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十一話 ララドーラ

その後は特に何の災難もなく。普通の日々を送る者達にとっては当たり前の、俺にとっては非常に穏やかと言える帰路を進み、俺と亜香里はそれぞれの家へと辿り着いた。


ああでも、トラブルという程でもないが、ちょっとした困り事はあったと言えるかもな……ちなみに言うと、それは。


「でも珍しいな、亜香里が自分から一緒に帰ろうだなんて……何かあったのか?」


「う、ううん! そういう訳じゃないの! た、ただ翔君最近なんだかいつも忙しそうで、なかなか一緒に帰れないから……きょ、今日は私から、声を掛けようかな……な、なんて思ったりして……」


「あ、ああ……なんかごめんな」


上記のような会話を俺が始めてしまったせいで、二人の間にやや微妙な空気が流れてしまった事である。


ついでに言っておくと、その点について亜香里には一切として罪というか、いや問題すらない。


問題があるのは俺の方だ。俺がダンジョンを攻略しなければならず、危険に晒してはいけないと最近亜香里とは少し距離を置いていたから……とにかく、全ての原因はそこにあるのだ。


ああ、もし本当に神様がいるのならば、俺のたった一つの願いを聞き入れてはくれないだろうか。


一年、いや一週間、いやいや一日だって構わない。それだけで良いから、俺にダンジョンのない安息の日々を送らせて欲しいという、そこに何の欲も有りはしないたった一つのこの願いを。


それと叶うのならば、亜香里と一緒のクラスにしてもくれないかと頼むのも良いな……彼等に罪は無いとはいえ、クラスメイトとは馴染めていないから一人だけでも話せる相手が欲しいんだよな……


ああでも、それだと願いが二つになってしまうか。


というか、よくよく考えてみると俺の側には女神様がいるのだし。当の本人であるあの人だって何一つ願いなんて叶えてはくれないんだから、土台無理な話なのか。


それじゃあやっぱり、今の話は忘れてくれ。俺も忘れて、ちゃんとダンジョン攻略に勤しむから……


という事で先程の思考何もかもを忘れる事にした俺は、出来上がったレトルトカレー二つを両手に自室へと向かっていた。


ちなみに、今日のはキーマカレーだ。当然、女神様お気に入りの辛口でもある。


ま、そんな事はどうでも良いとして。俺が部屋の扉を開けると。そこにはやはりというか、今日もまた女神様がいた。


「あっ……!! 今日の相手は結構手強いわね!! 横移動でこっちの攻撃を躱してくるわ!! 私には分かる!! 分かるわ!! これはちょっと、マズいわね……ランクに響かないと良いけど……!!」


そんな彼女はいつも通り、勝手な事にも俺の所有物であるゲームに励んでいる……という事は、充電用のケーブルは自力で見つけ出したのだろう。


何というゲームへの執着心だ……そして当然といえばそうだが、やっぱり彼女が俺の願いを叶えてくれるような様子は、いや気配すら微塵もない。


そう思うと何だか悲しくなってきてしまうような、そうでもないような。まあ良い、それはもう忘れる事にしたんじゃないか。


「……まあ良いや、もう過ぎた事だし」


「え? 翔君、何か言った?」


「いや、何でもないです。じゃあいつも通り、夕飯ここに置いときますからね……」


とにかく、そういう訳で色々と諦めたのを再確認した俺はテーブルにカレーを置き、ベッドに腰掛けた。


……その時だった。


いや性格に言えば、それは俺がベッドに座してから少し後の事だ。


「あぁ〜負けた!! 負けちゃったわ!! どうして!?どうしてなのよ!? 私のキャラで横移動で躱せる技なんて二つか三つくらいしかないのにどうして!? どうしてこんなにも早くクセを見抜かれちゃうのよ〜!?」


女神様が対戦相手に敗北してしまったらしく、彼女が駄々っ子のようにして叫び、頭を抱え。


そして対戦相手のユーザーネームを確認した時だ。


「くっそコイツ!! 覚えときなさいよ!! 私も絶対忘れないから!! いつかリベンジしてやるんだから!! ユーザーネームもちゃんと覚えさせてもらうんだからね……って、あら?」


……そう、正しく言えばまさにその時、その瞬間であった。


「相手のユーザーネーム……『ララドーラ』?これ、何処かで聞き覚えがあるような……?」


「どうしたんですか?ララドーラって、別にそこまで変な名前って訳でも……って、うわっ!?女神様それどころじゃないですよ!! 地震です地震!!」


「いいえ翔君、これは地震じゃないわ。見て、この家は確かにかなり揺れているけど、辺りの建物には何の変化もない。まさかこれって……でも、そんなまさか……」


女神様が相手の名を口にした途端、まるで地震のような揺れが始まったかと思うと。


「フフフフ。漸く気付いたのね女神……」


「……!? め、女神様!! テレビから人が!! 人が出て来ます!!」


まるで某ホラー映画の◯子が如く、テレビから謎の人物が這い出て来るのだった。

いいね、感想等受け付けておりますので頂けたらとても嬉しいです、もし気に入ったら…で全然構いませんので(´ー`)


投稿頻度はなるべく早めで、投稿し次第活動報告もしています、よろしくお願い致します。

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