さあ、後はそのボスを倒すだけ……そういえば、結局このダンジョン内でララドーラの姿を見なかったけれど、アイツはどうしたんだろうか?


まさか、ここのボスがそのララドーラだったりして……なんて事は流石にないか、だってアイツはあくまでも指示役なんだろうし。


それに、わざわざ幹部ともあろう者が現場に出て、しかも戦うなんてあり得ないからな、多分。


まあ正直、ぶちのめし……じゃなくて。一発キツいのをお見舞いして……でもなくて。


ララドーラには少しお仕置きをして、女神様と仲直りしてもらって。もっと言えば、そのまま幹部という肩書を活かして、魔王に関する情報を教えてもらうとか。


……とにかく、色んな意味で彼女とはもう一度会いたかったのだが、いないというのならば仕方がない。


そうとなればここはもう、さっさとボスを倒してダンジョンを攻略するとしよう。ただでさえ、俺には他の生徒達を守るという使命が課せられているのだから。


思考を終えた俺は、最奥に待つであろうボスの元へと一直線に駆け出して行った。

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