十三話 ララドーラ 3
ララドーラが我が家を去った後、女神様は何も説明せずに消えて行った妹に代わり彼女について色々と話してくれた。
……のだが、やはりゲームに負けたのがショックだったのだろうか。
女神様の話は途中でそれについての愚痴やら何やらと変わり。まあ要するに、纏まりもなければ短くもない、無駄話ばかりが目立ってしまっていたので俺が要約させてもらう。
正直、やりたくはないけどな……はぁ、何でわざわざ俺が……
ではまず第一に、何故彼女が俺たちにとっての敵なのかと言う点について話そう。
とは言っても、それは既に正解が存在している。
それはララドーラ本人と女神様も言った通り、彼女が魔王軍に所属し。尚且つ俺も迷惑しているあのダンジョンを作り上げている張本人であるからだ。
(ただ一応言っておくと、彼女がしているのは別世界にて魔物や罠を配置するくらいで、ダンジョンそのものの生成まではしていないそうだ、まあ分かるとは思うが)
ちなみに、今から数百年程昔に女神様とララドーラは、理由までは分からないが大喧嘩をしてしまったせいで妹は姉を裏切り、対立する事となったらしい。
当然、彼女がダンジョンに魔物を向かわせるようになったのもそのせいなんだそうだ。そうして人々を苦しめ、ゆくゆくは女神様の信仰をゼロとするために。
というか、それなら俺はあくまでも形上そうなってしまったというだけで、女神様サイドにいるだけというか、巻き込まれただけというか。
正直、無関係とまでは言えないだろうが……それでも、俺がララドーラに仇敵とまで言われる筋合いはないような気がするんだが、気のせいだろうか?
……と、俺自身そのように思っているのだが。
女神様には「大丈夫よ翔君、私達二人ならきっとどうにかなるわ!!」とか何とか言ってはぐらかされてしまったのでもう気にしない事とする。正確に言えば俺はまた諦めたのだ。
という訳で話は次に移り、今度は『何故ララドーラは俺達の前に姿を現したのか?』についてだ。
と、言いたい所だが。本人がいなくなってしまい直接問いただす事ができない現状では、これはただの推測にしか過ぎない。というか、それでしかないというのを理解しておいて欲しい。
で、その推測とは。女神様曰く、「大方、魔王にでも発破を掛けられて私達を挑発しにでも来たんでしょうね」との事であった。
……まあ、いくら話した所でこれには答えがない。先にも言った通りララドーラがいないのだから。よってこの話は以上となる。
そして最後に、ララドーラはどうして何も話さずにいなくなってしまったのかという件だが。
これもまた女神様が言うには……
「あの子、派手好きな割には結構シャイな子なのよ。あのツノだって飾りよ?付けツノなのよ?
まあ、そこまで言えば翔君ももう分かったと思うけど、多分あの子、私達とあんまり長話をしたくなかっただけなんだと思うわよ」
などと言う、真実なのだとしたらあまりにもしょうもないものが導き出された答えなのであった。
だがしかし、お陰で一つ分かった事がある。
ララドーラはシャイな子だった……だと言うのならば黙々と一人でゲームの腕を磨き、そして対人戦で他者を圧倒できる程になるまで上達するというのは納得だ。
むしろ、彼女はそのような方法でしか他者とのコミュニケーションを取れなかったのだから。
つまり、彼女をあそこまで。正直、それがどれくらいかは分からないが『女神様以上』へと押し上げたのはそれが要因なのだと、その話を聞いた時に俺はすぐさま理解した。
ただ一つ、それだけの事を……それ以外はもちろん、何とも言えぬような結論にしか辿り着けなかったので話は終わりだ。
だが突然にも、そこで俺の中に一つの光が差した。
ちなみに、それは希望の類いであり。先の話を聞いた事によって初めて、その存在を知るに至ったのでもある。
で、その希望とは……
「あの、女神様。一つ聞きたいんですけど。
もしかしてララドーラか、それか彼女の上司的な存在だって言う魔王を倒せば。俺はダンジョン攻略から解放されたりとか、しますかね……?」
そうだ、これだ。これこそが湧き出た希望。ただし今の所は願望なのだ。
だって、ダンジョンに魔物を呼び寄せていたのが彼女達であるのは間違いないんだ。だとしたら、その犯人をどうにかすれば困り事が解決するというのは、むしろ当然なのではないだろうか?
そう思い、俺はその予測を口に出してみたのだ。
女神様ならばきっと答えてくれるだろうと。恐らくは、いや絶対にそうだろうという、新たなる願いを胸に抱いて。
そして、気になる女神様の返事はというと。
「そうねぇ……まあ、翔君のスキルである『ダンジョン生成』とそれとは、正直あんまり関係はないから無理だと思うけど。
でも翔君の言うように魔王を倒すか、もしくはララドーラみたいに魔物をダンジョンに送り込んでる幹部達をどうにかすれば…………
ダンジョンに魔物がいなくなって、かなり攻略が楽になるとは思うわね」
……と、このようなものであった。
う〜ん、正直期待していたよりもちょっと、いやだいぶ残念というか無念だ。どの道ダンジョン生成が止まらないのならば、そこまでメリットがないとも言えよう。
が、ゼロという訳でもない。それによって大幅に攻略時間が短縮されるとしたら……あれ、もしかするとメリットがないどころか、かなり助かるんじゃないか……?
よし決めた、今度からもし幹部と会ったら積極的にぶちのめしに行くとしよう。
いや、会えなくてもだ。
だって俺の最終目的は『魔王討伐』に今、決定したのだから。
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