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109.決勝トーナメント(前編)

 闘技場『コロッセオ』の外で闇の料理人による金銀硬貨強奪計画が進行する中、闘技場内では決勝トーナメントが開始される。


(決勝トーナメント 第1試合 エリス(水属性)VSジャック=ハート(雷属性)(ケンブリッジ学院所属:職業(ジョブ) 騎士)


「あら、あなたと本当に戦う事になるとはね」

「これはいつぞやのご婦人、たしかルナ様の親衛隊・・のお話相手でありましたかな」

「あらどうも、話相手のエリスです。あなたがルナ様にふさわしい男か、試してあげる」


「どうぞお手柔らかに・・その鎧と盾・・『水の鎧』に『水の盾』・・」

「だったら何よ!」


「試合始めーー!!」


「ライトニングボルト!!(ドカァァーーン!!)」

「『雷属性』!?」

「エリス様、その『水の盾』では属性不利。我が必殺の(やいば)をかわせませんぞ、棄権なされて下さい(ばちばちばちばち)」

「ルナ様や・・みんなが見てるの!棄権なんかするもんですか!そりゃーー!!」


 エリスが盾を捨て、左手に持つ(やり)をジャック=ハートに向けて突撃する。


「その勇気、()めてやろう・・だが、必殺!サンダーブレード!!」

「(ダァァァーーン!!)キャーー」


「(実況)おおっと、ジャック=ハートの必殺、サンダーブレードが突撃するエリス選手の手前で爆発、エリス選手、場外へ吹っ飛んだ!!」


「おおーー」


「エリスーー」

「(ぼろぼろっ・・)痛った・・(がばっ)パパ!?」

「あの野郎、ぶっ飛ばしてやる!!」

「やめてよパパ!勝負に負けたの、私は大丈夫だから。恥ずかしいから絶対行かないで!」

「なっ・・おう・・。立てるかエリス?」

「(くらっ)ありがとうパパ・・私、負けちゃった・・」


「エリス殿、お怪我は?」

「なによジャック、手加減して手前で爆発させておいて」

「エリス!お前、顔に傷が!?」

「えっ?ああ、かすり傷よパパ」

「こらお前!俺の娘に何て事してくれたんだ!!(がばっ!)」

「(がばっ!)申し訳ございませぬお父上、突撃されたエリス殿の勇気に全力で答えようとしたのですが・・」


「クラウド(きょう)!闘技場内への乱入はいくらあなた様でも」


「ちょっとパパ!やめてよ馬鹿!!」

「は、離せ!こいつを一発殴らせろ!離せ、離せ!!」


「(実況)え~ただいまエルミタージュのエリス選手のお父上が激怒され暴れておりますので、そのまましばらくお待ち下さい」


(「あはははは」(会場内))


 クラウドパパはたくさんの兵士に押さえつけられて、場外へ退場させられていく。


「(実況)え~それでは決勝戦、第2試合を開始致します」


(会場)「パチパチパチパチ」


(決勝トーナメント 第2戦 聖女ルナ(光・水属性)VSガイア(土属性)(エルミタージュ学院所属:職業(ジョブ) 錬成士)


「エリスは大丈夫なのでしょうか・・ガイア先生・・」

「かっかっか。聖女様がお相手とは、わしもツキが無いようじゃわい」

「お手柔らかに・・」

「かっかっか、ここは小僧に目覚めさせられたスキルを使う時じゃのう」

「小僧・・スズキ様の事?」


「試合始めーー!!」


「申し訳ございませんガイア様、痛いのは嫌なので、全力でいかせていただきます」

「かっかっか、遠慮はいらんぞ聖女どの」

「水の精霊たちよ、わが声に、耳を傾けたまえ・・第3位界・・水魔法、『水流弾(アクアショット)』!!」

「いきなりきおったの、スキル、『ヒグチカッター』!!」


(ずばっずばっ!)


 聖女ルナの念唱(ねんしょう)した水魔法により発生した青い発行体がガイアを襲うが、スキル『ヒグチカッター』により発行体が真っ二つにはじけ飛ぶや、水しぶきとなって地面を濡らし消えていく。


「まだです!大気に眠る水の精霊たちよ、わが声に、耳を傾けたまえ・・第4位界・・水魔法、『激流水(ウォータークラッシュ)』!!」


「魔法のランクを上げてきおったわい・・スキル、『ヤッパリイナバ・ヒャクニンノッテモダイジョウブ』!!」


 聖女ルナが魔法を念唱するや、ガイアに向かって闘技場に突然地面から大波が発生し、ガイアを襲う。大波がガイアを飲み込むが・・。


「(ざざ~ん)やりまし・・ええ!?」

「(ざざ~ん・・)ふう~なんとかやり過ごせたわい。やっぱりイナバ、小僧のスキルもたいしたもんじゃわいて」

「どうして・・わたくしは、水魔法の第4位界を放ったはずなのです・・」

「どれ、こっちも攻撃といこうかいの~。ほれ、ルナ様、攻撃するけえ、しっかり防御しなさい」


「はい、かしこまりましたなのです。『聖なる防御壁(ホーリーウォール)』!」

「くっくっく、小僧の言う通り、まったく素直で頑固な聖女さんじゃわいて」

「ガイア先生。スズキ様はいつもわたくしの事をなんとおっしゃっているのですか?」

「ほれ聖女さん、今は試合に集中せんか。いくぞい、スキル『ヤンボーディーゼル』!!」


(ウゴカスチカラダヤンボ~(ずずずず))


「ああ!?うしろに押されて行くのです!?」


「ほれほれ、『ヤンボーディーゼル』最大出力じゃわい、ほれ~」


「(ずずずず)きゃ、きゃ~(ずさっ)」


「(実況)おおっと、聖女ルナ様。エルミタージュ学院講師にして銀等級冒険者ガイア先生のスキルによって、場外に押し出されてしまった~」


「ああーー(会場)」

「いや-ー(会場)」


「お尻が痛いのです・・」

「ルナ様ーー」

「スズキ様・・じゃなくて、ジャック=ハート様・・」

「お怪我はありませぬかルナ様!」


「ジャック様!」

「はい、ルナ様」


「さっきはよくもわたくしのエリスにひどい事をしてくれましたわね!」

「その・・あれは、みねうちでございまするに」

「言いわけなど聞きたくありません!今度エリスを傷つけるような事をしたら、絶交(ぜっこう)なのです!!」


(絶交なのです 絶交なのです 絶交なのです)


「な・・なな・・それだけ・・は・・」

「知りません!(ぷいっ)」

「ルナ様!」


「ジャック=ハート様。次の試合が控えております、控室へ」

「うるさい!今はそれどころでは無いのだ!(がばっ!)は、離さんか!」

「『コロッセオ』の外へ出れば失格となります(がばっ!)」

「うるさい!ルナ様!なにとぞ、なにとぞ、ご機嫌をお直し下さいませーー」


 聖女ルナはエリスの後を追いかけるように、闘技場『コロッセオ』場外へと消えていった。


(闘技場『コロッセオ』の外 大行列をさばききれない闇の料理人とアイカツ戦士)


「銀等級、ぜんぜん人減らないぜ。今頃、決勝トーナメントどうなってんだろうな~」

「仕事に集中するのだジョン君・・しかしこの行列、猫の手も借りたい・・あっ、エリス!」


「(ぐすっ)あっ、イチロウ君・・わたし・・」

「どうしたエリス?お腹でも痛いのか?」

「もう!なんで私が泣いててもそうなるのよ!・・って、なにこの行列?」

「エリス頼む、『月の雫(つきのしずく)』のよしみで手伝ってくれよ。このアイカツ戦士1人じゃぜんぜん人手足りないんだよ」


「おい銀等級、俺が役に立って無いとでも言いたいのかよ!」

「はいはい、も~しょうが無いわね~(がちゃがちゃ)」

「エリス!『水の鎧』脱ぐのかよ?」

「当たり前でしょ?動きにくいったらありゃしない」

「エリス、今すぐこの『毘沙門天(びしゃもんてん)』仕様のエプロンを装備するのだ」

「ぷっ、何よそれ?今イチロウ君とジョンが付けてるやつ?」


「そうだぞエリス、君の胸は非常に危険だ。エリスの服に汚れが付いてはクラウドに申し訳ない。この『ウインダム』作業員によって開発されたクマちゃんマークの『毘沙門天(びしゃもんてん)』仕様エプロンを装備して、今すぐ『月の雫』の援軍として合流して欲しい」


「はいはい、意味全然分かりません。よいしょっと、うん、結構似合ってる」

「いいなエリス、その恰好(かっこう)。まるで新妻みたい(バス!)ぐふっ・・調子良さそうだなエリス」


「ジョン、あんたは黙ってなさい。それじゃあさっそく私は・・ルナ様!?」

「なんでルナ様までここに・・」

「(ぐすっ)エリス~」

「ルナ様ルナ様・・よ~しよし、負けちゃったんですね」

「え~ん」


「負けたって・・2人とも、もしかして今まで決勝トーナメント出てたの?」

「そうよイチロウ君、『水の鎧』装備してダンスでもしてたって言いたいの?」


「ううっ・・ううっ・・」

「はいはいルナ様、いい子いい子。けがはありませんか?」

「はい・・少しお尻が痛いのです・・」

「よし2人とも!ルナ様もお願いします!」

「(ぐすっ)スズキ様?」


「ちょっとスズキ君、あなた、まさかまた『ベネチア』の時みたいに、ルナ様にもお店手伝わせるつもりじゃないでしょうね?聖女様なんですよルナ様は!」


「・・わたくしも一緒にお手伝いするのです」

「ルナ様・・」

「聞いたかジョン君。ルナ様、今すぐジョンの隣にお願いします」

「かしこまりました(ささっ)はい、来ました」


「ル、ル、ルナ様が・・お、お、俺の・・と、隣に・・」

「さあジョン君、力を出し(おし)しみするな!気合を入れてお客様に『お味噌汁』をおつぎするのだ!ルナ様が隣で見ているぞ!」


「はい先生!いらっしゃいませー!!」

「『おにぎり』セット4つ」

「はい、喜んで!!『おにぎり』セット4ついただきましたーー!!」


「凄い気合なのです・・」

「よし、ジョン君のスイッチが入った。エリス」

「うん、私は何をしたら良い?」

「ルナ様にまず『毘沙門天』仕様のクマちゃんマークのエプロンを装備させて差し上げて」

「はいはい、そこのクマね・・ルナ様、こっち向いて」

「はいなのです」

「(きゅきゅ)はい、よし。うん、とっても可愛い。髪も長いからまとめちゃいましょうね(しゅしゅ)」


「可愛い・・ルナ様!」

「スズキ様」

「ルナ様、さい銭箱・・オッホンオッホン・・箱を前に置きますので、全力の笑顔でお願いお客様のお出迎えをお願い致します」

「はい?」


「エリス」

「うん、私は次どうしたら良い?」

「お客様の列を最後尾へ向かって列を整えてくれ。必ず「聖女ルナ様がお出迎え致します」と付け加えるのだ」


「なんだか(やみ)を感じるわね・・」

「スズキ様は一体何を・・(ぎゅぎゅ)キャ・・」

「ちょっとイチロウ君!なにルナ様の手握ってんのよ!」

「ルナ様、大事な事だ、聞いてくれ!」

「・・はい」


「ここでお客様を笑顔でお出迎えすれば、明日の決戦に向けて、みんなの士気が大きく上がる」

「そうなのですか?」

「みんながその笑顔を求めているんです!これは慰問(いもん)なのです、慰問」

「そうなのでしょうか・・そういえば、孤児院の慰問の時も、似たような事を言われた事があるような・・無いような・・」


「ルナ様は存在そのものが天使なんです!可愛いんです!」

「可愛い・・」

「あなたにしかできない、あなたになら出来る事を、今ここで、お願いしたい!」

「は・・はい・・」


「ちょっとイチロウ君、いいかげんその手、放してもらえないかしら?」


「えっ?ああ!(ばっ)えっと、つい、ごめん」

「いえ、その、あの・・別に・・なのです・・」

「おい銀等級、客の列、また伸びてんぜ?」

「いかん。これでは最後尾(さいこうび)の金貨がとりっぱぐれる」

「イチロウ君、今なにか言ったでしょ?」


「エリス、僕は愛の料理人、みんなに笑顔を届ける愛の活動、アイカツ料理人なんだぞ?」

「はいはい、大体魂胆(こんたん)は分かりました。もう、とりあえずみんな待ってるんだから、『月の雫』オリジナルメンバー、全員、気合を入れていくわよ!」

「(3人)おお!」



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