十四話 刺客(?)
ララドーラとの遭遇によって俺は、最終目標に『魔王討伐』を掲げる事となった。
けれども、目標を達成するには何をどうしたら良いのか。そこがまずイマイチ分からないため、差し当たっては普段通りに生活していようと思う。
という事で今日も学校だ。それが終わったら家でまた女神様に色々と聞かせてもらうと決め、今は通学路を歩いている。
ちなみに、現在時刻は七時くらいだ……大丈夫、今日は寄り道なんてしていないし、前よりももっと進んだ場所にいる。
当然、学校には今からでも充分に余裕をもって辿り着けるくらいの距離である場所にだ。俺だっていつもいつでも遅刻している訳では、というかあの時の方が珍しいからな。
そうだ、最初に失態を見せてしまったので日頃から遅刻ばかりしてる奴だと誤解されているかもしれないが、決してそんな事はないのである。
……失礼、少し熱くなってしまった。
まあとにかく、そうして俺は本日は何事もなく通学路を歩き進めていた。
そう、思っていたと言うのに。いや、そのはずだったのだが。
まさかまさか、事件はそこではなく。終着点である学校にて起きてしまったのである。
それはやはりと言うべきか、俺がダンジョンは愚か何の邪魔もなく、無事(?)に学校へと辿り着こうとしていた、まさにその時に事は起こった。
より正確に言えば、俺へと向けた刺客が現れたのだ。
正直、これがララドーラ等、別世界から差し向けられたものであったらどんなに良かったかと思う。
だって、その時はその時で戦うまでなんだし、それにもし、そこでソイツらを倒せたら俺の悲願は早くも達成される、かもしれないんだから。
でも残念ながらそうではなく。校門の前、そこにいたのは教師達と沢山の生徒兼野次馬、そして……
「おい!! ここに市奈々井って奴がいるのは分かってんだ!! 早くソイツを呼んで来い!!」
何処か見覚えのある、ヤンキーの集団がそこにはいるのだった。
……いやまあ、俺だってそこまで物覚えは悪くないし、相手の顔を敢えてすぐに忘れるようなドライな人間でもない。
だから正直に言えば、ソイツらの事はよく覚えている。あれは確か、俺が遅刻しそうになった時に絡まれ、脅迫され、そして最後には返り討ちにする事となったあの不良達だ。
一体、アイツらは何をしにわざわざ俺の高校までやって来たというんだ……まあ十中八九お礼参りなのだろうが。
だがそれにしても、本当にやる事が時代遅れというか、何と言うか……何て言ってる場合じゃないか。
これ以上あんな奴等を好きにさせておけば、ただでさえ低かった校内での俺の株が底値にまで下落してしまう。
にも関わらず、生徒や教師達の前でまた返り討ちにする訳にもいかないときている。だからこそ、そのような軽口など叩いてはいられないのだ。
何せ、事態は想像以上に厄介かつ深刻なんだから。
だけど、本当にどうすべきなんだろう?俺はどう動くのが正解なんだろうか?
前にも言った通りこのままでは俺の評価が更に下がってしまうというのに、場所が場所なせいで『全員ぶちのめす』という最も楽な対処法も封じられてしまっているのだから。
……もういっその事、今日は熱が出たとか嘘ついて帰るか?
いやいや、それだとアイツらはいつまでもあそこに居座るだろうし、それに今日がダメなら明日もやって来るという可能性だって十分にあるはず。
「……う〜ん、困ったなぁ」
その発言に偽りはなく、俺はただ頭を抱えてじっとしているしかなかった。
「あ、アナタ達!! 良い加減にして!!」
だがその時、ヤンキー達に向け声を上げる者があった。
当然、それは俺以外の誰かだ。しかも声から察するに女性、あんな危ない集団に女性が何をしようというつもりなのだろう?
例えそれが、人生の先輩である女性教師だったのだとしてもだ。相手は所謂『ヤカラ』の集団なんだぞ?
もし女性の生徒だったら尚更危険だ。大人ならまだしも、年齢も近く何の肩書きもないその者の声など、目に映る全てを舐めているあの不良達に響くはずがない。
「だ、大丈夫かな……?」
俺はその女性の身を案じるあまりに行動を開始した。
とは言っても今はまだ影から首を伸ばし、その様子を観察しているだけなのだが……しかし。
「……!?」
その者を目にした瞬間。俺は驚きのあまり声も出せず、ただ立ち尽くすばかりとさせられてしまった。
何故ならば、というか。その人物が充分驚くに値する程の存在であったのだから。
それは……亜香里だった。
そうだ、あの倉井亜香里だ。あのとても大人しく、いつもオドオドしているはずの亜香里がそこにいたんだ。
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