67【無責任全開】
次の日の昼頃、シャドー一行はドワーフンヴィレッジを旅立ち、ダーク村へ帰還する予定となっていた。
それをベン一家の四人が、小城の門前まで見送ってくれていた。ついでに大臣も居る。
そして、鎧を着ていない村長王ベンベ・ベンが別れの挨拶を告げてきた。
「それでは、シャドー殿。旅の安全を祈っておりますぞ」
『おう、かたじけない。それと――』
シャドーは話を息子のリキルへ向けた。
『リキル。俺が渡したライターを、ちゃんと捌いてくれよ。頼んだぜ』
「はい、分かっていますよ」
息子のフジルは手揉みをしながら笑顔で答えた。
昨晩、酒の席でシャドーとリキルは、商売の契約を交わしていた。
それは、100円ライターの販売委託である。
シャドーがリキルに販売を委託したのは、現実世界から買ってきた100円ライターだ。それが1ダース分ある。
それを大銀貨一枚で販売してもらうことになっていた。
何度も説明するようだが、ドワーフ族は魔法に疎い。着火の魔法すら使えない者が多い。そのため、彼らは火口石を使って火を起こしているのだ。
二つの石をカチカチと叩き合わせて、火花を起こして藁などに種火をつける、あれである。
それは、かなり面倒な着火方法である。時間も掛かるのだ。
そんなドワーフたちにとって、火を簡単に点けられる100円ライターは、十分に価値のある商品だった。
ボシュっと簡単に火がつくなんて、魔法のようなアイテムである。
たまにリングやブレスレットなどで、点火の魔法が備わっているマジックアイテムがあるらしいのだが、そんなの一般人が買える価格ではないらしい。
ただ火をつけるだけのマジックアイテムなのに、大金貨で10枚はするらしいのだ。
ベンベ・ベンが愛用している大戦斧もマジックアイテムである。故に相当な価格の武器である。おそらく大金貨100枚の価値があるだろう。
そこでシャドーは、現代世界なら100円で買えるライターを、大銀貨一枚で販売することにしたのである。
点火用のマジックアイテムの十分の一の価格である。
このぐらいの価格ならば、庶民でも買えるだろうギリギリの価格だと思えた。
リキルも、100円ライターなら売れると判断し、商売を引き受けてくれた。
リキルの取り分は、100円ライターを一個売るごとに小銀貨一枚。一割分である。
何も無いところから利益が出るのだから、それで十分だろうということで話は纏まった。
更に、ライターの燃料が切れた場合、その空ライターを持ってきた客には、小銀貨一枚を返すことになっている。
これなら余計な現代ゴミを出さずに済む。回収までしっかり行える、なかなか上手い作戦だと思った。
しかも、この販売方法なら、シャドー側にも少なくとも小銀貨八枚の利益が残る仕組みとなっている。それだけ儲かれば十分だろう。
発案者はリキルである。
なかなか彼は、商人に向いているようだった。ドワーフ商人らしくガメついのであった。脳筋戦士系の父親とは異なる。
それと、ベンベ・ベンに売ったのと同じ酒の注文も取ってもらうことになっていた。
ドワーフたちから注文を受け、シャドーが現代世界から酒を仕入れる。そして、それをドワーフンヴィレッジへ届けるという商売である。
品物の運搬は、しばらく獣人兄妹に頼むことになった。
フーミンもマサムも、配達だけで小銭が稼げると言って、快く引き受けてくれたのだ。
将来的には、ドワーフンヴィレッジに酒屋と雑貨店をオープンさせようとも考えていた。そこで、いろいろな商品を売りたいと思っている。
その際にはリキルが、土地や建物だけでなく、ドワーフの店員まで用意してくれるとも言っていた。
彼としては、この商売に一口噛みたいのだろう。それが、ドワーフンヴィレッジの発展にも繋がると考えているのかもしれない。
なかなか商売っ気の強いドワーフである。
それと妹のフジルは、再三にわたって俺に「子供が出来たら認知してください」と言っていた。それが少し重たい。
子供が出来たら、認知ぐらい俺だってちゃんと考えているよ。本当にさ~……。
なにせ、リキルは可愛い合法ロリである。ドワーフなのにスレンダーで人間の乙女のような姿なのだ。
そのレアリティーはとても高い。まさに希少種である。
そんな彼女を、マーリアが冷たい眼差しで見ていたのが怖かった。
まるで氷の魔女のような、凍りつくほど冷たい眼光だったからだ。
褐色美人の顔が、まるで殺人鬼のように歪んでいた。
たぶん、嫉妬なのだろう。
マジ、怖い……。
しかし、一度に三人の娘と関係を持ったのは、失敗だったかもしれない。
だが、全員が可愛いのだ。
マーリア、アイーリ、フジル。皆、捨てがたい。超麗しいのだ。皆と仲良くやっていきたいのだ。
そして、俺にはダークエルフのルールが適用されているらしい。
それは、子供が出来たら結婚する――というルールなのだ。
逆を言えば、子供が出来なければ結婚しなくてもいいということになる。
しかも、ダークエルフのルールでは一夫多妻が認められている。それをフジルも承知の上で、俺との関係を持ったようだ。妾でも構わないらしい。
ということは――ヒットしなければノーカンなのである。
最悪の場合は、ホームランを打った乙女たちを全員囲んで、ハーレムを築いてしまえばいいのだ。
一夫多妻、バンザーイなのだ!!
大家族、バンザーイなのだ!!
まあ、なるようになるさね……。
それにしても、俺の下半身は我が儘なのだ。辛抱も我慢も出来ないらしい。
なんとも男として不甲斐ない下半身だと思った。
反省……。
まあ、素晴らしい一晩を過ごせたのだから、それだけでも責任を背負う価値はあったのだと思う。
てな感じで、言い訳を並べてみたが、たぶん誰も許してくれないだろうとは思う。
これと同じことを他人が言っていたら、俺だって怒ることだろう。
モテ期って、いざ来てみると、案外と難しいものである。
簡単に考えていた頃が、なんだか懐かしい……。
俺は、モテなかったから不器用なのだ。
いや、不器用だからモテなかったのだ。
まあ、どっちでもいいか……。
───────────
⬛作者からのお願い⬛
───────────
面白かった、続きが気になる、今後どうなるの!?
……と思ったら【本棚】に加えてくださいませ!!
また、作品への応援お願いいたします。
メッセージ付きのレビューなどを頂けますと大変励みになります。☆や♡をください!
面白かった、つまらなかった、正直に感じた気持ちだけでも構いません。
何卒よろしくお願いいたします。
by、ヒィッツカラルド。




