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あいみての  作者: みかの。
3/4

和泉

前回のあらすじ


ひょんなことからかるた会に行き、初めて競技かるたをした楓。次の日のこと…

翌日の放課後。

「おー楓ー!一緒に帰ろうぜー!昨日はごめんなー」


そう声をかけるのは松宮友也。一緒に赤点を取る仲だが友也は野球部エースだ。


「てか昨日はどしたん?」

「いやー先生に雑用押し付けられちゃってさ。放課後までずっと中庭の草むしりだよ草むしり」

「何したらそうなるんだよw」

「教室でキャットボールしてたら窓割っちゃってよ。てか帰ろーぜ。ゲーセンでもいくか?」

「あーすまん今日ちょっと寄るところあってよ。」

「えーつれねーな〜」


そう言って渋々と別のやつを誘いにいく。

さて、さっき言ったように俺には寄るところがある。

昨日のかるた会だ。

何がそんなに楽しいのかの説明もできないが、帰ってからもふと思い出すあの時の高揚感。


(まあ、今日だけ行って、それで終わりだな、うん。)


昨日の和室に着き、そーっとドアを開ける。


「あっ小椋さんだ!来てくれたんですね!」


さっそく昨日の少女こと忍岡に見つかる。


「試合始まるのあと20分後とかなんで、てきとーに荷物その辺に置いてくつろいだり練習したりして大丈夫ですよ!」


部屋には忍岡の他に4人。小学生っぽい子が1人とお年寄り2人、そして大学生?くらいの人が1人だ。みんな各々札を使って練習したりしている。


「ここは、どういった人が来るんすか?」


「んーえっと、その日かるたしたい人が来る、みたいな?」


「いろんな年齢の人がいるんすね」


「まー確かにね。2、3才とかで始める子もいれば大人になってから始める人もいるし。」


「に、2、3才…」


「とは言ってもほんっとに一部の人だけですよ笑笑。私も始めたの中学からでまだ3年目ですし。」


「もし、」


忍岡がそう言ってこっちを見る


「もし今から始めても遅いって思ってるのなら今すぐ初めるのをおすすめします。後からまたかるたに興味を持った時、絶対に、せめてあの時はじめていたらってなります。かるた始めるのに遅いってことはないんで。」


そう言う忍岡の眼差しはとても真剣だった。



「あれっ新入りがいる!!」


入り口から唐突な声。


「あっいずみん」

と忍岡。



いずみんってそういや昨日言ってたような。見ると金髪で顔整いな男子高生。ハーフか?



「初めましてー天瓶(あまがめ)和泉です。よろしくね。何年生?」

といって握手の手を差し出す。


「え、あ小椋楓高1ですよろしくお願いします。」

そういいつつ、慣れない握手に応じる。


「おー同い年じゃん!好きな札はやっぱりおぐ?」



おぐ?おぐ…あっ小倉山の札のことか。



「一応そうだけど、まだ他に何も覚えてないというか。ていうかまだここに入るつもりも」


「えっそうなの残念。でも今日は試合してくの?」


「ま、まあできれば」


「まじ、じゃあ俺と試合しよ。」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



あーもうなんかさっきから人見知りコミュ障発動してるしどうしよ。どんな距離感にすればいんだよ。

流れで試合することになっちゃったし。強いよなぁきっと。


「小椋…いや楓は今日で来るの2回目?」


と天瓶が札を並べながらきく。


「あ、うんそうだけど」


「札の覚え方とかってきいた?」


「あーうんわかるよ。むすめ何とかみたいなやつだよな」


「そーそーむすめふさほせ。そこまで知ってるんだ。」


すると

「暗記時間取り始めます。えー現在の時刻は15時58分なので、16時13分試合開始です。」

という声とともに


「失礼します」

といって天瓶が立ち上がる。


「暗記時間中は相手に礼してから好きにどっか行ったりできるんだよ」

と教えてくれた。


「じゃ、俺がいない間、暗記頑張って」


そう言って部屋を出て、戻ってくると水色のTシャツにジャージ姿。


よく見るとTシャツには冬峰と書いてある。冬高だったのか。

 

「そういえばいずみん、高校選手権代表おめでとう!」

と忍岡が言う。


「うん、ありがと。」


「…??」

どゆことだ。


「毎年7月に滋賀で高校選手権っていうかるたの大きい大会があるんですけど、あっかるたの甲子園とも呼ばれたりしますね。それの代表校にいずみんの学校が選ばれたんですよ!高校選手権ってのは団体戦と個人戦があって、団体戦の方は各都道府県一校、まあ東京とかは二校出れるんですけど、」

「要はその全国大会の、うちの県の代表校になったってこと。」

と忍岡を遮って天瓶がいう。


「はーすごいな。冬高ってかるた強かったんだ。」


「ミーシャ..俺の兄ちゃんが何年か前に作ったんだけど、他にそんなに強いとこもないからずっと全国常連校。楓は夏高?その制服は。夏高ってかるた部ないよねそういえば。」


「あー…なかった気がする。」と俺が答えると同時に

「え冬高かるた部って名人が作ったの!?」と忍岡。


「あうんそうだよ。ていうか知らなかったの意外。」


「全然知らなかった..てっきり元からあったものかと」



「…ごめんどゆこと?」


「えっといずみんのお兄さんの天瓶ミハイルこと三春さんが現名人なんだけど、その名人が作ったのが冬高のかるた部ってことです。」


「名人ってのはクイーンと並んで日本で1番かるたが強い人のこと。」

と天瓶。


「えお前の兄貴すごいな。」


「うん、まあね。ていうかあと5分だけど札の位置は覚えられそう?」


「あ、いや全然だ。やば」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


試合開始。ハンデをつけてくれて俺は敵陣の札を取ったら、ほんとは1枚のところ、2枚送っていいらしい。

要は敵陣にある方の札を取れば取るほどお得ってことだ。



「あさぼらけ」


あっ確かこれは相手陣の1番遠くの段にあった気がする。


そう思ってみると札が天瓶の手によって綺麗におおわれてる。


「ありあけのーつきとー」


と言われるとともに天瓶が札を回収していく。

困惑してるうちに取られてしまった。


「今のは囲い手っていって、6文字目とかまで聞かないとその札だって判別できない札を、先に囲っておくことで相手に取られづらくできるんだよ」


「えすごそれ合法なん」


「うんもちろん。別の札だった時に触っちゃってなければ大丈夫だよ。」


そんな技まであるのか。こんなん取れないだろ絶対。


「あしびきのー」


あっ自陣の1番手前ら辺にあった気がする。


あった気がする方に手を伸ばすと、ちょうど天瓶の手に押されて札を取れた!


「よっしゃ!!」


この調子で何枚か取れたものの、基本天瓶が速い。気づいたら取られてる。たぶん何枚か遅い札もあるのは俺が取れるようにしてくれてるのだろう。


「あらしふくー」


あっと思う間もなく天瓶の陣にあった札が左右で一枚ずつ飛び去る。


「今のは…?」


「今のは渡り手っていって、例えば今のだと『あらしふく』と『あらざらむ』の2枚の札がここにあって、『あら』まで聞いたらこの2枚のうちのどっちかであることが確定するから、『あら』まで聞いたらそのどっちもを触れば取れるってこと。」


「え、それも合法なん」


「うん笑笑。でた札と同じ陣なら触ってもいいからね。」


すご。俺にもできるのか?そんな素早くどっちも取るなんて。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


結局試合は8枚差で負けだった。


「強いねー全然2回目とは思えないよ。」


お前だよ強いのは。さすが名人の弟ってことなのか?


「いっこ質問があるんだけどさ、」


「うん。どしたの?」


「さっき団体戦がどうっていってただろ?これで団体戦ってどうやるんだ?何人かでこの札を取り合うには狭くね?」


「よく覚えてるね〜。いい質問。今やったのが知っての通り個人戦なんだけど、団体戦は個人戦が横に5本並ぶんだよね。それで5個ある個人戦のうち、3つ以上で勝てればそのチームの勝ち。」


なるほど、ぎゅうぎゅう詰めに何人か座って札を取るわけではないんだ。


「それでね、団体戦は掛け声とかもありだから隣の人と励ましあったり、あと、並び順は決めれるから誰と誰が対戦するようにしたいとかを調整したり、試合の最後で札合わせっていうチームが絶対に勝てるようにする送り札の調整とか…」

「ええっとつまり、団体戦なら格上相手にも勝てるかもしれないっていう戦略性がめっちゃあるんだよ」


「格上にも、勝てる…」


その後天瓶はYouTubeで去年の大会の動画をちょっと見せてくれた。格上に勝つとか言っても、俺にはどっちが強いのかのぱっと見じゃわかんないほど強そうだったし真剣だった。


「今の試合は楽しかった?次の試合もあるけどどうする?」


「札を、覚えてみようと思うんだけど、次はいつやってるんだ?それまでに100枚覚えてくる。」


「まじで?次は明後日、金曜日にやってるよ。」

3話も読んでくださりありがとうございます。

ここまで読んでくれた方がどれくらいいるのかわからないですけどとても嬉しいです。


そういえば先週の高校選手権団体は浦和明けの星が優勝してましたね。去年決勝で負けた関東第一に勝っての優勝で見事でした。

関東第一を初め、他の参加された学校や運営の人たちもおつかれさまでした。

そろそろお前どこ目線だよ(((って感じなんでやめときます

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― 新着の感想 ―
今回の話も面白かったです!現実の話ですが、私も高校選手権見てました。個人的に浦和明けの星を応援してたので、優勝してすごくうれしかったです
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