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118.左手に剣 右手に盾

 『トロント』側から見て左手の橋、『ツインブリッジ』の『ノースブリッジ』における戦いの火蓋(ひぶた)が切られた。


(「『ゴブリンの乗るワイバーン』部隊が襲ってきます!」)

(「『ノースブリッジ』上空はミューラ様の『火炎竜(ファイヤードラゴン)』と、ジャック=ハート様の『雷鳴竜(サンダードラゴン)』が対空戦を開始された。我々は前進あるのみ!」)

(「了解!」)


 兵士たちの指示が飛び交う。

 上空では『ゴブリンの乗るワイバーン』が無数に飛び交う中、ワイバーンが『ノースブリッジ』を進軍する兵士の集団に口から火球を放つ体勢。すかさずミューラが応戦する。


「させるもんですか!『火炎竜(ファイヤードラゴン)』、『ファイヤーブレス』!」

「ギギャヤヤーー!!(シュボーー!)」


「ギギィィー!(バスン!からん からん)」


 『火炎竜』の『ファイヤーブレス』によって、上空を旋回(せんかい)するワイバーンが次々と魔石に変わり地面に落ちていく。


(「我々には火のクリスタルの使徒がついているぞー!」)

(「前進ー!」)


 兵士たち、冒険者たち、魔法使い、総勢4万の兵士のうち、半数の2万近くが左手の『ノースブリッジ』を突き進む。


(『トロント』側。丘の上から戦況を見つめるセバス 3エルフと漁民)


「セバスさん。なんか、僕らの周りにたくさんエルフの方、集まってきましたけど・・」

「え~『トロント』のギルドに臨時に開設していた『作戦本部』、ただいまをもってここに移転となりますゆえ~」

「そうなんですか?」


 丘の上で戦況をルナ様と見つめていると、どこからともなくエルフの集団がテントを設営するなり、臨時の『作戦本部』が設けられたらしい。

 設営を見守っていると、『月の雫』のメンバーである、ジョンとエリス、そしてエリスパパのクラウドが合流してきた。


「銀等級、ルナ様の警護でただいま到着だぜ」

「なに言ってんのよジョン。ルナ様、パパも一緒に連れてきました。防御は私たちに任せて下さい」

「スズキ、今回も俺たち親子でしっかりルナ様守ってやるぜ、なあエリス」

「頼りにしてるのはイチロウ君だけです」

「またお前ら、やっぱり怪しいな・・」

「何が!(2人)」


「え~では時は近づきました。ルナ様、防衛の準備を」

「はいセバス様、わたくしにお任せくださいまし」

「セバスさん。この布陣、なんだか左の『ノースブリッジ』に攻撃型の兵士や冒険者、右の『サウスブリッジ』には防御型の兵士や冒険者が多いような・・」


「え~大変素晴らしい答えですな。さよう、本作戦名は『左手に剣を、右手に盾を』」

「左手に剣って・・防衛戦なのに、なぜかガンガン攻め上がってますけど・・」

「え~サリー、現在の『ノースブリッジ』の進行状況はいかに?」

「はい副ギルド長。現在サンダース様を先頭とする『ノースブリッジ』防衛隊は、橋全体の30パーセント近くまで攻め上がっております。まもなく中間地点、ゴブリン魔導兵との戦闘が開始される予定地点に到達します」


 普段はオルレアン連合ギルド会館の1番窓口に座るサリーさんが、臨時に設営された『作戦本部』における軍師セバスさんの指示で、手元の『結晶石』のタブレットビジョンを操作して情報を逐一報告してくれる。

 隣にはリンダさん、エミリーさんが同じく『結晶石』のタブレットビジョンで戦況を確認、分析を行っていた。


 その周りのエルフたちも、なにやらタブレットビジョンを操作したり、ある者はギルドカードを使って無線のように現地の兵士や冒険者たちに指示を行っている様子。


「え~作戦時間は許容範囲内ですな~(かち かち)」

「凄い・・でも盾の方は?なんか凄い軍勢がこっちに攻めてきてますよ・・」

「現在『サウスブリッジ』ゴブリン魔導兵約5万、こちらの『トロント』側に向かって進軍中。まもなく中間地点に到達します」

「ああ、なるほど・・ゴブリンほいほいって事ですね」

「え~スズキ君。なんですかなそのほいほいと言うのは?」

「ええ、引き寄せて引き寄せて、ルナ様で一発ドカンでおしまいみたいな・・」

「え~まったく、言い方はともかく・・素晴らしい答えですな」

「さすがセバスさん、軍師セバスは違いますね」


「え~リンダ、上空の状況は?」

「はい副ギルド長、現在ミューラ様とジャック=ハート様の2体の竜が、『ゴブリンの乗るワイバーン』部隊約500体と交戦中」

「500!?」

「そのうち約60%を撃墜完了」

「凄い・・」


(「ギギィィーー!!」)(びゅん!)


「突破された部隊があります!」

「え~応戦しなさい。ルナ様の防御を」


「ギギィィーー!!」


「エリス!」

「パパ、急いで!」

「ビックシールド!!(2人)」


(バァァァーーン!!)


 『ゴブリンの乗るワイバーン』部隊の一部が、『ツインブリッジ』を突破しこちらの作戦本部へ火球を放つや、エリスとエリスパパのクラウドが『ビックシールド』を展開して全員を防御する。


(シューーン!!・・)


「あいつら『トロント』の市街地に!?」

「え~あちらの対空戦は任せましょう。すべてを打ち落とすのは不可能です」

「それじゃあ街が・・『トロント』が・・」

「スズキ君、これは戦争なのよ。今は君にできる事だけ集中して。みんな避難してる、ほら、空に向かって魔法で応戦してるでしょ?」


「ここがゴブリン魔導兵に突破されたら・・」

「え~もっとひどい事に・・。そうならないように、今はしっかりと戦況を見守るのですぞ」

「分かりました。これって・・戦争・・なんですね・・」


「(かち かち かち)え~まもなく時間に。聖女ルナ様、ご準備を」

「かしこまりました、いつでもいけます」

「スズキ君、何か分からない事があれば今のうちに。まもなく『サウスブリッジ』も戦闘に入ります」

「えっと・・セバスさん、なんで左の橋なのに『ノースブリッジ』なんですか?レフトブリッジで良いような・・」


「え~大国間の争いを避けるためですな~。ここから向かって左が北、右が南に当たりますので~」

「なるほど・・あっ、もう大丈夫です」


「スズキ様・・もう少し何か質問は出来ないのですか?」

「あっ、はは、もういいです」

「ううー」


「え~サリー、『ノースブリッジ』状況報告を」

「はい副ギルド長。『ノースブリッジ』防衛隊、サンダース様の活躍により現在橋の中間地点まで進行」


「え~リンダ、『サウスブリッジ』状況報告を」

「はい副ギルド長。『サウスブリッジ』のゴブリン魔導兵。ただいま中間地点に到達」


「(かち かち かち)え~少し侵攻が早いですな~。聖女ルナ様、お願い致します」

「かしこまりました。エリス、クラウド様、ジョン、お願い致します」

「はい!!(3人)」


「セバスさん、僕まだ行かなく大丈夫ですか?凄く足遅いですよ?」


「え~それにはちゃんと用意を。それでは『サウスブリッジ』防衛隊の出撃を。聖女ルナ様、今回の作戦はあなた様にかかっておりますぞ」

「心得ております。このわたくしの命に代えましても」

「それはダメですルナ様。まずは私たち『月の雫』が、ルナ様の盾となってお守り致します」


「頼んだよエリス。クラウド、ジョンも、後で必ず行くから頑張って!」

「了解!」


 ルナ様とエリス、クラウド、ジョンが丘を下っていくや、4大陸側の連合軍の残り2万の兵士が一斉に進軍を開始していく。

 向かって右側、『サウスブリッジ』の中間地点の当たりから、情報通りゴブリン魔導兵の兵隊総勢10万のうちの半分、約5万の姿が、徐々にその姿を大きくしていくのが見えてくる。



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